朝の戦い
ジリジリジリジリ………
ぴぴぴぴぴぴぴぴ………
『裏切者ーっ！』（何）
朝がきた。
俺、相沢祐一はいくつもの目覚ましの音で目を覚ました。
因みに現在俺の部屋には目覚し時計はない。
すべては隣の部屋の住人のものである。
そのおかげで、俺は寝坊にはほとんど縁がない。
全くありがたい限りだ。（思いっきり皮肉）
さて。そういってる間も音が鳴り止む気配はない。
寝坊はしないが、遅刻の可能性は十分にあるのだ。
「ったく、どうやったらまともに起きられるんだ……？」
毒づきながらも、さっさと着替えを済ませ、隣の部屋の前に立つ。
無論、目覚ましは鳴り止んではいない。
「名雪ーっ！ いいかげんに起きろっ！」
「…………」
反応なし。
ドン！ ドン！ ドン！
ドアをたたく。
「起きんかーい！」
「……にゅう」
反応あり。
「起きたか？」
「うん……いまいく…」
今日はいつもよりも早かった。
「さきにおりてるぞ」
「うん………くー…」
「二度寝するなあっ！」
結局いつもどおりのようだ。
ようやく降りてきたころには、とっくに家を出る時刻だった。
というわけで、現在通学路を爆走中。
「何でそんなに起きられないんだろうな」
「うーん、なんでだろうね」
まるっきり他人事のような名雪。
「明らかにおまえは寝すぎだ。だからじゃないのか？」
「そんなことないよー。小学校で８時には寝ましょうって習わなかった？」
おまえは高校生だろうが。
「そんなことこの年になって守るやつなんかいるか！」
「わたし」
ぼかっ。
「うー、ひどい……」
殴ったのが気に食わないらしい。あたりまえか。
「大体、起こしてやってるのに二度寝するほうがひどいと思うが」
「祐一、わかってないね」
名雪が、チッチッとばかりに指を振る。
「二度寝は起こされながらするから気持ちいいんだよ」
「おまえ、開き直ったな………」
何とか、俺達は遅刻を免れることができた。
だが、名雪は速攻で爆睡をかましている。
それを横目で見ながら、考えてみる。
どうすれば苦労せずに名雪を起こせるだろうか。
思いついたのを挙げていってみよう。
１．時計を増やす。
無駄だろ。
２．キスをして起こす。
……不許可である。
３．上からタライを落とす。
ド○フではない。
４．覚悟を決めて例の目覚し時計を使ってもらう。
できることなら避けたい。
……どれもこれも役に立ちそうにない。
栞に頼んでそれらしい薬物を作ってもらおうか。
いや、それだと逆に永眠しそうだ。
それならその姉の香里に起こすのを手伝ってもらおうか。
でも一週間で挫折したとか言ってたな。
となるとやはり４の案を真剣に考えなければならないか……。
と、まてよ。
そうか。あれと同じものに何か別なメッセージを入れてやればいいのか。
そうするとメッセージはアレに決定だな。
ふふふ……明日の朝を楽しみにしてろよ、名雪！
「ただいまー」
名雪が部活から帰ってきたようだ。
今のうちに目覚ましを渡しておこう。
「お帰り、名雪」
「うん、ただいま。あれ、それ何？」
目ざとく俺が手にするものを見つける。かかったな（にやそ）。
「プレゼントの目覚し時計だ」
「え、ほんと？」
「おう。これでおまえもばっちりだぞ。」
「ほんとうかなぁ？」
疑わしげである。まあ普通の反応か。
「大丈夫。それは俺が保証しよう」
「うーん。じゃあ使ってみるね。ありがとう、祐一」
にっこりと微笑みながら階段を駆け上っていく。
さあ、作戦は完了だ。後は待つのみである。
「少々酷かもしれん。だが、俺の遅刻にはかえられんのだよ……！」
俺は一人廊下で拳を熱く握るのだった。
午前７時２５分。
あと５分で例の目覚ましが作動するはずだ。
ほかの目覚ましたちは、邪魔になるからと全て止めさせてある。
俺はすでに制服に着替え、準備を終えていた。
後は名雪を起こして学校へ行くのみだ。
現在廊下で待機中。もう少し。
そして３０分。それは名雪にこう告げた。
『あさ〜、あさだぞ〜。謎ジャム食って学校行くぞ〜』
そして悲鳴と物音。ベッドから落ちたらしい。
俺はドアを開け、名雪の部屋に入った。
「どうだ？ ばっちり目が覚めたろ？」
「ひ、ひどいよ〜、あんなの入れるなんて……」
頭をぶつけたらしく、涙目で抗議してくる。
「さて、起きたところで学校へ行くぞ。今日はゆっくりできるな」
だが、名雪の反応は祐一の予想に反するものだった。
「責任とってよね」
「………？ 何言ってるんだ」
「あのメッセージだよ。あんなことお母さんに聞かれたら……」
ぎくり。
……ぜんぜん考えてなかった。
「じゃあ私朝練あるから急ぐねっ！」
見ると名雪はすでに鞄まで持っていた。
「なっ、おい！ ちょっとまて！」
名雪はドアのところで振り返った。
「祐一……死なないでね」
そういい残すと、全速力で階段を降りていった。
「そう思うんなら見捨てていくなあ！ くそ、俺も急がないと……」
と、階段を下りたところには、やはりあのひと。
「祐一さん、朝ご飯はちゃんと食べないといけませんよ」
「あ、あああああ秋子さんっっっ！」
お約束だった。
「ほら、名雪もおいしさのあまり眠ってしまいましたよ」
床には食べかけのトーストと、名雪が転がっていた。
次はわが身か………。
「はい。あーん」
次の瞬間、あのオレンジ色のゲル状物質が口に押し込まれた。
