未来のあなたへのDIARY
１２月２６日
明日はイトコのゆういちが私の家に来るとお母さんからききました。
とてもうれしいです。
ゆういちは、やさしいから大好きです。
そんなゆういちとの思い出を残すために、今日からわたしは日記をつけることにしました。
ゆういちのこと・・・・ずっと思い出に残しておきたいもんね。
ゆういちは毎年、おしょうがつに私の家にきます。
おしょうがつはゆういちのお父さんもお母さんもとってもいそがしいそうです。
わたしは、そんなゆういちをちょっとだけかわいそうだな、と思いました。
明日は、とっても優しくしてあげよっと。
１２月２７日
お母さんといっしょに駅まで迎えに行ってあげました。
雪で電車がちょっと遅れちゃったみたいで、わたしたちはちょっとだけ待たされてしまいました。でも、しょうがないかな？
ゆういちは、去年よりちょっとだけかっこよくなっていました。
背ものびたし、ひとりで電車で遠くまでいけるようになって、すごいな、と思いました。
自分でなんでも出来るのって、かっこいいよね。
『ゆういち、久しぶりだね』
『ああ、久しぶり、名雪。お誕生日おめでとう』
ゆういちはそう言ってくれました。
ホントのお誕生日は一週間も前だったんだけど、とってもうれしかったです。
ゆういちは、今年もやさしいゆういちだな、って思いました。
そんなゆういちのことが、わたしは大好きです。
１２月２８日
今日は、ゆういちと外で遊びたかったのだけど、そとにはものすごい雪が降ってます。
外に出れないので、わたしたちはお家のなかでずっとお話をしてました。
でも、ずっとゆういちといっしょだったから、たいくつじゃなかったです。
『ゆういち』
って、男の子を呼び捨てで呼ぶのは最初はすっごく怖かったけど、今はもう慣れちゃいました。
わたしだって、女の子に『なゆき』って呼ばれるのは慣れてたけど、男の子に呼ばれたのは初めてでした。
わたしはあのとき、ちょっと恥ずかしくなっちゃいました。
ゆういちも・・・・・ひょっとしたらそうだったのかなぁ？
わたしは、ゆういちのことを特別な男の子だと思っているのかもしれないです。
これって・・・・『好き』ってことだよね？
うん、そうだよね・・・・・・・。
ところで・・・・・
今日のゆういちは、なんだかコドモらしくないヘンなことを言うコになってました。
『居そうろうの哀しさ〜〜』とか
『頼むから追い出さないでくれ』とか。
この一年の間に、なにがあったんだろう？
でも、やっぱりゆういちの中身はゆういちでした。
ぶっきらぼうに見えるけどホントはすごく優しいんだぁ。
そんなゆういちのことが、わたしはやっぱり大好きです。
１２月２９日
今日はゆういちとお買い物です。
お母さんからもらったメモとお財布をもって商店街に行きました。
『外にでるのは寒いか？』ってゆういちに聞かれたので、
『そんなでもないよ』って答えてあげました。
それで一緒に外に出たら、ゆういちに、『さぎだ！』とか『こだいこうこくだ！』とか人聞きの悪いことを言われました。
ちょっとムカっときました。
商店街につくと、ゆういちは『待ってる』といいました。
『店がしまる前に頼まれてたもの買って来い』
ゆういちは持っていてくれた買い物カゴをわたしに渡して、言いました。
なんか、ゆういちエラそうだな。
でもわたしはゆういちよりオトナなのでそんなことでは怒りません。
『うん、行ってくるね、ゆういちはここで待っててね』
わたしはとてとてと八百屋さんの方に歩き出しました・・・・・けどやっぱり戻ってきました。
『あ、そうだゆういち・・・・・・』
『ん？どうした？』
『先に帰ったらおこるよ』
『大丈夫だって』
『約束だよ！！』
そう約束して、わたしはまたそれから八百屋さんにむかってとてとてと歩き出しました。
八百屋のおじさんは、
『お買い物かい？エライねぇ！よし、これオマケしちゃおう！！』
といって白菜をまるごと買い物カゴに入れてくれました。
・・・・・白菜はオマケにはむいてないと思います。
ちょっとだけあとの買い物がたいへんになりました。
