同棲ですか！？
チュンチュン。
すずめの鳴き声が目が覚めない俺の耳に響いた。
朝、
ああ、なんてすがすがしいんだ…。
ゴスッ！
「イテッ！」
突然俺の頭に鈍い衝撃が走った。
「いつまで寝てるの！？ 学校に遅れるわよ！」
ああ…聞きなれた声。
「え…、まだ６時だぞ…」
布団の横の床の上には間違いなく俺のお気に入りのアナログ時計。
その時計の長針は間違いなく12の数字を示している、
短針も６を確かに示していた。
「同棲はしても朝食当番になった覚えは無いわよ、北川君！」
「…飯を作れと、美坂？」
よく周りを見れば、俺の頭を打ったのは鍋だった。
玄関から入って廊下の左側には台所、
右にはバスルーム、
その奥の右の扉にはトイレだ、
そして一番奥に６畳の部屋がひとつ。
ごく普通のアパートの１室、
いまそこでは高校三年生の男女２人が朝食の準備をしていた。
味噌汁ができた。
わかめと油揚げ、豆腐を実にした赤味噌仕立ての一品だ、
おそらく、俺の今までの料理経験で最高の出来だろう。
「ふんぞり返ってないで、ご飯もちゃんと茶碗に入れてね」
「美坂…この味噌汁を飲めばお前も俺に惚れ直すぞ」
「一度も惚れた覚えは無いわよ」
結構痛い事いってくれるよなぁ。
「…ほい、これでいいな」
小さいテーブルにご飯の入った茶碗、味噌汁、鮭の塩焼きを２人前のせる。
「「いただきます」」
互いにパジャマ姿の俺と美坂は声をそろえて食膳の言葉をいい、
箸を取って朝食を取り始めた。
「どうだ？ 味噌汁の味は？」
「………７０点ね」
「うむ、７１点満点中７０点か、われながらいい出来だ」
「１００点満点に決まってるでしょ」
ため息混じりに流されてしまった。
ちぇ、相沢直伝のボケも美坂には流されしまうか。
俺は鮭の塩焼きを口に運んだ。
「うまいなぁ何年ぶりに食ったんだろう」
一人暮らし、学費と家賃は親に仕送ってもらってはいるものの、
なんとか食費ぐらいはとがんばってバイトしてきた俺に、
鮭などという黄金のベールに包まれた幻の食品が口に入る事はなかった。
「大げさね、これからは毎日食べられるわよ」
そんなやり取りをしながら食事が終わる。
「さ、着替えるから、北川君は廊下行ってて」
テーブルを片付けている最中に美坂が睨んでくる。
「了解」
俺はため息をつきながら廊下に出てふすまを閉める。
廊下には今まで６畳間においてあったはずの洋服ダンス、
ハンガーにかけられた制服と鞄。
ふと、ふすまが少し開いた、
隙間から美坂の目が見えた。
「覗かないでね」
「なら進入する」
「非許可！」（１秒）
バンッ！！
勢いよくふすまを閉められてしまった。
「冗談が通じない………」
俺はため息をしながら制服に着替えはじめた。
さて、俺の通学路には分かれ道が有る。
短くいえば近道と大通りだ。
「それじゃ」
美坂はそれだけ言って大通りの方へ歩き出した。
「お〜い、こっちのほうが近道だぞ」
「北川君はそっちへ行って、私はこっちから学校へ行くから」
振り向きもせずに美坂は歩き出してしまった。
「お〜―」
「北川君と私が同棲してるのは皆に秘密よ！」
俺の言葉をさえぎって美坂はそれだけ言うと商店街に消えて行ってしまった。
「…べつに…通学路の途中で会ったって言えばいいだけなんじゃ………」
俺はとぼとぼとわき道を歩き出した。
俺『北川 潤』は高校三年生、
そして朝一緒に飯を食ってたのは俺の幼少のころからの幼馴染の『美坂 香里』
美坂の妹の栞ちゃんが生まれつき重い病気にかかっていて、
最近病状が悪化したため、
急遽アメリカへ手術へ行く事になった。
俺はてっきり美坂もアメリカへついていくのだと思い込んではいたが、
