ピクニックとか、あと遭難とか。
春も来て（少しだが）暖かくなってきた今日この頃。
俺達こと美坂チームはピクニックに、ものみの丘近辺のちょっとした山に登山に来ていた。
「祐一っ、やっぱりいいよね、こういうのっ♪」
「そうだな、たまには都会から離れて大自然に身を置くと、なんだかスゲェ安らぐな」
おおう名雪の笑顔がまぶしいぜっ。
天気予報でも、最高の天気。
弁当などの準備も済ませ、のんびりとピクニック。
気分も良く、つい鼻歌など混じっていた。
…さっきまで。
「……相沢君、名雪」
「どうした香里？」「どうしたの香里？」
オレ達は最高の笑顔を同時に香里に向けた。
「もう…そろそろ現実見ない？」
「……………うん」
…今の状況はこうだ。
もの凄く最高の天気を天気予報が示しても、所詮予報にしかすぎず、
しかも山の天気は変わりやすかった。
チクショウ天気予報。
お陰で春にも関わらず、雪国特有のとんでもない豪雪に見舞われ、
しょうがないので、ご都合主義なくらいにイイタイミングで見つけた洞穴に避難した。
「とりあえず、現実を見つめて、助けでも呼びましょうか」
香里が淡々と言う。
まぁ、ここまで追いつめられると恥も何も無いしな。
「じゃあ、誰か携帯持ってるヤツは…」
俺は金の都合で持ってない。
親はダメだと言ってたし、居候の手前、秋子さんに頼むのも嫌だった。
名雪も似たような理由で持ってないし…。
「香里は持ってないのか？」
「私は家に置いてきてるわ…。 ピクニックに携帯ってのも野暮だと思ったから」
そこで北川が声を上げる。
ビシッ！（←効果音）
「任せろキミタチ！ 俺が持ってるぜ。 ホレ、文明の利器ケータイ！」
「おおっ」
ナイスだ北川ッ。
これでとりあえず遭難の心配は無いワケだ。
この街に来てから初めて北川が輝いて見えた。
「あら、たまには役に立つのね」
「フッ美坂のためなら火の中傷の中！」
何処か間違った言葉を吐きつつも、北川はケータイを開く。
何だか台詞があたまわるそうだ。
ビシィッ！！！（←効果音）
そんなどこから聞こえてくるのか解らない音と共に、北川の動きが止まった。
…？
「どうしたの？ 北川君」
「そうよ、早く助けを…」
「デンチアリマセン」
「やっぱり所詮北川君は北川君ね」
北川は後ろの方で灰になって、サラサラを音を立てて崩れている。
まぁしょうがないな。
効果音付けてまで出した携帯が、アレじゃ。
「ここまで来ると本格的にヤバイわ…この雪、止みそうに無いし…」
「遭難ってやつだな」
俺はまさかこんな近所で遭難するとは思わなかった。
家からさほど離れてない山で遭難…。
何か凄い恥ずかしい気がする。
「止まなかったら飢え死にしちゃうよ…」
「甘いわね名雪、恐らく私たちの体温が無くなる方が早いわ。この洞穴もそんなに深い訳じゃ無いし……」
オイオイ、何だか凄い怖い事になってるな。
しかし、実際そうだ。
何たって明日から天気は下り坂（あてにならない天気予報の情報だが）
この雪が今日中に止まない限り、数日間降り続けるだろう。
そして、視界が無いほどに吹雪いてる雪が止むとは思えなかった。
チックショウ山の天気。
「とりあえず…所持品の確認でもするか」
「そうね」
しかし、そんな都合のイイ物を持ってきている訳がない。
弁当とかはもう食べたし…他の食べ物は殆どなし。
ちなみに、北川の所持品のラジオからは、天気が向こう一週間回復しないと言う
絶望的なニュースが流れていた。
「駄目ね…日も暮れてきたし…そろそろ暖をとらないといけないわ」
「暖って…」
確かにそうだ。
いくら春先だと言え、ここは雪国。
その夜と言えば気温は恐ろしい程下がる。
ここで暖が無いのは自殺行為だ。
「けど香里、どうやって暖をとるんだ？」
「私が聞きたいわよ」
