かのんSSこんぺ・結果発表

つづき

舞「５位の発表」
祐一「おう、やるか……っていうか、お前もっと喋れないのか？　これで、ギャラが同じなんてやってられないぞ」
佐祐理「あははーっ、ギャラなんて貰ってないですし、ネタが古すぎですよ」
祐一「素直に、発表するか……」

５位　68.51pts.　『美少女探偵美坂香里の事件簿　〜乙女の密室〜』

祐一「５位は、雨音さんの『美少女探偵美坂香里の事件簿　〜乙女の密室〜』だ」
佐祐理「今回のこんぺ作品では、唯一という感じの推理物でしたね」
あゆ「犯人はこの中にいるっ！」
祐一「いや、それはいいから」
佐祐理「ハードな推理物ではなく、軽く読める感じの推理ものでしょうか？　あんまり深く考えずに、この場の雰囲気を感じながら読むと面白いと思いますよ」
天野「所で、『乙女の密室』の乙女とは私のことでしょうか？」
祐一「『おばさんの密室』よりは良かったんじゃないか？」
名雪「わ、祐一、失礼だよ〜」
祐一「感想をみると……天野が良かったって言うのが多いみたいだな……」
天野「そうですね……嬉しいですけど、ちょっと複雑ですね」
祐一「なにがだ？」
天野「いえ……別に」
あゆ「（小声で）天野さん、祐一君とラブラブな展開になりたかったんじゃないのかな？」
名雪「（小声で）え、そうなのかな？」
あゆ「（小声で）きっと、そうだよ」
祐一「どうでも良いけど、話聞こえてるぞ、お前ら」
天野「……（真っ赤になって俯いている）」

天野「そ、それより、順位変動見てみましょう」
舞「……はい、これ」
祐一「なんか、舞が順位変動係になってる気がするな……」

祐一「地獄からの復活、とかいうサブタイトルを付けたい感じだな」
佐祐理「３位という好位置でスタートを切ったものの、一気にランク外へ……しかし、そこで諦めずに順位を一つ一つあげていって、５位にまで上り詰めた……素晴らしいです」
祐一「いや、途中結果も非公開だし、勝手にそうなっただけだが……」

４位　71.90pts　『愛のミラクル大脱出！』

栞「はい、はーい！　４位は青単西本さんの『愛のミラクル大脱出！』ですね」
あゆ「あ、栞ちゃん復活だね」
栞「えへへ、恥ずかしながら戻って参りました」
祐一「じゃ、栞が戻ったところで、俺は馬鹿者を捕まえにいってくるな……」
あゆ「あれ？　祐一君、どこいくの？」
名雪「きっと真琴を探しに行ったんだよ」
あゆ「（そういえば、真琴ちゃんがいないの、ずっと気づかなかったよ）」
舞「……栞シナリオのサイドストーリー的なお話。お笑い的な展開が続く中で、ふっと思い出したように出すシリアスさは、見事。『こんな話が裏側にあっても面白いな』と思わせるお話に仕上がっている」
一同「……」
佐祐理「はえーっ、舞、どうしたの？」
舞「……さっき、祐一に『もっと喋れ』と言われたから、みんなが５位の発表をしているあいだ、ずっと今の文章を考えてた」
あゆ「そっか、そうだったんだね」
舞「……でも、祐一がいない」
あゆ「あ……」
舞「ぐしゅ、ぐしゅ……」
佐祐理「あーっ、舞。泣かないで、あとで佐祐理が祐一さんに教えてあげるからね」
舞「ぐしゅ、ぐしゅ……」
香里「……なんか、色んなものが渦巻いているけど、先に進めるわよ？　まあ、内容はさっき川澄さんが言った通りね。感想の方も、面白い。だけど、面白いだけに止まらず何かを感じられた、という感じみたいね」
栞「私の元気をみなさんにプレゼントです」
天野「順位変動はこんな感じですね」

