如何にして北川はカッコよくなったか！？
その日、北川は特にする事もなく、ぶらぶらと廊下を歩いていた。
今日は天気もいい。
今日はどうやってくだらない学校を楽しむか？なんてことを考えながら一人ぶらついていた。
「ひそひそ・・・。」
なにやらまわりが騒がしい。
時折、変な視線まで感じる。
何かおかしいとは感じながらも、北川は特に気にすることもなく、校内での軽い散歩を楽しんでいた。
あの言葉を聞くまでは・・・。
「・・・アレ、北川君よ。相沢君の金魚のフンで有名な・・・。」
「ヤダ〜。キモ〜イ・・・。」
一瞬、北川の刻が止まった。
ダンッ！！
北川は黒板を叩いた。
ちなみに今は放課後。
特に用事のない生徒はすぐに帰宅し、現在教室に残っている生徒はごく僅かしかいない。
「で、一体何の用なんだ？俺たちを教室に集めて・・・。」
祐一に言葉に同じように教室に残っている名雪と香里も頷く。
「黒板の字をよく見てみろぉぉ！！」
北川に言われた通り黒板に目を向けると、汚い字でただこう書かれていた。
『どうやったら俺をカッコよく見せられるか？』
「無理だ。」
祐一の言葉に二人も頷く。
「何故だっ！！」
「だって北川だし。」
「ぐぁ・・・。」
北川が何ともいえない顔をして押し黙る。
そんな北川の様子を見て、香里が助け舟を出すように言った。
「で、何があったの？」
「まあ要するに陰口を言われたわけだな。」
祐一の言葉に北川が頷く。
「そんなのほっとけばいいじゃない。」
「そんなことできるか！！」
もう北川に何を言っても無駄だと判断した香里は話を祐一にふる。
「今さら無駄だとは思うけどどうするの？相沢君。」
「そんな事俺に言われてもな。」
「う〜、むずかしいよ〜。」
三人はそれぞれ言葉こそ違うが、意味はまったく同じの言葉を吐く。
「何かないのか！？ この俺をカッコよく見せる方法は！！」
「ないから言ってるんだろうがっ！！」
「言葉どうりね。」
「そこまで言ったらかわいそうだよ。」
流石にかわいそうだと思った名雪がフォローを入れる。
しかし、もう時遅く、北川はすでにへコみきっていた。
それからどれくらい時間が経っただろうか・・・。
名雪たちがそろそろ帰ろうと思い始めた頃、唐突に祐一が呟いた。
「・・・こうなったら正攻法でいくか。」
「「「え！？」」」
「いいか。女の子が男に求めるモンってなんだ？」
「お金？」
「違う・・・。」
香里からやけに現実的な意見が出てうなだれる祐一。
「やっぱり優しさだよ。」
「そのとおりだ！！名雪！！」
「だって私が祐一の事好きな理由ってそれだから。」
一瞬、時が止まる。
ピシッ！！という表現のごとく名雪を除いた三人がしばらく固まっていた。
「・・・ま、まあ、つまりそれだ。男は優しさだ！！」
祐一が復活した。しかし、まだ顔は赤い。
「で、具体的にどうするのか説明して欲しいわね。」
「つまりだなぁ。ごにょごにょ・・・。」
祐一のまわりに三人が集まる。
「・・・なるほど、それならいけるわね。」
「名案だよ〜。」
「よっしゃぁ！！明日、イキナリそれかますぞっ！！
作戦名は『あゆちゃんピンチ！！白馬の王子様作戦』だ！！」
「・・・お前、センスないな。」
「うるさいっ！！」
「だからモテナイのよ。」
「それは余計だっ！！ とにかく作戦は明日決行。今日はこれで解散！！」
取り合えず初めての会議はこれで終わった。
そして次の日――
「・・・相沢、あゆちゃん見つけたぞ。」
「ああ、間違いなくあゆだな。しかも、上手い具合に階段を下りようとしてるぞ。」
奇跡的に意識が戻ったあゆは文部省の特別処置で祐一たちの高校に編入していた。
はじめは絶対無理だと思ってはいたが、どうやら秋子さんがなんかしたらしい。