昨日いきなり俺のアパートに荷物を持って来て、
「今日からよろしく」といわれたときには正直度肝を抜かれた。
俺が困惑する中、美坂の母親が「家の娘をお願いしますね」
と笑顔で言われ、さらにこれから食費を『２人分』仕送ってくれると言う
まるで夢のような提案に俺は２つ返事で答えてしまった。
しかし…１人暮らしの飢えている年頃の男と同棲させるのにためらいの無かった美坂の母親っていったい？
ふっ、考えたってしかたがないか、
さて、学校に着いたな、
ん？ あれは…相沢と水瀬。
「お〜い！ 相沢、水瀬！」
大声でクラスメイトの名を叫ぶ。
「よう、北川」
「おはよう、北川君！」
「珍しいな、まだ予鈴前だぞ？」
この２人はいつもいつも遅刻ぎりぎりで学校に来る。
「今日は名雪が早く起きたからな」
「だって、今日はあの目覚まし使ったから」
えへへ、と笑う水瀬、
「あの目覚まし？」
美坂に聞いた話では水瀬は目覚まし２０個使っても起きないといっていた、
それがたった１個の目覚ましで目を覚ます、
「どんな目覚ましを使ったんだ？」
「ええっとねぇ、ゆ―」
「名雪！ 遅刻する前に行くぞ！」
「うにゅ！！」
何かを言いそうになった水瀬を相沢があわてながら引っ張って行ってしまった。
「………？」
わけがわからん。
「おはよう、北川君」
「ん？ 美坂か」
背中に声をかけてきたのは美坂だった。
しかし、なぜか美坂はこっちを睨んでくる。
はて？ 俺なんかしたか？
「お・は・よ・う」
あ、そういうことか、
「おっす、美坂」
「予鈴がなるわよ」
『北川君と私が同棲してるのは皆に秘密よ！』
そういえばさっきそんな事いってたな、
日常生活でもごく自然になるようにまるで今日ここで始めてあったかのようにしろと言いたいらしい。
ふう、そこまで気を使わなくてもいい気が………。
そこまで俺との同棲が知られるのはいやか？
そんなことを考えながら、俺は校舎の中に入っていった。
キーン コーン カーン コーン
放課後を知らせるチャイムが学校中に鳴り響いた。
「お〜い、相沢ぁ、おわったぞ」
いつもどおりぐっすりと眠っていた相沢を起こす。
「名雪、終わったわよ」
美坂はその隣の水瀬を起こす。
「う…ああ、終わったか…」
「うにゅ…あれ？ 香里？」
２人ともほぼ同時に目を覚ました。
「目ぇさめたか？」
「放課後よ」
俺達２人で相沢と水瀬を起こして初めて放課後が訪れるのだ。
「さて、帰るか」
「祐一、放課後だよ！」
「なにぃ！ そうなのか！？」
「帰るかって言っておいてそれか？」
相沢と水瀬の漫才は今に始まったことではないか。
「よし、行くか、じゃあな、北川、香里」
「祐一！ イチゴサンデー！」
「お前のおごりな」
「ひどいよ祐一」
そんな会話をしながらもちゃっかり２人の世界を作りながら教室を出て行く。
「ふう、俺達も帰るか」
俺は鞄を持ち上げながら美坂に言ってしまった。
しまった、
美坂が睨んでくる。
「いま誰も教室にいないからいいけど、今度からは気をつけてね」
ほっ、よく見ればこの教室には俺と美坂しかいないな。
それだけ言って美坂は歩き出した、
俺はその後ろをついていこうとしたが。
「距離を置いて来てね」
美坂は短く言うと、教室から出て行った、
俺は自分の席に座りなおし、ため息をひとつついた。
「はぁぁぁぁぁぁ………、なんでかなぁ………」
美坂との同棲、
想像してたのと全然ちがうなぁ。
美坂、俺との同棲がそこまでいやなのかよ…。
なんだよ…だったら自分の家で一人暮らししてれば………あれ？
「なんで美坂のやつ自分の家にいないんだ？」
思わず声に出してしまった、