ライターくらいはあるけど…燃やす物が無い。
無論服なんて燃やしたら意味が無いしな…。
「甘いぞキミタチ、俺にはナイスな案がある」
「何っ！」
「今度は役に立つんでしょうね」
北川が復活して言い出す。
しかし、先の事があるから今一信用出来ないが…。
「いっとくけど、人肌なんて言ったら貴方を燃やして暖を取るわよ」
「そんな二流ギャグは用意して無いぜ、これが暖を取る秘密兵器っ！」
ビシムッ！！！（←だから効果音）
そう言って北川はとある瓶を出した。
「これだっ！ アルコール度８０％オーバーのウォッカ！コレ飲んで体をホットにすればオッケイ！」
確かにそうだ。
あたまわるそうな北川の台詞だが、一応可能だ。
緊急事態で、未成年も何も無いし。
実際、結構体も暖まる。
「…で、もし酔いつぶれて寝たらどうするの
その後凍え死んで目覚めは天国なんて私は嫌よ」
「その時は俺がちゃんと全身で暖めて」
次の瞬間、壁一面が赤く染まった。
香里のパンチは北川を見事にとらえていた。
流石に怖い。
何だか熊に襲われても生き残れるんじゃ無いだろうか。
そんな気さえする。
「Kill With Powarってイイ曲よね…」
そんな香里のつぶやきは、悪魔の囀りに聞こえた。
ちなみに、その夜はウォッカを燃やして暖を取り、寝た。
８０％もあれば火が付くっての。
遭難から約４０時間
天候、相変わらず吹雪
「……Kings of Metal…」
「…えっと…Hail and kill」
既にかなり精神にも体にもキてる俺達は、せめて気を失わないよう＆暇つぶしに
古今東西『クラスメイトのとある女の子に似合う曲』をやっていた。
確か…七瀬さんだっけ？
「何で名雪そんな曲知ってるんだ……」
「祐一がいつも部屋で聞いてるじゃない。 覚えるよ〜」
「そうだっけ…」
「兎に角次香里だ…」
「じゃあ…Hail to England」
「俺か………さ……さかなの歌…」
北川が言ったその一言は猛烈に空腹ま俺達にとどめを刺した。
つーか似合わないぞ、その曲。
「もう駄目ぇ！ 私帰ってサンマ食べるぅ！」
「安っ！！！」
「ああーっ！ 俺はイカ刺しぃーーーー！！！」
遂に俺と名雪が壊れた。
だってもぉ限界だってぇ！
「でも…許されるなら百花屋でイチゴサンデーを沢山……」
「それ、俺のおごりじゃなけりゃな…」
「あふん…」
そんな意味不明な言葉と共に、名雪が倒れる。
やばっ！
俺は急いで駆け寄った。
「だっ大丈夫か！？ やっぱりこの寒い中イチゴサンデーは効いたか！？」
「ゆっ…ゆういちぃ…もぉお腹空くし喉かわくし…。あぁぁ……綺麗な川が見えるよ…」
「うぉおおおぉいっ！？」
「ゆういち…愛して…たよ」
「『た』！？」
過去形！！？
それはおいといても、マジで名雪がヤバイ。
しかしもう救える手段何て神頼みしか無いってのに…。
……………まてよ神頼み？
「香里…カルネアデスの舟板って知ってるよな」
「ええ勿論。 緊急時は人を犠牲に出来る緊急避難の解釈よね」
「じゃあ、人柱ってのも解るよな」
「……ええ。」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…（効果音）
俺と香里はゆっくりと北川の方を見た。
兎が獅子を前にした様なカンジで北川が口を開く。
「ち、ちょっと待て相沢、美坂、その眼は何だ？ も、も、もしかして俺を…」
「それしか名雪が助かる方法は無い。 すまん」
「嘘おおおおぉぉぉーーーー！！！」
「大丈夫、北川君なら殺しても死なないわよ」
「止めてぇ〜〜止めてくれみさかぁ〜〜〜〜！！！！！！！」
…それからは実に出来すぎていた。
香里が喚く北川を吹雪の中に投げ込んでからわずか１０分足らずで、吹雪は止んだ。