あゆ「わ、ＴＯＰに立ったこともあるんだね」
天野「ええ。読者層によっては、これが１位でもおかしくなかったと言うことでしょうね」
香里「いよいよ、ＴＯＰ３ね」

真琴「あぅーっ」
祐一「なに唸ってるんだ」
真琴「あ、祐一」
祐一「あ、じゃないぞ。本屋で立ち読みしてると思ったら、案の定じゃないか。今日は、みんなでＳＳこんぺの発表をやるんだろ？」
真琴「でも、真琴のＳＳはＴＯＰ１０にないんだもん。３位のだってそうでしょ」

３位　72.69pts.　「或る妖狐の一生」

真琴「わっ、なによ。この垂れ幕っ！　わっ、青いっ！」
祐一「いや、折角なんでこの場で発表を……。それに驚くなら、一度に驚け」
真琴「む、ムチャクチャよおっ！」
祐一「しかし、お前も一つくらい発表しとけ。ここで、人気を出しておけば、次回はお前のＳＳも上位に来るかも知れないだろ？」
真琴「ホントっ！？　じゃ、頑張る！」
祐一「（これで来なかったら、また仕返しされそうだな）」
真琴「３位は、風見由大さんの、『或る妖狐の一生』。美汐の話ね」
祐一「天野の、おばさんクサイという設定を利用してそのまま想像を膨らませていった作品だな。真琴が消えちまったあとの俺なんかも、上手くフォローできているし、全体的な雰囲気もいいって所だな」
真琴「あぅーっ、真琴は消えないからねっ！（グルグルと手を回す）」
祐一「あー、分かったから、先に進ませてくれ。感想の方も、『とにかく上手い』って意見が多いみたいだな……かなり思い切った設定だったようだが、それを上手く納得させられるだけの作品だったってことだな」
真琴「次は順位変動よね、真琴も知ってるんだからねっ！」

祐一「ああ、惜しいな……４３位という出だしから一気に駆け上がったにもかかわらず、そこで息切れ……仕掛けのタイミングを間違えたって感じだな」
真琴「そうなの？」
祐一「いや、そんな訳ないんだが……まあ、上位もそれだけ混戦だったって事だ。それより、みんなの所に戻るぞ」
真琴「あ、ちょっとまってこのマンガだけ、読み終わってから」
祐一「読むなっ！！」

佐祐理「それでは３位の……あ、２位の発表なんですか？」
あゆ「あれ？　３位は？」
香里「相沢君の置き手紙よ『３位はこっちでやるから２位を頼む』ってね」
あゆ「うぐぅ、強引だよ」
名雪「祐一だもん、仕方ないよ」
香里「（流石に一緒に暮らしてると、突拍子な行動にも耐性が着いてるわね）」
佐祐理「それでは、２位の発表です！」

２位　73.20pts.　ロマンシング・ソリッド・カノン

栞「２位は広木真紀さんの、『ロマンシング・ソリッド・カノン』です」
あゆ「これはどんなお話なの？」
香里「１０年前の相沢君とある老人との間でのお話ね……笑い的な要素もあるけど、しんみりとさせながら、読み終わったとは心には色々残る……そんな雰囲気が漂う、完成度の高い作品ね」
あゆ「……うぐぅ、でも祐一君、美化されてる気がするよ」
（一同、コクコクと舞のように頷く）
舞「でも、祐一はあのくらいのチンピラ倒せないと困る。今度、鍛え直す」
あゆ「舞さん、それは観点が違うよ……」
天野「感想の方も、ほとんどが絶賛するものでした。ただ、タイトルがいまいち、という感想も目立ちました」
名雪「本編の出来が良かったから。そっちが目立っちゃったのかな？」
香里「そんなところでしょうね」
天野「あとは、時間的な設定を変えていることに首を傾げる方もいたみたいです」
香里「まあ、ゲームの設定では相沢君と月宮さんが出会ってから、これだけのイベントがあるだけの余裕はなかったでしょうけど……」
佐祐理「その程度のものは、この出来に比べたら、隠れてしまいますね」
香里「ちなみに順位変動は、こんな感じね」

栞「最初はＴＯＰをとった物の、その後、首位の座を終われ……その後は何度も首位奪還にトライするも全て跳ね返されてきた……そんな感じですね」
香里「全然そんなことはないのに、そんな風に言われると、説得力あるわね……」