そうだ、べつに美坂の家自体はあるんだからそこで一人で暮らせばいいだけの話じゃないか。
「帰ったら聞いてみるか」
そろそろ出発してもいいだろう。
俺は席を立った。
「だただいま」
扉を開けてアパートの一室に入る。
「おかえりなさい」
返事が返ってくることに喜びを感じる俺。
ああ…これで『お風呂にする？ それともご飯？』
な〜んて言葉が続けばなぁ…。
「入り口で気持ちの悪い笑い浮かべてないで早く入ってきたら？」
美坂はいやなものを見たといった感じだ。
「失敬な！ 人がせっかく素敵な夢に思いをとばしているというのに！」
「はい」
俺の抗議を無視して美坂が何かの服を放り投げてくる。
「おっと、おっ、バイトのユニフォームじゃないか」
紺のズボンと帽子と前掛け、白のＹシャツ。
「ちょっとは洗濯しなさいよね、汚れてたわよ」
「さんきゅ、・・・・まだバイトまでは時間があるな」
俺は腕時計を見てから美坂に向き直る。
「なぁ美坂、どうして俺のアパートに来たんだ？
自分の家があるじゃないか」
俺がそう聞くと、美坂は顔を曇らせた。
「北川君は、私がここにいるのが迷惑？」
しまった！ 聞き方を間違えた！
「ちがうちがう！ そう言う意味じゃなく…え〜っと」
うまい言い方が見つからない、
「ならいいじゃない、一人でいてもつまらないから、
家には居たくないの」
…なんか、さらっと受け流されてしまった。
べつに俺との同棲がいやってワケじゃなさそうだし、
う〜ん、わからん。
プルルルルルルル プルルルルルルルル
おっと、電話だ。
「はい、北川ですけど」
俺は受話器を取り耳に当てる。
『香里？ どう、同棲生活は？
北川って名乗り方も板についてるじゃない』
は？ 俺は潤だぞ。
『もう、香里がいきなり潤君のところで帰ってくるまで待ってていい？
なんていいだしたときはびっくりしたわよ、
初恋の人と一緒に暮らしたいなんて、
お母さんうれしいわぁ』
は…は…初恋の人っ！？
「あ…あの！ 俺…北川ですけど」
いかん、気が動転して声が裏返ってる。
『え、潤くん！？
ごめんね、香里いるかしら？』
「ええ…代わります」
いかん、正常な意識が保てん、
「み…美坂、電話、おふくろさんから」
「え…母さん？」
俺からひったくるように受話器を取る美坂。
隣を過ぎる黒い髪が、
なにか別のものに感じられた。
「もしもし、代わったわ。
うん…うん」
バイトの時間にはまだ早いか…ま、いいか。
「じゃあ…美坂、俺そろそろ行くわ」
高ぶる気持ちを抑えながら俺はそういってユニフォームを鞄に詰める。
「あ、いってらっしゃい」
美坂は俺にそれだけ言って、受話器に興味を戻した。
そんな姿を見ながら、俺は部屋を後にした。
〜香里視点〜
母さんからの電話、なにか空元気っぽいわね。
じゃべり方が何か、わざとらしい気がする。
『で、どうなの？
潤君とうまく行ってる？』
な…なんてことを聞くのよ！
「か・・・母さん！」
頬に血が集まってるのがわかる。
『そうそう、あたし、
香里の初恋の人が潤君だって、
教えちゃった♪』
う…うそっ！
「え…えぇ！？」
『ごめんねぇ、潤君と香里の声間違えちゃってね』
間違える？ どう考えても私と北川君じゃあ声が違うわ。
意を決して、私は聞きにくかったことを口に出した。
「…栞は…大丈夫？」
その言葉を言ったとき、母さんの声の『空元気』というメッキがはがれた。
『………う…うぅ…』
受話器から聞こえるのは、母さんの悲愴のこもったうめき声だけだった。
〜潤視点〜
俺のバイト先で、
油にテンプラ粉をつけたえびを泳がせる。
しかし、俺の思考も宙に泳いでいた。
美坂の初恋の人…俺が？