お肉屋さんでは肉まんをもらいました。
一個だけだったので、ゆういちとはんぶんコにしようと思いました。
『あれ？』
商店街の入り口で待ち合わせたはずなんだけど、ゆういちはいませんでした。
どこにいっちゃったんだろうな？
十分が過ぎても、二十分が過ぎてもゆういちは帰ってきませんでした。
すごく心配になりました。なにか事故にあってたらどうしよう？
ゆうかいされちゃってたらどうしよう・・・・
そんなことを考えていると、向こうのほうからゆういちが帰ってきました。
・・・・よかったぁ。事故にもあってないみたいでした。
ゆうかいもされてないみたいです。
でも、ゆういちにずっと待たされてたっていうのもくやしいので、言ってやりました。
『ゆういち・・・・うそつき』
『あ・・・・・』
もう、ホントに心配したんだからね！！
帰り道で、ゆういちはちょっとだけすまなさそうでした。
１２月３０日
今日、ゆういちは朝早くからどこかに出かけてしまいました。
わたしはとってもたいくつです。
けろぴーとお話するのもすぐに飽きちゃいます。
やっぱり・・・・ゆういちとお話したいなぁ・・・・
ゆういちが帰ってきたのは日が暮れてからでした。
わたしが帰ってきたゆういちに、
『なにしてたの？』
って聞いても、
『ちょっとな』
としか教えてくれませんでした。
ゆういち・・・・・・・・今日はなにしてたんだろう？
それからゆういちは、『疲れた』っていってすぐに寝てしまいました。
わたしは、もっとお話したかったんだけどな・・・・。
１２月３１日
朝起きたら、ちょっとあたまが痛かったです。
カゼひいちゃったのかなぁ・・・・
今日も、ゆういちは遅くまで帰ってきませんでした。
『おおみそか』だったんだけど、わたしはカゼでずっと寝てました。
なんだか・・・・・さびしいな
１月１日
今日は元旦です。ホントならお雑煮とかお母さんが作ってくれたおせち料理を食べているはずなんだけど、
わたしはカゼをひいているのでご飯はずっとおかゆです。
ゆういちは朝、ちょこちょこっとお母さんのおせち料理を食べてから、外に出かけてしまいました。
お母さんも、ちょっとだけ悲しそうな顔をしてました。
今年はお母さん、ゆういちくんをビックリさせるんだ、ってはりきっていたのに・・・・・
お母さん、かわいそうだな・・・・・。
やっぱり今日も、ゆういちは遅くまで帰ってきませんでした。
１月２日
今日はすこしだけ調子がよくなってきたので、ようやくお母さんのおせち料理を食べました。
やっぱり、お母さんのおせち料理はおいしいな。ゆういちも、もっとちゃんと食べればいいのに。
なんだか、ゆういちはいつも買い食いしてるみたい。
そんなだからお金もすぐになくなっちゃったみたいです。
今日はゆういちに『お金を貸してくれ』といわれました。
わたしが『わたしも厳しいんだよ』って言ったら、
『頼むから』といわれました。
うぅ〜ん・・・・頼まれてもなぁ・・・・。
そういったら、
『拝むから』といわれました。
拝まれてもどうしようもないのでわたしは、しかたなくゆういちに千円札をわたしました。
う〜ん・・・何に使うんだろう、ゆういち。
・・・・・・・・ゆういち、きちんと返してくれるのかなぁ・・・・。
それよりも最近、わたしはゆういちとゆっくりお話してません。
ゆういちはどうして平気なんだろう？
わたしはこんなに辛いのに。
ゆういちに逢えないことがこんなに辛いのに。
カゼなんかよりずっとつらいです。哀しいです。
だからわたしは、やっぱり、ゆういちのことが大好きなんだな、と思いました。
１月３日
熱がぶり返してきました。
ちょっと、重症みたいです。
熱をはかったら、今までみたことないような数値になってました。
すごく辛いので、お母さんと一緒に病院に行きました。
病院にいったら、すごく待たされて、あたまがぼぉっとしてしまいました。
すごく待たされたあと、お医者さんに診てもらいました。
・・・・服を脱がされて聴診器を当てられるのはちょっと恥ずかしかったです。
お医者さんから、インフルエンザだと言われました。