元々近所のせいで、道は解る。
おかげで遭難から実に４４時間後、俺達は街に戻った。
ありがとう、北川。 お前のことは永遠に忘れない。
コレが漫画だったら、北川が大空に笑顔でキメだろう。
そして、さようなら親友……。
…余談だが、次の日の授業中、北川が凄い体で登校して来たのはヒミツだ。
投票結果
神代 悠 (採点:4)
む、報われねぇ〜。しかし面白い。
はまのじ (採点:4)
なかなか良作。このテンションでもう少し長ければ５点だったかも
Kanade (採点:1)
露骨に原典が分かりすぎたので（投稿規定には抵触しないけれども）。課○王○外伝は好きなのだけれど。
せいる (採点:4)
過去形ーですかっ？！（笑）（北川くんにつっこみなさいよ＞自分）
橘征五郎 (採点:2)
まずは基本的な文章作法の勉強を。ネタがありきたりでイマイチ。ギャグを効果的に演出するためには文章力も必要。例えば香里が北川を殴るシーンや、翌日登校してきた北川がどんな「凄い体」をしていたのかなどを精密に描写するとより面白くなるはず。
烏賊悪魔 (採点:4)
ナイスギャグ、の一言に尽きる。ただ・・・ひとつだけツッコミをいれるとしたら最後のセリフ。『余談だが』と『ヒミツ』がかぶってる。これは一考の余地あったんじゃないかなぁ・・・・
qawsed (採点:3)
オチが弱いかと
ヘキサ (採点:4)
ギャグにキレがあって面白かったです。
ugen (採点:3)
つっこむべきところは、多い気がするが酒を燃やしても直ぐ燃え尽きそうとかでも勢いがあって面白かった
荒野草途伸 (採点:2)
壊れを甘く見るでない。
竹仙人 (採点:3)
もうちょっと細かい個所も壊してほしかったです。
naoki (採点:1)
壊れですからね、まあ、こんなものですか。
kuryu (採点:1)
話のメリハリがあんましないです。
グＥ (採点:3)
人柱ですか…、意外で面白かったです.
コーダイ (採点:5)
すごいからだってどんな体なんでしょう
かずき (採点:1)
つまんない、盛り上がりもないし、キャラもなんか借り物という感じ。
アーリマン (採点:3)
面白かったです
Ｇａｒａ (採点:1)
落ち、強引過ぎ。
TOM (採点:3)
面白かったです。ただ、最後の俗な締めかたはイマイチでした。
おーふな (採点:2)
うわー惜しい。あと一つ何かあれば、ずっと面白くなった筈なのに。
Alice (採点:2)
こういうギャグこそ、お約束をやって欲しかった。無論、それは成功しないだろうけれど、なんかあっさり交わされていたので残念。あと、オチがちょっと。まぁ、北川だしありかな〜？とか思うけれど、読む人それぞれってことで、私は辛口に…『ネタ振り長いのにオチ弱っ！』評価：D＋
舞耶 (採点:3)
北ちゃんよ永遠に・・・（爆）って生きてるか・・・ｗ
ＮＧ翁 (採点:4)
こういう展開大好きなんです。とにかく笑いました。しっかし北川君あわれｗ
musu (採点:2)
なんで人柱なんだろう。死を覚悟で助けを呼びに行く、でいいような。
taka (採点:2)
いまいち壊れ方が足りないような・・・。壊すならもう少しオーバーに逝った方が良いと思います。
すなふ (採点:3)
途中だれそうになりましたが、半ば過ぎで盛り返した感じ。や、面白かった。
はぐ (採点:1)
採点不能「最悪です」 感じた事：あんなみえみえのお約束１００％を行あけでやられても…つまらんの一言。
ふぉっけ (採点:3)
オチに一ひねりほしい
全採点
5点 : 7
4点 : 27
3点 : 80
2点 : 62
1点 : 26
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