ちなみにちょうど編入が決まったあたりに文部省の幹部が次々と入院したらしいが、
それはまた別の話である。
「しかし、本当に大丈夫なのか？うまい事階段から落ちるなんて限らないじゃないか。」
北川が心配そうに聞いてくる。
「大丈夫だ。あゆは期待を裏切ったりしない。間違いなく落ちる。」
やたら自信たっぷりに言う祐一。
かなりひどい事を言っているが、祐一のその堂々たる口調によって北川の不安はいくらか軽くなったようだ。
そうこうしている内にあゆが階段を下りようとして・・・。
「うぐぅ〜〜〜。」
やっぱり落ちそうになっていた。
「危ない！！」
北川がすんでのところであゆを支える。
（よしっ！！やったぞ。北川。）
祐一も成功を確信して密かにガッツポーズ。
だが・・・。
「う、うぐぅ〜〜〜〜。」
さっきよりもあゆの声が大きくなる。
（何でなんだ？・・・あ。）
祐一が気付いた。
確かに祐一の立てた計画は万全だった。
そして、あゆが転ぶ事も、北川が出てくるタイミングまでもまさに非の打ち所がなかった。
しかし、助けようと伸ばした北川の手の位置に大いに問題があった。
「うぐぅ〜〜。北川君が触った！ ボクの胸に触った〜！」
号泣するあゆ。そのまわりでおろおろする北川。
そして二人を囲むように人が集まってくる。
（これはマズイ・・・。）
祐一は北川を置いて、この場からダッシュで逃亡した。
『変態北川御乱心』の噂が全校生徒の中を駆け抜けた次の日、祐一は食後の軽い散歩を楽しんでいた。
昨日に引き続き、天気もいい。
それでという訳ではないが、祐一は軽い足取りで窓から降り注ぐ暖かい午後の日差しを堪能していた。
（そもそも北川をまともに見せる事自体が無理なんだよな・・・）
散歩中に件の噂を耳にするたび、祐一はそう思った。
ともかく彼は心地よい日差しの中で今ここに存在する幸せをかみしめていた。
あの言葉を聞くまでは・・・。
「・・・アレって変態の仲間の相沢君よ。」
「確か昨日の月宮さんの事件って相沢君がけしかけたらしいわよ。」
「サイテーよね。」
「鬼畜〜。」
一瞬、祐一の刻が止まった。
ダンッ！！
祐一は黒板を叩いた。
書いている文字は『北川のアホをどうやってカッコよく見せかけるか？』。
「無理よ。」
「俺もそう思うっ！！だが、もう北川だけの問題じゃない！！」
祐一は再び黒板を叩きながら叫んだ。
「ああ、あの噂ね。『相沢君鬼畜説』」
「相沢、お前、鬼畜だったのか・・・。」
「誰のせいだ！！ 誰の！！」
祐一が北川を殴りながら言う。
みるみるうちに北川が血に染まっていくのを尻目に、香里と名雪は話し始めた。
「香里〜、どうしよう。」
「ほっとけばいいんじゃないの？人の噂も七十五日って言うし。」
「けど、祐一がかわいそうだよ。」
「・・・そうね。」
「何かないの？香里。」
「あることはあるんだけど・・・。」
「ホント？どんな？」
「とりあえず、相沢君・・・。もう殴るのやめたら？」
「はっ！！」
祐一が我に帰った。ずっと殴られ続けた北川はもはや本人かわからないほどの状態に陥っていた。
それを見て、祐一は・・・。
「・・・ま、まあ、誰にでも失敗はあるって事だな。」
開き直った。
「で、どうしたらいいんだ？」
なにやら策があるとほのめかしていた香里に祐一が尋ねる。
ちなみに、先程の惨劇により肉塊と化していた北川はその後３分ほどすると見事に復活した。
そのあたりだけは褒めるべきかもしれない。
「まずは整理してみるわね。確かに北川君はどうしようもないバカよ。」
「おい。」
北川が何か言おうとしていたが、そのまま話を続ける香里。