いや…何かの聞き間違いだ…きっとそうだ、
そりゃあ、美坂が好きな男としてそういうことがあったらいいなとは思ったけど、
しかし…そんなことありえるのか？
自分で言うのもなんだが、俺はそれほど魅力的な人間だとは思わない。
相沢みたいにもてるわけでもないし。
なにより自分は無個性だ。
美坂は高嶺の花だとも思う。
それが…俺？
美坂が俺を選んだ？
「おい…北川君」
いかん…そういうことを考えると…。
「北川君？」
あああああああああああ！！ だめだぁ！！
「北川！」
「は…はい！」
うおっと、店長だ。
「どうしたんだ？ なにかボーっとして」
「いえ、なんでもないです」
店長はそれだけ聞いて、俺に文字が書いてある紙を渡す。
「…くしカツ４、から揚げ５、ポテト３、えび天３、イカ天７」
「注文、よろしく」
ちなみに、くしカツは３つで４分３０秒、
から揚げは４つで５分３０秒、
ポテトは９つが４分３０秒、
えび天が６つで３０秒、イカ天が６つで１分３０秒。
「１０分以内ね」
できるかぁ！！
気がつけばもう１１時だ。
美坂…まだ起きてるかな？
あまりにも今日は忙しすぎて２時間残業してしまったし。
扉のノブに鍵を差し込む。
あれ…あいてる、こんな夜中に無用心だな。
「…ただいま」
今日２回目の言葉を言う。
返事がない。
おかしい、部屋の明かりはついているからいるとは思うが。
「美坂！？」
ちょっと心配になり声を上げて６畳間の扉を開ける。
そこに…美坂が制服姿のまま、壁に背を当てて座っていた。
「おい…美坂、どうしたんだ？」
俺は美坂の下に駆け寄り、顔を覗き込む。
目に光が宿っていない。
「なぁ…なにかあったのか？」
「北川君！」
すると、いきなり美坂が俺に抱きついてきた。
「ど…どうしたんだよ？ いったい」
「う…うぅ…栞が…栞がっ！」
そのまま嗚咽を漏らしながら、美坂は泣きじゃくった。
「ほら、まだ晩飯食ってないんだろ？」
一応冷蔵庫の中にあった在りあわせのもので晩御飯を作る。
俺は２つの器を小さいテーブルの上に乗せる。
美坂は先ほどより少しは落ち着いたようだ。
だが、器を口に運びはしない。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「………食べないの？」
美坂が口を開く。
「美坂と一緒に食べたいからな」
俺はそれだけ言って腕時計に目をやる、
もう１２時になろうとしている。
「そう………」
また静寂があたりを支配する。
１２時になったとき、
美坂が静寂を破った。
「………母さんからの電話ね」
「ああ」
「栞の手術、難しいらしいわ」
感情も無く、美坂はポツリと言った。
「難しいってことは、治る可能性があるんだろ？」
「可能性はね…、でも、可能性でしかないわ」
美坂の目に、また涙があふれてくる。
「どうしてなの？ どうして…あの子は普通に暮らせないの！？」
美坂の激昂が、室内に響いた。
「どうして…アメリカにまで行って、
あの子は死ぬかもしれない危険に立ち向かってるの？」
美坂はまた、嗚咽を漏らし始めた。
俺は、静かに口を開いた。
「………可能性だろ？
なら…治ると信じてやれよ」
「え？」
美坂が俺のほうを見てくる。
「可能性ってのは、選択の余地があるってことじゃないか、
なら、最善の選択肢を信じなくって、
どうやってその可能性をたぐり寄せるんだよ」
「そんな感情論、何の役にも立たないわ」
美坂はさらに自分自身を絶望的にすることを言う。
「感情論って、役に立たないか？」
俺は負けじと言葉を続ける。
「役には経たないわね、少なくとも、信じただけで栞は助からない」