毎年、この時期は流行ってるみたいです。
わたし以外の他の患者さんも、みんなインフルエンザだそうです。
でも、わたしの熱はそれでも普通じゃないみたいなので、点滴を打ってもらうことになりました。
注射は痛かったけど、点滴が終わるころに目がさめてみると、ちょっとだけ気分がよくなってました。
『病は気から』というやつなのかな？
インフルエンザをゆういちやお母さんにうつすといけないので、わたしはひとりでベッドで寝ています。
ゆういちにおやすみなさいっていおうかな？とも思ったけど、お母さんから『明日にしなさい』といわれたので、
そうすることにして、今日は寝ます。明日は、カゼがなおってるといいな。
１月４日
あさ、起きてみると、体調がちょっとだけよくなってました。
あたまはまだ痛かったけど、なんとか朝ご飯はゆういちと食べられそうです。
よろよろとリビングに着てみると、なんだかゆういちが泣いてました。
最近、ゆういちの顔をあまりよく見ていなかったので、どうしたんだろう？と思いました。
まだおせち料理はいっぱい残っていたので、朝ご飯はそれでした。
でもゆういちはうつむいて全然食べません。
わたしは心配になりました。
『ゆういち、どうしたの？』
『・・・・・・・・』
ゆういちは、なにも答えませんでした。
『もしかしたらわたしのこと、心配してくれたのかな？』
『・・・・・・・・』
『だったらうれしいな』
『・・・・・・・・』
ちょっとだけ期待してたけど、違うみたいです。
『あはは・・・・わたし、カゼひいちゃった』
『・・・・・・・・』
『インフルエンザだって。ゆういちも気をつけたほうがいいよ』
『・・・・・・・・』
『ゆうい・・・・・』
『うるさい！！黙ってろ！！』
すごい勢いでゆういちが叫びました。
わたしはすごくビックリしました。
『・・・どうしたの？ゆういち、なにか・・・』
『うるさいって言ってるんだ！！ほっといてくれ！』
わたしはどうしようもなくなってお母さんのほうを見ました。
でもお母さんもうつむいたままで、なにも言ってくれませんでした。
どうしたんだろう、ふたりとも。
わたしは、一人だけ、仲間はずれにされてるような気がしました。
ううん、それよりも・・・・・ゆういちはわたしのこと・・・・きらいになっちゃったのかなぁ・・・
それからわたしはまたあたまが痛くなったのでベッドで寝てしまいました。
お昼ごろに目がさめてみると、お母さんとゆういちは、ふたりでどこかに行っちゃったみたいです。
リビングのテーブルにも、
『ふたりでちょっと出かけてきます』
とだけ書いてあって、やっぱりおせち料理の残りがラップに掛けられてました。
ひとりでつまみ食いするのはおいしいけど、ひとりで食べるおせち料理は全然おいしくなかったです。
ふたりとも・・・・・・どこにいったんだろう？
わたし、やっぱり仲間はずれなのかなぁ・・・・
ふたりは遅くまで帰ってきませんでした。
どこに行ってたのか聞こうとしましたが、ふたりともすごく顔が疲れていたので、
なにも聞けませんでした。
やっぱりわたしは、一人だけ仲間はずれにされた気分です。
１月５日
明日、ゆういちがお家に帰ります。
ホントはあさってまでいるはずだったんだけど、
どうしても早く帰らなきゃいけなくなったんだとお母さんが言ってました。
お母さん、やっぱりゆういちとおなじぐらい疲れた顔をしてました。
そのゆういちは、今朝からまたどこかに行ってしまいました。
そして、今日は雪が降ってます。
ゆういちは、どこかに行ってしまいました。
ジャケットも着ないで外に行ったみたいです。
外はすごく寒いです。ジャケットなしじゃすぐに凍えてしまいます。
わたしは、ゆういちを探さなきゃ、と思いました。
ゆういちは昨日からなにも話さないので、せめてなにか元気付けてあげようと思いました。
それから、ゆういちのことを好きだと言ってあげようと思いました。
ゆういちは、なんだか『世界の誰からも嫌われている』みたいな顔をしていたからです。
でも・・・・・・オトコのコを探していきなり『好きです』なんていうオンナのコって変かなぁ。