薄れ行く意識の中、俺はちょっと今までのことを考えてみた。
（最初は名雪を起こすことが目的じゃなかったっけ……
これって名雪ＳＳか秋子さんＳＳかわかんないような……）
意識が、途絶えた。
目が覚めたのは、結局昼頃だった。
それから俺達は学校へ行く前に、あの目覚ましを川に沈めておいた。
「これからも、ちゃんと俺が起こしてやろう」
「そのほうが安全だよね」
今回の教訓「口は災いの元」「君子あやうきに近寄らず」
ちょっと違うか。
ＥＮＤ
投票結果
ａｓｈ (採点:1)
ひねりが足りないのでは？
KOU (採点:3)
最後だけの出番なのに、秋子さんの印象はでかいっすねぇ〜
Alice (採点:3)
オチがベタだけど、まぁ良しです。名雪が゛ちっちっちっ゛って指を振るイメージがプリチーだったので了承です！というか、あの目覚まし時計のメッセージが墓穴って祐一は気づかなかったんですねぇ〜。「アホだなぁ〜。こいつは…」と思ってしまった時点で作者さんの勝ちですな。ただ、やっぱりオチが弱いかな？読め易いってこともあるし。ギャグだから謎ジャム…というのも、Kanonらしいのでしょうが、ステロタイプに徹するのも難しいんでしょうねぇ〜。とはいえ展開の起承転結は完璧でした。次のギャグSSに期待です。というか笑わして下さいｗ
神代 悠 (採点:3)
うわーい（虚笑）
烏賊悪魔 (採点:3)
ツッコミどころも少なくないが、全体的にマンガチックな文体で好印象
taka (採点:3)
謎邪夢の恐怖！あのオレンジの物体は生命に危険を察知させるに十分な破壊力があるでしょうね。哀れ。
いしす (採点:2)
ありきたり。
十七夜 (採点:3)
うーん、良い。
ugen (採点:3)
ありがちだけどもテンポが良い
naoki (採点:2)
面白いのになぁ。最後がちょっと。
akira (採点:3)
謎ジャム、目覚ましネタですね。名雪萌えとしては、この手のネタにかなりうるさいのでちょっと辛口評価にさせていただきました（マテ でも、名雪を起こす案の3はちょっとウケたかなｗ
ASKA (採点:3)
なんとなくオチが読めた
Lv2 (採点:3)
ありがちなネタではありますが、無難にまとまっていると思います。
Ｇすぽると (採点:2)
お定まりですね。もう少しパターンを崩して欲しかったです。
かずき (採点:2)
読みやすいし、テンポもいいけど、落ちが弱い。よくあるパターン。
グＥ (採点:2)
ちょっと表現がしつこいかな・・・。と思いました。（これって名雪ＳＳか〜というところ）
橘征五郎 (採点:1)
まずは基本的な文章作法の勉強を。メタにするならもっと開き直ってかつ練りこんで。中途半端が一番寒い。名雪寝坊ネタ+謎ジャムネタはありふれすぎだし、つまらない。文章のレベルも低い。
藍翔 (採点:4)
秋子さんは無敵ですね。あの謎ジャムはもしかするとアルターなのかも（笑）
コーダイ (採点:4)
全体的にいいです。
フール (採点:1)
どこかで似たようなSSを読んだような気がします。もう少し違う展開だと良かったかも知れません
Ｖｉｓ (採点:3)
不可はありませんが、あちこちで見かけるネタなのでひねりが欲しいです。
zero (採点:1)
どこかで読んだネタなため
kuryu (採点:3)
センスがきらりと光るいい話です。
神崎隆一 (採点:1)
ギャグのキレはいいです。でも作者の突っ込み(？)が入っていることで読む気を削ぎます。入れるなら第三者視点にして入れた方が自然です。あと文章読みづらすぎます。
り〜だ〜 (採点:3)
秋子氏恐るべし！！
Ｇａｒａ (採点:1)
ジャムで落ちをつけるパターンは食傷気味です…「謎ジャム食べて学校行くよ」ってフレーズも飽きてます
TOM (採点:1)
もうとおの昔に使い古されたネタだと思うんですが・・・。
ぷぢ２〜 (採点:4)
ね〜ちんの目覚ましでしょうか？
おーふな (採点:3)
うんうん、面白い。目覚ましネタにも、こういう手があったんですね。
竹仙人 (採点:2)
よくあるネタなので、もう少し工夫が欲しいところです。
舞耶 (採点:2)
ありがちっすねでもなぜか面白い・・・ｗ
ＮＧ翁 (採点:3)
秋子さん最強伝説に新たなる１ページが記されたのかどうかはさておき、最初の『裏切り者〜』の目覚ましが気になって気になって…（何）
浮動明王 (採点:1)
謎ジャムをオチとするのはありふれている もうひとひねり必要
すなふ (採点:1)
うーん‥‥。感覚の違いと言われればそれまでなんですが、作者が一人で突っ走ると読者は引いてしまいます。とはいえ、ある程度強引でないと壊れ系では魅力が出ないのも事実。さじ加減が難しいのでしょうね。
はぐ (採点:1)
「読むのは疲れました」 ギャグと書いてますけど、コメディって感じですね。それなりに雰囲気は出てると思いますが…。
シューマン (採点:3)
まあ、文字通りお約束的な話だなあと思いました。
あきらくん (採点:4)
相変わらず、謎ジャムは最強ですね。でも２人の絆は強まったかな。
全採点
5点 : 2
4点 : 19
3点 : 77
2点 : 87
1点 : 42
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