世界で一番愛しい君に




 「ああ、俺もだよ。栞、君を愛してる」
 少女の誕生の朝、雪の降り積もった公園で一組の男女の遺体が
 発見された・・・。

 雪の舞う冷たい夜
 ある公園に一組の男女がいた

 そこは二人だけが存在する静寂の世界
 しんしんという、雪の降り積もる音だけが聞こえてくる・・・。

 「祐一さん」

 静寂の世界を壊すことの無い、透き通った声で
 少女が青年に語りかける

 「ん、なんだ?」

 「静か、ですね・・・」

 「・・・ああ」

 短い返答
 再び静寂があたりを支配する

 しばらくたって、少女が口を開いた

 「でも・・ちょっと寒いです」

 その言葉を聞いた青年は、
 そっと・・・壊れ物を扱うかのように、優しく少女を抱き寄せた

 「祐一さん・・・」

 愛しい人の温もりに包まれる栞
 ほおを朱に染めながらも、その表情はとても穏やかだ

 少女には時間がなかった
 それは、先ほどからの彼女を見ていれば痛いほどわかる
 呼吸は不安定になり、声も弱々しくなってきている

 医者にはもう、いつ死んでもおかしくない状態だと言われた

 少女にはたくさんの夢があった
 人一倍、たくさんの夢が

 しかし残酷なことに、それを叶えるには
 彼女に残された時間は あまりにも短かった

 青年は少女の夢を叶えるために
 精一杯の努力をした。

 しかし、少女の夢を全て叶えることはできなかった
 そんな自分を彼は悔やんだ。

 「ごめんな、栞」

 「え?」

 「お前の夢、全部は叶えられなかった」

 「いいんですよ、祐一さん・・・でも」

 ふ、と祐一を見上げる栞

 「私の最後のお願い、かなえてくれますか?」

 それは何か?と祐一が訪ねようとしたとき、
 突然栞は前かがみになり・・・

 「ゴホッゴホゴホ!」

 激しくせき込む栞

 ポタポタポタ

 口にあてた指の間から血がこぼれ落ち、真っ白な雪に
 紅い模様を描く

 「だ、大丈夫か栞?」

 言ってみて、我ながらバカな台詞だと思った
 大丈夫な訳がないのは、傍目にも明らかだ
 ゼエゼエと、苦しそうな呼吸が聞こえる
 最後の時が近いのだ

 「だい・・じょうぶ、です」

 弱々しいながらも、笑みを浮かべて返事をする栞
 その笑顔はとても儚く、愛しく思えた

 「祐一・・さん」

 荒い呼吸をする栞
 すでに喋るのすらつらい様子だ

 「ああ、何だい?」

 そんな栞に、精一杯の優しい目を向ける祐一

 「キス・・して・・ください」

 「せめて・・・最後は・・・」

 「大好き・・な・・人の・・温もり・を・・
 感じ・・ていたいんで・・す」

 そこで大きく息をついて・・・

 「祐一さん・・あなた・・が・・好き・・で・・す」

 言い終えると同時、少女は唇に愛しい人の温もりを感じた

 それは、一生に一度の尊いキス

 ありったけの想いを詰め込んだ、世界で一番純粋で
 甘く、暖かく・・
 そして、悲しい哀しいファーストキス・・・。

 永遠とも一瞬とも思えるキスを終え、どちらともなく離れる唇

 「ゆう・・・いち・・・さん・・」

 「あなた・・が・・好き・・です・・・愛・・してま・・す・・」

 もう一度、愛しい人の名を紡ぐ少女の唇

 「ゆ・・う・・いち・・さ・・・ん・・・・」

 その最初で最後の告白に、青年が答える

 「ああ、俺もだよ。栞、君を愛してる」

 その言葉を聞くと、少女は微笑み
 静かに目を閉じた・・・

 その様子を見届けた青年の頬には
 一筋の光が流れ

 青年もまた、静かに目を閉じた
 眠りにつくために
 少女との、あの幸せな日々の夢を観るために
 眠りについた・・・

 長い永い眠りに
 そう、永久の眠りに・・・・・・。

投票結果

ash (採点:1)
「だから何が言いたいのですか?」と訊きたくなるような、中身がない作品でした。


久慈光樹 (採点:2)
祐一の行動があまりにも……


ugen (採点:3)
綺麗に文章ができている


sein (採点:3)
こういうダークは嫌いじゃないです。10点満点なら7点。


naoki (採点:3)
二行目の意図が二通り考えられます。意図によっては評価が両極端に分かれるんですが?


グE (採点:3)
作品全体に流れる儚くも美しい描写がよかったです。


かずき (採点:2)
よく・・・分かりません。


Gara (採点:3)
祐一まで死んでしまっては何にもならないとは思いますが、死に行く相手との愛の形としてはこの結末もありかも。後に残された人の事考えるといい迷惑ですけどね


橘征五郎 (採点:1)
まずは基本的な文章作法の勉強を。祐一と栞のキャラを把握できていない。違和感だけが残る。例えば祐一は栞を「君」などとは呼ばないし、心中するほど弱くはない。文章表現がどこかで見たことのあるものばかり。しかもセンスもなく、最後の祐一と栞の会話の辺りなどはギャグかと見間違うほど。


musu (採点:2)
……ファーストキス? にしても、祐一は凍死、になるんか?


浮動明王 (採点:1)
オチが意味不明


taka (採点:3)
愛する二人はともにあの世に行ったといえば聞こえはいいですが、要は心中ですね・・・。暗いです。


神代 悠 (採点:1)
哀しいなぁ…


全採点
5点 : 1
4点 : 6
3点 : 50
2点 : 50
1点 : 41

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