・・・・でも、これって熱のせいだよね・・・・・
わたしは、病気ですごく辛かったけど、外にでました。
わたしは、ゆういちに元気になってもらいたい一心で、外に出ました。
ゆういちのジャケットをもって、外に出ました。
お母さんにはばれないように、そおっとドアを空けて外に出ました。
一時間くらい経ちました。
わたしはちょっと寄り道してから、ゆういちを捜しました。
カゼでからだじゅうが痛かったけど、ガマンしました。
すごく時間は掛かったし、あたまも胸も両手もすごく痛いけど、
ゆういちはきっと、もっと辛いんだと思います。
そう思ったら、ゆういちがかわいそうになって、早く見つけてあげなくちゃ、と思いました。
商店街や公園やわたしの学校なんかにも行ってみましたが、ゆういちはいませんでした。
わたしがゆういちを見つけたのは、雪もひどくなり、日も沈みかかったような時でした。
・・・・・ようやくゆういちを見つけました。
雪のつもったベンチに座っているゆういち。
雪がつもってるのはベンチだけじゃなくてゆういちにも。
ずっと探してたゆういちは駅前の病院のまえにあるベンチに座ってました。
『・・・・・・・・ゆういち、やっとみつけた』
わたしは最後のちからをふりしぼって言いました。
『・・・家にずっと帰ってなかったから、ずっと捜してたんだよ』
『・・・・・・・・・・』
『・・・見せたいものがあったから・・・・』
『・・・・・・・・・・』
『・・ずっと・・・捜してたんだよ』
『・・・・・・・・・・』
『ほら、これって「雪うさぎ」っていうんだよ』
わたしはさっきがんばって作ったうさぎさんを、両手をあたまのうえに持っていきました。
『わたしがつくったんだよ』
『・・・・・・・・・・』
『わたしヘタだから時間掛かっちゃったけど・・・・一生懸命つくったんだよ』
『・・・・・・・・・・』
『あのね、ゆういち・・・・・・これ、受け取ってくれるかな？』
『・・・・・・・・・・』
『明日から、またしばらく逢えなくなっちゃうけど・・・・・・』
『・・・・・・・・・・』
『でも春が来て夏が来て・・・・秋が訪れて・・・・またこの街に雪が降り始めたとき・・・・』
『・・・・・・・・・・』
『また逢いにきてくれるよね？』
『・・・・・・・・・・』
『こんなものしか用意できなかったけど・・・・・』
『・・・・・・・・・・』
『わたしからゆういちへのプレゼントだよ』
『・・・・・・・・・・』
『受け取ってもらえるかな？』
『・・・・・・・・・・』
ゆういちは何も言わなかったから、ずっとわたしがしゃべってました。
カゼであたまもぼぉっとしてたけど、全部言えました。
両手の雪うさぎさんのおかげでわたしの手は痛いぐらいに冷たかったけど、
それでもゆういちのためだと思えばへっちゃらでした。
ゆういちのため・・・・・・・そう、ゆういちの・・・・・・
『わたし・・・・・・ずっといえなかったけど・・・・・ゆういちのこと、ずっと・・・・・』
バシッ！！
次の瞬間、わたしの両手は雪うさぎさんの冷たさから開放されてました。
わたしの両手はからっぽになってました。
その代わりに雪うさぎさんは・・・・・・・・・
『ゆういち・・・』
『・・・・・・・・・・・』
雪うさぎさんは、雪のうえにぐちゃぐちゃにされてました。
目もとれて、耳もつぶれた雪うさぎさん・・・・・・・・。
わたしの両手を掃ってそのままになっているゆういちの手は、
いつまでもそのままでした。
『・・・ゆういち、雪、嫌いなんだよね』
わたしは、泣かないよう、泣かないようにいいました。
ダメなんだから、ゆういちを元気付けなきゃダメなだから。
ぜんぶ・・・・・ゆういちのためなんだから。
そう思わないと、すぐにでも涙が出てきてしまいそうでした。
わたしは慌てて雪うさぎさんのかけらを集めました。
『ごめんね、わたしが・・・・・悪いんだよね』
『・・・・・・・・・』
ゆういちは、何かを言いたそうにしてましたが、言いませんでした。
『ゆういち・・・・・
・・・さっきの言葉
