おかえりなさい
ザ―――――
テレビのノイズのような雨の音。不快な音。
そんな中に、まだ小さな女の子と大人の女性がいた。
女の子は立っていた。その視線はその女の子の足元を見ている。
大人の女性はそれを見ていた。
そして女性は女の子に傘を被せながら言った。
「何をしているの？」
女の子は振り返らず言った。
「考えてた。・・・自分が生きていいのか死んでいいのか」
女性は嘆息して、少し時間を置いて言った。
「何故、迷っているの？」
「わからないから、自分が誰なのか。どうして生まれたのか」
即答だった。
もう、そう聞かれるのがわかっていたみたいに。
それに少し驚きながら、女性は言った。
「一人、なのね」
コクリと、頷いてくる。
それに続いて、女の子が言ってくる。
「ずっと一人だった。気付いたら一人だった」
振り向いてくる。チリンと、髪を留めているゴム紐に付いている鈴が鳴った。
「どうせ一人なら死んだって誰も悲しまない」
そう言って、女性を見つめる女の子。
女性は答えなかった。そんな女性を見て、女の子は続けた。
「でも、記憶にあるあの人が大好き。だから生きてる。あの人に会うまで、私は生きる」
不意に女性は女の子を抱いた。女性の身体に冷たい女の子の体温が伝わった。
「あなたは絶対生きるわ」
あなたは私の家の一員なんだから。と、心の中で付け加えて女性は女の子の鈴を鳴らした。
チリンと澄んだ音がした。
思い出す。一年前のことを。急に消えてしまったこの女の子のことを、そして、この子には待ち人がいること。
「・・・あう？」
懐かしい、女の子が困ったときに漏らす声を聞いて女性は涙が溢れた。
「真琴・・・もうどこにも行かせない。あなたは、私の家族」
女性は初めてその女の子の名前を呼んだ。
「ま、こ、と？」
「そう、真琴。あなたの名前」
抱きしめていた身体を放し、女性は女の子の手を取った。
「私の、名前・・・まこと」
女の子は懐かしがるように、まこと、まこと、と自分の名前を繰り返した。
女性は微笑みを浮かべた。
「一人じゃないのよ真琴。たくさん、あなたを大切にする人がたくさんいる」
「ほんとう？」
「ええ、ほんとうよ」
女性の手を女の子は握った。
雨が上がって虹が見えていた。女の子と一緒にそれを見て、女性は言った。
「おかえりなさい」
ＥＮＤ
投票結果
Doll (採点:1)
内容をごまかすことができないタイトルだと思います。もっとゆっくりと、丁寧に話を進めてほしかったです。
ugen (採点:3)
秋子さんの台詞が良い感じ
通行人Ｂ (採点:2)
ごめんなさい。何が言いたいかわかりません。
グＥ (採点:1)
作品に流れる雰囲気はいいのですが、状況がわかりにくい・・・。
naoki (採点:3)
うん、悪くはないですけど、稚拙な印象も受けます。
かずき (採点:2)
短すぎて分かり難い。
Ｇａｒａ (採点:1)
意味ありげな描写ですけど、これなら普通に描写した方が読めたと思います。真琴が帰ってきた。でもまた記憶を無くしている。そこに秋子さんが来た。という状況な訳ですが、女の子と女性が誰なのかを伏せている上に、真琴の口調が全然変わっているので、読み返さないと意味不明です。「読み返したくなる作品」と「読み返さないと判らない作品」とは大分違います
橘征五郎 (採点:1)
まずは基本的な文章作法の勉強を。元ネタは「X」の嵐の章だろうか。真琴のキャラが本編と違うのは引き摺られてしまったのか。最初は真琴だと分からなかった。せっかくのシチュエーションが活かせていない。冷たい雨の描写を入れると心象風景にもなり効果が出るだろう。
荒野草途伸 (採点:1)
わけわかんない
taka (採点:3)
秋子さんと真琴もいいですね・・・。母性愛って言うのでしょうか？
すなふ (採点:2)
シーン一発。
はぐ (採点:1)
「読むのは疲れました」 短いなら短いだけの見せ方があるはずですが、これには見られなかったです。短い作品で「語り」をやると短さが無意味にしか見えなくなりました。
神代 悠 (採点:2)
あうう、なんかいい話だよ〜。
ふぉっけ (採点:2)
もうちょっと盛り上がりがほしい。
全採点
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