「その上に変態やら何やらの様々な憶測が複雑に絡み合ってどうしようもない状態になってるわ。」
「・・・そこまで言うか。」
北川が泣いている。
「つまりどうすればいいんだ？ 話だけなら絶望的にしか聞こえないんだが。」
祐一の言葉に香里はふっと笑いながら言った。
「つまり、根本から流れている物を覆してやればいいのよ。北川君がバカだという認識をね。」
香里の言っている事は確かに正しい。しかし・・・。
「それは難しいんじゃないか？」
北川の成績は学年でも下から数えた方が早かった。
しかも、定期テストはまだまだ先の話である。
「大丈夫よ。相沢君。」
「けど、定期テストはまだ大分先だぞ。そんなに悠長に事を構えてはいられないんだが・・・。」
「私の計算によると明日抜き打ちのテストがあるわ。」
「「何っ！？」」
「香里〜、私そんな事聞いてないよ〜。」
「それはそうよ。抜き打ちなんだから。」
僅かに笑みを浮かべながら言う香里。
「しかし、そんなこと今更聞いても絶対いい点数は取れないぞ。」
「大丈夫。」
香里はそう言うと、カバンの中から数枚の紙を取り出した。
「恐らく明日のテストの内容はこれだけしか出ないわ。」
「マジか！？」
「マジよ。このために昨日は徹夜だったんだから。」
笑顔でそう言った後、香里はその紙を北川に渡す。
「今日は徹夜でこれだけやってきなさい。そうしたら１００点とは言わないけど、
９０点台は確実に乗るはずよ。」
「お、おう。」
高価な物を受け取るように、香里のテストアンチョコグッズを受け取る北川。
その様子を見ていた祐一が一言。
「俺にもくれ。」
「あ、私も欲しいよ〜。」
「・・・はあ。今回だけだからね。」
香里は一つだけため息を漏らして答えた。
そしてまたまた次の日――
「あー。今日はテストをする。抜き打ちだが、悪かったやつは補習だから覚悟しとくように。」
香里の言った通りだった。
しかも、問題まで当たっている。
（・・・香里、すげえぜ。）
（ホントに当たってるよ〜。）
昨日、香里からもらったアンチョコグッズを必死になってやっていた二人は嬉しそうに問題に取り組んでいた。
（・・・この問題なら昨日のアレで９割はいけるわね。
少し心配だったけど、これなら流石の北川君でも・・・。）
ほっと安堵の息をもらしながら、ちらりと北川の方を見る香里。
だが北川の様子を見て、香里は自分の甘さをこれ以上もないほど痛感した。
（あのバカっ！！ それじゃカンニングじゃない！！）
あろうことか北川は例のアンチョコペーパーを机の中に入れ、チラチラ見ながら問題を解いていた。
自分ではバレないつもりだったろうが、周りからはかなりバレバレである。
案の定、北川の方に石橋が向かってくる。
（・・・もう知〜らない。）
香里はそう自己完結すると、自分の目の前にある問題用紙に全力を傾け始めた。
「・・・北川、机の中のものを出してみろ。」
「えっ！？ な、なんスか！？ コレただのハナカミペーパーっスよ。」
「いいから出せ。」
やっぱり北川は捕まった。
『変態、テストカンニング』の噂がまたまたゴシップとして生徒の中に騒がれだした日、
香里は担任に呼び出された。
用件は香里が北川のカンニングの手助けをしたのではないかという事についての尋問。
無論、確たる証拠があるわけでもなく、結局はお咎め無しで事は済んだ。
恐らくは今ごろ、その尋問の手は未だかつてない高得点をとった祐一と名雪にものびている事だろう。
（・・・何で私が疑われないといけないのよ）
香里は不機嫌そうに一人ごちた。
それもその筈。教師からの信頼も厚い、学年主席の自分はもういない。
テストの時などは執拗に警戒されるだろうし、授業中ですら、また然りだろう。