あゆ「さあ、いよいよＴＯＰの発表だよ！　ＴＯＰの発表はＣＭのあとで！！」
香里「そこ、勝手にＣＭをコールしない！　川澄先輩も、勝手にアイキャッチを用意しないで下さい」
舞「……なんとかく、欲しがってるかな？　って」

祐一「よし、１位発表には間に合ったな……」
北川「おう、間に合ったぞ」
祐一「……なあ、北川」
北川「なんだ、相棒」
祐一「……いや、やめた（ここで、北川と話すと余計に奴の出番を増やすだけだな）」
北川「こら、話しかけで止めるな！　気になるだろうがっ！」
佐祐理「あははーっ、皆さん、準備はいいですかーっ！　いよいよ、ＴＯＰの発表ですよ！」
栞「ドキドキですね。心臓がバクバクいって、吐血して倒れそうです」
香里「止めなさい、洒落にならないから」
佐祐理「はい、行きますよ。みなさん、準備はいいですか？　全１７１作品のこんぺ作品の頂点に立ったのはこの作品です！！」

１位　73.80pts.　「メアリーに祝福を」

佐祐理「ということで、ＴＯＰはまーきーさんの、『メアリーに祝福を』でした」
栞「ＴＯＰは天野さんの作品でしたね」
天野「ええ、涙の成分の話から始まって、私の過去の出来事……そして、相沢さんとの関係……。そんなところですか？」
栞「私の作品がＴＯＰで無かったのは残念ですけど……いいお話だと思います」
真琴「そうね。でも、美汐と祐一を近づけておくのは、危険ってことはわかったわね」
あゆ「真琴ちゃん、天野さんを守ってね」
真琴「まっかせなさい」
祐一「お前ら、俺をなんだと思ってるんだよ」
名雪「感想の方も、一様に良かった、という状態だよ〜」
香里「設定も無難で、大きくなにを変えていないから、受け入れやすかったというのはあるでしょうけど、まあそれも文章力があっての事ね。ＴＯＰを飾るのに相応しい作品だったと思うわ」
祐一「おーい、北川君！　例の物を持ってきてくれ」
北川「結局、雑用かよ！　ほら、これだろ」

あゆ＆名雪「うわ」
香里「こうなると、完璧ね。内容としては無難な内容なのに、一度ＴＯＰに立ってからは、ほとんどその座を渡していない……強かった」

佐祐理「さて、では皆さん、いいですか？　声を揃えて言いますよ。せーのっ！」
一同「まーきーさんおめでとうございますっ！」

栞「これで終わりですか？」
香里「そうね。終わりで良いんじゃない？」
名雪「でも、他の順位は？　のこり１６１本もあるよ」
香里「それはこっちで全順位を発表してるから、そっちで確認して貰いましょう」
名雪「わ、テスト結果が張り出されているような感じだよ〜」
あゆ「……」
天野「月宮さん、どうかしたんですか？」
あゆ「ううん、やっぱり順位が着いちゃうんだなって」
天野「そう言う企画ですからね」
あゆ「うん、そうなんだけど……やっぱり、ＳＳって順位じゃないと思うんだよ」
祐一「お前な。ここまで来ておいて、企画そのものを壊す気か」
あゆ「うぐぅ、そんな気はないよ。もちろん、ＴＯＰ１０の作品は凄いし、こんなＳＳを出せて、この企画は良かったと思うんだよ。でも、下位の人が落ち込んじゃわないかなってちょっと」
祐一「俺だったら、落ち込むわなあ」
あゆ「きっと、ＳＳを書く事って楽しい事だと思うんだよ。その中に、他の人と競うことっていうのはあったとしても、やっぱり楽しいことなんだと思うんだよ」
祐一「それで？」
あゆ「うん、だからみんな、これからもＳＳを書いて貰いたいな、ってそう思ったんだよ。楽しいんだったら、止めることはないもんね。ボクたちは、作者のみんなと一緒に、いろんなドラマをつくっていきます。では、次回があったらその時に会いましょう。月宮　あゆでした」
祐一「あゆの癖に、上手く締めくくりやがったな」
あゆ「うぐぅ！　折角最後のセリフはボクのだと思ったのに！　祐一君、いじわるだよ」
舞「……おしまい」