とてもとても寒い朝
トンネルを抜けると、そこは雪国だったと言うのを聞いたことはある。
少し憧れたシチュエーションだったけど…。
「玄関を抜けたら、そこは吹雪だったと言うのは、勘弁して欲しい」
「祐一、よそ見していると、遭難するよ」
「そんな状況でも、学校に行かないと駄目なのか？」
「今日のは、まだ軽い方だよ」
「まったく…」
今日は、朝から吹雪だった。珍しく、名雪が早起きしたのが原因かもしれない。
「祐一、ファイト」
「ファイトと言われてもだな…」
視界がものすごく悪くて歩きにくい。なによりも、とても寒い。
「俺は、寒いの駄目なんだ」
「だったら、はい」
そう言いながら、名雪が抱きついてきた。
「こら、何をする」
「こうすれば、少しは暖かいよ」
「誰かに見られたらどうするんだ？」
「この吹雪だと、みんな足元しか見えないよ」
「そうかもしれないけど…」
「寒いのは駄目なんでしょ？」
「学校のそばまでだぞ」
「うん」
俺と名雪は、体を寄せ合いながら歩き出した。
とても寒いはずなのに、そんな事を感じられなくなるぐらい、暖かく思えた。
翌日。
「今日も寒いな…」
昨日みたいに吹雪いてはいなかったけど、寒い朝。
「はい」
「ん？」
俺が寒いと言ったら、名雪は手を差し出してきた。
「これを、どうしろと言うんだ？」
「手を繋いで行けば、少しは暖かいと思うよ」
「他の誰かに見られたらどうするんだ？」
「大丈夫だよ」
「どうして？」
「この時間に走っているの、私達だけだもん」
「威張って言うな」
今日も、名雪の寝起きの悪さのせいで、時間ギリギリの登校だった。
「お前が、もう少し早く起きてくれれば、走らなくてもいいんだぞ」
「だって、祐一が寝かしてくれないから…」
きっと、体が熱いぐらいに感じるのは、走っているだけの理由じゃないだろう。
「馬鹿な事言ってないで、急ぐぞ」
「うん」
そして…。
「今日も、少しだけ寒いな…」
「うん」
その言葉を合図に、名雪が手を繋いでくる。
「寒いから、仕方ないよな」
「うん」
繋いだ手から、暖かいものが広がってくる感じがする。
すぐ隣には、笑顔の名雪。
「もう、夏だけどね」
投票結果
久慈光樹 (採点:2)
ラストの部分、時間経過がうまく表現できていないと思います、ちょっと混乱しました。
ａｓｈ (採点:4)
素直じゃない祐一と、何気なく一枚上手を行く名雪の関係…いいですね。特に最後のセリフがよかったです。
Ｖｉｓ (採点:2)
薄味です。最後の一言の意味が汲み取れず印象も良くないです。
ugen (採点:2)
ラストが良い
Kanade (採点:3)
照れがあると、何か理由付けが欲しくなるという心情は、なんとなく共感できます。
ヘキサ (採点:3)
ほのぼのしてヨカッタです
naoki (採点:5)
すごく気持ちのいいお話ですっ！
荒野草途伸 (採点:2)
だから、なに？
橘征五郎 (採点:2)
ほのぼのとしたネタでいいのだが、ネタしかない。箇条書きのあらすじ。文章力・構成力の不足。このネタを活かすのならば、吹雪の朝・冬の朝・夏の朝の描写をシンメトリーにした方が良いだろう。その際にはもちろん情景描写を丁寧に。
kuryu (採点:3)
心が温まるようないい話です。
コーダイ (採点:3)
すごいらぶらぶな雰囲気ですね。（汗）
グＥ (採点:3)
二人のほのぼのとした雰囲気がよかったです。
かずき (採点:3)
作者の欲望を感じる。
り〜だ〜 (採点:5)
最高っす！この甘え方！文句ナシ！
Alice (採点:4)
えっと、これは評価高いです。ラストのオチが嫌いじゃないので。笑っちゃったしね。なんというか、思わず進呈という作品。個人的にはコンペでの評価としては対象外ではありますが、小奇麗にまとまっていたので。
Ｇａｒａ (採点:4)
この話では、名雪より祐一が可愛いですね。名雪に甘えるのに慣れちゃってるのがなんとも。
神崎隆一 (採点:2)
2回読みなおして「あーそーゆーことか」って分かったのですが、いい感じだと思います。最後の件がほのラブだなぁって感じで。あとは、セリフの掛け合いだらけなんでもっと地の文を増やしてもいいかな。
神代 悠 (採点:4)
暖かさを感じられなかったのなら、それはきっと寒いことでしょうから。
taka (採点:2)
・・・単なる口実ですか？素直に言えばいいのにね。
全採点
5点 : 10
4点 : 43
3点 : 67
2点 : 43
1点 : 11
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