自分が今まで築き上げてきたアイデンティティが僅かな時間で崩壊した。
しかも、原因は自分ではない。
そんな事を無条件に受け入れるほど香里は人間が出来ているつもりはなかった。
原因となった人物、つまり北川をどうするか？などということを考えながら香里は歩いていた。
（・・・何か奢らせようかしら？ しばらく私の下僕になるって言うのも悪くないわね。）
自分のためにあちらこちらを必死に走り回っている北川の姿を想像して、香里はクスッと笑った。
少なくとも今は先程の不機嫌さは微塵も出ていない。
実際は何もしてはいないが、北川の罪は少しは軽くなったようだ。
とまあ、不穏な事を考えながらも、香里は比較的落ち着いていた。
これから頑張ればいい。別に自分の信用が完全になくなったわけではないのだ。
そうとまで思っていた。
あの言葉を聞くまでは・・・。
「・・・アレ、美坂さんよ。」
「知ってる知ってる。テストの問題盗んで、変態鬼畜コンビに売った人でしょ。」
「サイテーよね。」
「あの人、学年主席らしいけど、問題盗んでまでいい点数取りたいかしら？」
「うわー、キッツー。」
「「「あははははは。」」」
一瞬、香里の刻が止まった。
ダンッ！！
香里は黒板を叩いた。
書いている文字は『北川君をどうやって一般的な学生に見せかけるか？』。
「「・・・・。」」
「何でみんな黙ってるのよっ！！ これが私たちに残された唯一の道なのよ！！」
香里がまた黒板を叩く。だが、流石に三回目ともなると少なからず諦めの雰囲気が流れている。
祐一は机の上に足をのせ、完全に傍観モード。
名雪は・・・目が線になっているところをみるとすでに夢の住民と化しているだろう。
北側にいたってはかき集めた机の上に寝そべって、ボリボリとケツをかいている。
彼らのその様子を見ればわかるが、もうこの事に乗り気な人間は香里以外いない。
いわばやる気無しな状態なのである。
「何でっ！？ 悔しくないのっ！？ あんな風に言われて！！」
「だって・・・なぁ。」
「もう無理だぜ、美坂。」
「何で北川君までそんな事言ってんのよ！！」
「いや〜、もうめんどくさくなっちまって・・・。」
北川がズボンの中に手を突っ込んだまま言う。
「と・に・か・く！！ さっさと作戦考えなさい。ちなみに拒否権は与えないわ。」
にっこり笑ってそう言う香里。その笑顔を見て、祐一は思った。すごく怖いと。
「だ、だけどなぁ。もう出し尽くしちまっただろ！？ これ以上作戦なんて何もないって。」
北川は何とか言い返す。だが、あちこちから冷や汗が出ているのをみると長くは持たないだろう。
「無理にでも出しなさい！！ 私のために！！ さあ！！」
三度、机を叩く香里。
「うにゅ・・・。」
その音で名雪が目覚めた。
「・・・名雪。何かないかしら？」
怖い笑顔でそう言う香里。
「・・・イチゴサンデー。」
テクテク。
ボガッ！！
「う〜。痛いよ、香里〜。」
「名雪、こんな非常事態に寝るとはいい度胸してるわね。」
香里が笑顔を崩さず言う。だが、その笑みは恐怖を鼠算式に増やしていく。
「そうだね！ わたしもそう思ってたトコだよ！！」
「じゃあ、どうすればいいか言ってもらおうかしら？」
「う〜。ええとね・・・。」
名雪は北川の方を見る。
「北川くん、何か特技ってあるかな？」
「ないぞ。」
きっぱり言う北川。それはそれで悲しいものがある。
「・・・全然ない？」
「おう！ ない。敢えて言うなら、この体とビューチクルフェイスだけだ。」
「なに寝ぼけた事言ってんだ、お前・・・。」
祐一が呆れながら言う。
「はあ・・・。とりあえず、今日はお開きにしましょ。作戦の事は各自、家で考えてくる事。」
「おう！ 悪いな美坂！！ 今日は俺の拳も帰りたいって泣いていたんだ。」