「俺は…お前のために感情論を出してるんだ」
「私の…ため？」
俺の言葉に美坂が意外そうに言う。
「俺は栞ちゃんのことについてとやかく言える頭は持ち合わせてなんかいない。
だけど、美坂が悲しんでいるときに、それを慰めてやりたいって、
無い頭で一生懸命考えて、俺の精一杯の気持ちをぶつけることはできる」
「北川君…」
「栞ちゃんは助かるって断言はできない。
でも…助かったときに美坂が栞ちゃんが助かることを
信じてないってことがわかったら。
栞ちゃん、悲しむんじゃないか？」
「栞が…悲しむ…」
「美坂は怒るかもしれないな、
助かる可能性を前提に考えてこういうことを言ってるから。
でも…俺は馬鹿だから、そういう前提が無ければお前を慰められないんだ」
俺の台詞は、美坂にとっては苦痛を広げるだけになっているのかもしれない。
「俺は栞ちゃんを待ってる、
いや、栞ちゃんのそばでいい笑顔をしている美坂を待ってるんだ。
そう、お前の笑顔が、ただ見たいだけなんだ、
単なる俺のエゴだな」
俺はそれだけ言って、美坂の言葉を待つ。
「…判ったわ」
確かに、美坂はそういった。
「栞が…確実に助かるようにすることが私にはできない、
だから…私はせめて、栞が帰ってきたときに腕を広げて迎えられるように、
信じている」
美坂は立ち上がり、俺の隣に座った。
「その代わり、もし…助からなかったら、
北川君、私を慰めてね」
「美坂………」
「私ね、一人で家にいるのが怖かった。
１人の生活に………。
栞のいない生活になんか慣れたくなかったの。
それに…好きな人に、慰めて欲しかった」
最後の言葉は消え入りそう声だったが。
確かに俺の耳に響いた。
「ねぇ…『潤』って呼んでもいい？」
「…いいぞ、『香里』」
美坂、いや、香里が顔を近づけてくる。
俺も顔を近づけ、
ゆっくりと唇を合わせた。
「んっ」
しばらくそのままでいて、
ゆっくりと顔を離す。
「………冷めてしまったな」
俺は湯気が昇らなくなった器を見ながら香里に言う。
「そうね」
香里は自分の器を引き寄せ、
俺の隣に座ったままで箸を持つ。
「食べましょう、潤♪」
「じゃ…」
「「いただきます」」
月日が経ち、
「３ヶ月か…」
俺が久しぶりの休日にテーブルでのんびりコーヒーを飲みながらつぶやく。
「早いわね、もうそんなに経つなんて」
香里も隣で寄り添いながらコーヒーを飲む。
「俺達が同棲し始めて…な」
香里がその言葉に首を振る。
「私と潤が恋人になって、でしょ」
恥ずかしいことをよく平気で言えるよなぁ…。
俺は頬を赤くしながら話を切り出した。
「そろそろ時間だな、行くか」
「ええ」
空港には、かなりの人がごった返していた。
「あれかな？」
飛行機が１機、空港に降り立つ。
「ありがとう、潤」
ふいに香里が礼を言ってくる。
「？」
「あのとき、潤がああ言ってくれなかったら、
きっと私はこうして空港に立つことなんてできなかったわ」
香里がエレベーターから上ってくる人ごみを見つめる。
「香里、美坂家に戻るのか？」
人ごみの中に、見覚えのある親子を見つけた。
「ううん」
香里は見覚えのある親子の元へ駆けていく。
「ただいま、お姉ちゃん！」
「お帰りなさい、栞」
満面の笑顔で妹の前に立った。
そうだ…俺はこの笑顔が見たかったんだ。
あふれんばかりの、香里の笑顔が………。
おわり
投票結果
まちゃる (採点:3)
シチュエーションが個人的に好きでした。
Ｇすぽると (採点:3)
シリアスとラブコメがどっちつかずになって、中途半端な印象を受けた。
ヘキサ (採点:4)
潤と香里のらぶらぶ感が良いです.でも、もう一つ何かが足りない気がします.