訳が分からないことを口走る北川。
「それよりもなぁ、北川。今までの事を少しでも許して欲しいなら今日なんか奢れ。」
「いいわね、それ。」
「いっちご！！いっちご！！」
北川に残された選択肢はなかった。
「まあ、何とかなるさ。多分な。」
「そうよね。要は最低、私たちの信用だけ取り戻せばいいんだから。」
「美坂〜(泣)」
４人は百花屋に向かっていた。もち北川に奢らせるためだ。
「それにしても・・・、どうして北川くん嫌われるのかな？」
「日頃の行動だろ。別段、他に問題があるわけじゃないからな。」
「そうね。北川君が真面目にしてくれればそれが一番なんだけど・・・。」
香里が北川を上から下へ観察するような視線で見る。なぜか顔が赤くなる北川。
「な、何だよ。」
「・・・はぁ〜〜。やっぱり無理ね。」
「おい！！それはどうゆう意味だっ！！」
「言葉どうりよ。」
「だから何なんだよ。一体・・・。」
なんだかんだ言っても中が良い４人。でなければ、美坂チームなどと呼ばれてない。
「・・・それにしても、何か嫌な予感がするな。」
「どうしたの？ 祐一。」
「商店街に来るとな・・・。何かいつもうぐぅが出てきそうで・・・。」
「・・・あゆちゃん、たいやき好きだもんね。」
「食い逃げだけは勘弁してもらいたいんだけどな。」
「ふぁいと、だよ、祐一。」
「はぁ〜。やっぱり出そうだ。何かこう・・・首の後ろ辺りがむずむずして・・・。」
「うぐぅ〜〜〜〜〜。」
やっぱり出た。
「おい、相沢。アレ、あゆちゃんじゃないのか！？」
「・・・ああ。」
祐一が頭を抱える。こうして出会った時に何が起こっているのか祐一にはわかったからだ。
「ねえ・・・、あれって追われてるんじゃない。」
「何！？ おい、相沢！！ 助けなくていいのかよ！？」
「・・・いや、いいんだ。別に・・・。」
「何だよ！！ 相沢！！ 困ってる女の子を見捨てるなんてお前のキャラじゃないぞ！！」
「いや、だから・・・。」
「くそっ！！ このままじゃ捕まっちまう。俺は行くぜ、相沢。」
「やめろって。おい・・・。」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ！！！」
止めようとした祐一だが、何故かこんな時だけ北川の足は速い。
必死になって追いかけたが、追いついた時には既に手遅れだった。
「死ねぇぇぇぇ！！！」
ドゴスッ！！
こうしてなんかよくわからなかったが、罪もないたいやき屋のオヤジは吹っ飛んでいった。
「ありがとうっ！！ 北川くん！！ キミはボクの命の恩人だよっ！！」
そう言ってその場から駆け去るあゆ。
当然、事情を知っている祐一と名雪も北川と香里を連れて逃げる。
この場に残されたのは不憫にも殴り倒されたたいやき屋のオヤジただ一人だった。
そして次の日――
相変わらず、北川は食後の軽い散歩に勤しんでいた。
「何か今日はやけに人が多いな・・・。」
ちなみに北川はいつも同じコースを散歩する。
その結果、その道は主に女子生徒から『変態の通り道』として恐れられていた。
だから普段はまずこの廊下で人を見かけることはない。
だが、今日は何故か人がいる。
しかも、時折こちらを見てひそひそと囁きあっている。
（やっぱり何も言わずに殴ったのがまずかったな・・・）
今度はどんな噂が流れているのだろう。
この時ばかりは自分の軽はずみな行動を恨めしく思う。
この言葉を聞くまでは・・・。
「・・・あの人、北川君よ。」
「昨日、月宮さんを誘拐犯から救ったんだって〜。」
「すごいよね〜。」
ダンッ！！
北川は黒板の前の席に座っていた。
ちなみに前に立っているのは祐一、名雪、香里の３人。
その３人に叩かれた黒板にはこう書かれていた。
『俺たちの信用をどうやって戻すか？』
「お前はもういいかもしれんけどな。俺たちはまだ終わってないんだよ。」
「そうね。前回は私たちがあなたを助けてあげたんだから今回は助けてくれるわよね、北川くん。」
「う〜。自分だけずるいよ〜。」
一人、思い切り責められる北川。
ともかく、この４人の帰宅時間は当分遅れそうだった。
おわり
投票結果
荒野草途伸 (採点:4)
テンポがよくておもしろい！けど、北川はこんなアホじゃないやい
雨音 (採点:3)
どっかで見た事のあるネタ・・・「今日から俺は！」だったかな・・・？
ugen (採点:2)
どこかで見たことのあるネタ
殺陣倉Xp (採点:3)
北川潤。一体どうしてそういうキャラになってしまったのか。
烏賊悪魔 (採点:5)
マンガちっくな展開が印象的！！マンガの原作って感じがした。ダンッ！と黒板を叩くシーンは名雪にもやってほしかったなぁ・・・・
Ｇすぽると (採点:2)
＞ダンッ！！ このシーン、好き。
TempFighterZ (採点:5)
斬新でよいです。もうちょっと笑いがとれればさらによいです
はまのじ (採点:4)
昔なにかで同じような構成の話を読んだ記憶があるんだけど……なんだったかなぁ
kuryu (採点:3)
ねたがするどいっす。
グＥ (採点:4)
美坂チームのやり取りが非常に面白かったです。いいチーム（？）っぷりがでてました。
naoki (採点:4)
ま、こんな美坂チームもありですね。
アーリマン (採点:4)
オチが弱かったですけど他は物凄く良かったです
ヘキサ (採点:4)
ノリが良くて面白かったです.
Ｇａｒａ (採点:1)
…盗作？「今日俺」ですよね？これ…
白 (採点:3)
落ちが弱いかもとか思ってみたり・・・。
おーふな (採点:4)
文章はすごく上手い！ でも、ネタの盛り上がりにちょっと欠けたかも。
かずき (採点:4)
初めはただの北川いじめだと思ったが、けっこー面白い。
yuxsan (採点:4)
皆の馬鹿っぷりが笑えました
舞耶 (採点:3)
うむむ・・・棚ぼた？ｗ
十六夜 睦月 (採点:3)
北川不幸ｗ
橘征五郎 (採点:1)
まずは基本的な文章作法の勉強を。恐らく「今日から俺は!!」のオマージュなのだろうが、単なるパクリではなくそれなりにアレンジしている点は評価に値する。が、もう一捻り欲しいところ。ギャグとしての質は低い。ネタがありきたりであるし、唐突。構成もイマイチ。元ネタを見ても分かるとおり、この話なら北川をとことん不幸に貶めた方が面白くなるはず。恐らく元ネタと同じ構成にするのが嫌だったのだろうが、かといってつまらなくては元も子もない。北川らしさを出せるように精進。あとは文章力が壊滅しているので徹底的な強化を。
コータ (採点:5)
おもしろい
taka (採点:2)
・・・・・さすがにちょっと最後のほうになるとくどかったような。
すなふ (採点:4)
これも一つのテクニックだよなぁ‥‥。先がバレバレながらも、くすくす笑ってました。
Ｖｉｓ (採点:4)
最初は北川虐待モノかと思ってましたが、美坂チーム全員が転げ落ちたときには笑ってしまいました。噂って怖いですね（笑）
神代 悠 (採点:2)
ああ、堂々巡り… ちょっと誤字が多かったかな。
全採点
5点 : 13
4点 : 40
3点 : 78
2点 : 44
1点 : 12
このSSは、作者の方に二次著作権が存在します。
転載、無断引用を固く禁止します。
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