殺陣倉Xp (採点:3)
北川……意外とかっこよかったんだなお前（ぉ）
kin (採点:4)
感情論―そのあるべき所を教えられた感じがしました
ugen (採点:2)
話に無理が多すぎなわりに、ワンパターンで目新しさがない
naoki (採点:2)
栞を最後に登場させたのは蛇足かな。あと、やはり薄い感じがします。
taka (採点:3)
素直じゃない香里がらしいです。香里と北川は、やっぱりこんな感じでしょうね。
烏賊悪魔 (採点:2)
文章全体に『kanon本編らしさ』が感じられるが、北川のキャラを生かしきれてない。シリアス部分はもっと文を絞って欲しかった。
TOM (採点:4)
文章の技術は決して高くはないけど、北川と香里に好感が持てるところが良かったです。
Kanade (採点:4)
初々しい人、というのは見ていて微笑ましいです。
荒野草途伸 (採点:1)
１点をあげるのももったいないくらいです。読みづらいし。香里という人物をなにも解ってないし。心情としては−３点
橘征五郎 (採点:1)
まずは基本的な文章作法の勉強を。言葉の表現には拘ろう。例えば「箸を取って朝食を取り始めた」これにリズムの悪さを感じないようなら問題。リアリティも足りない。それは「真っ当な親は幼馴染みとはいえ年頃の男女を同棲させない」といったことではなく、例えば「意外と恥ずかしがりやの香里は『同棲』などという言い回しはしない」といったようなこと。キャラクターが単なる書き割りになってしまっている。１Kの部屋の廊下（廊下があるのも怪しいが）にタンスが置けるだろうか。発想（妄想）を垂れ流しにするのでなく、一度物語を頭の中で映像化してみる癖をつけよう。北川のバイトのシーンが不要であるだけでなくまるで面白みがなくむしろ邪魔。恐らく作者自身のバイト先での知識なのだろうが、そんなものには読者は興味がない。五秒で考えたような安直なストーリーは面白さが皆無。全般的にセンスと文章力が足りなさすぎ。
Alice (採点:3)
ちょ〜っと設定に無茶があったかな？展開には期待したけど。つーか、どーして同棲したのだろう？っていう疑問が読者は凄くわくので、このテーマを持ってきたことには評価をします。ただ、その後の展開に−ポイントが多い。北川が香里に感情論だと告げるシーンがありますが、悪いとは思うけど言ってしまう。しらけた。心の中で北川が言ったのならば良い。けど、言ってしまうとせっかくのシーンが大なしのような気もする。と、辛口だけれど、プロットに期待させられた、ここに目をつけたのは上手いと思った。萌えを掴れた気もしましたよ。
コーダイ (採点:3)
香里の弱さを北川が支えるＳＳの中ではトップクラスの出来だと思います。
かずき (採点:5)
ああ！最高です。
グＥ (採点:3)
もうちょっと始めのほうの描写がほしいです。香里はどういう気持ちで潤と同棲しようとしたか・・・というような。
kuryu (採点:2)
ありがちな設定の中では力作だと思います。
暇人 (採点:4)
こういう展開は思いつきませんでした。
naka (採点:4)
「ただいま、お姉ちゃん」にやられた・・・。
Ｂ・Ｃ (採点:3)
らぶらぶと言うよりけっこーシリアスかも。ハッピーエンドでよかったです。
神崎隆一 (採点:3)
内容のわりには長いのが気になりました。もっと絞って内容を濃くした方がいいかなと。
神代 悠 (採点:4)
最後の「ううん」、決まってます。
Ｖｉｓ (採点:4)
読みやすく理解しやすく、登場人物もちゃんと動いてくれていて読後感も良かったです。
全採点
5点 : 12
4点 : 54
3点 : 62
2点 : 34
1点 : 23
このSSは、作者の方に二次著作権が存在します。
転載、無断引用を固く禁止します。
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