・・・もう一回言いたいから
・・・・明日会ってくれる？
・・・・ずっと、ここで待ってるから・・・
・・・・少しでいいから・・・・・
・・・・お願い、ゆういち・・・・』
それからわたしたちは、別々に帰ってすぐに寝ました。
ゆういちの荷物なんかはお母さんが全部やってくれたみたいです。
お母さんは、ゆういちの帰りが遅かったことに、なにも言いませんでした。
お母さんも・・・・・やっぱりなにか知ってるみたいです。
そして、わたしはお薬を飲んで寝ました。
明日・・・・・ゆういちはきてくれるかなぁ・・・・・・
１月６日
ゆういちは来ませんでした。
わたしはそのまま、雪のうえにたおれてしまいました。
次に目が覚めたのは病院のベッドでした。
幸いというかなんというか、倒れたのが病院の前だったおかげで、とりあえず命に別状はなかったようです。
肺炎だとお医者さんは言ってました。
カゼと、雪うさぎさんを作ったりした無理が祟ったみたいでした。
お母さんにも怒られました。
哀しそうな顔で怒っていました。
でも、意識がとんじゃっていて、わたしには何も聞こえませんでした。
わたしは、ずっとゆういちのことを考えてました。
そして・・・・・
お母さんは、ゆういちはもう来ないかもしれない、って言ってました。
どうして？ってきいても教えてくれませんでした。
ただ、哀しそうな顔をするだけでした。
だからきょうで、この日記を書くのを止めようと思います。
十年後のわたしへ・・・・・
もしまたゆういちに逢うことが出来たら、今度はゆういちを待たせちゃってください。
もうわたしは待つのは疲れちゃいました。
今度・・・もしゆういちに逢うことができたなら・・・・・
ほんのちょっとだけいぢわるしちゃってください。
これが・・・わたしのささやかな復讐です。
でも・・・・・あんまり待たせちゃうと可哀想かな？
そこなへんは・・・未来のわたしの裁量にまかせちゃいます。
それでは、また会う日まで・・・・・さようなら。
十年後。
『・・・・・・・（名雪）』
祐一は、わたしのベッドに座って、古びたアルバムを見てるみたい。
『どうしたの？祐一、アルバムなんかみちゃって』
『ん？いや、ちょっとな・・・・』
なんだか祐一・・・・泣いてるのかな？なんだろ？
そんなにわたし、可愛かったのかなぁ？
『なぁ、名雪・・・・・・』
『ん？なに？祐一』
『・・・・・・・・』
『・・・・・・・・（ん？）』
『・・・・・いや、なんでもない』
『・・・・・ヘンな祐一』
その時、祐一の持っていたアルバムから白くてかわいい手紙の封筒ががひらりと落ちました。
『名雪・・・・・・』
『ぅん？なぁに、祐一、さっきから』
わたしは、最初からわかってたくせにわざと問い詰めました。
『・・・ああ、その・・なんてぇか・・・・』
祐一、逃げちゃダメだからね。
わたしは目でそう訴えたつもりです。
さて、これから『ゆういち』はなんていうのかな？
わたしはきっと、それが聞きたくて、この手紙を残したんだろうから。
『ゆういち』に知って欲しくて、この手紙を書いたんだから。
忘れたくないから、忘れられたくないからこの手紙をアルバムにはさんだんだから。
『名雪、その・・・・・十年前は・・・・・・ゴメン』
『許しちゃう・・・今日は、特別サービスでイチゴサンデー１０杯で許してあげる』
きっと・・・・わたしはこのセリフが言いたくて、この手紙をのこしたんだろうから。
投票結果
久慈光樹 (採点:3)
手紙の最後、「裁量」が気になりました。でもよい話だと思います。
Rebyu (採点:5)
健気な名雪がとても良かったと思います
ugen (採点:5)
過去の名雪の性格が良い落ちはひねりが足りない
グＥ (採点:5)
昔の名雪の描写がかわいらしくてよかったです。それと、さいごの手紙が非常によかったです。名雪の気持ちがひしひしと伝わってきました。
ヘキサ (採点:4)
面白かったです。
Ｇａｒａ (採点:2)
知ってて読ませちゃったら、ただの根性悪では…
白 (採点:3)
１０年前の日記にしては「厳しい」なんてムズい漢字を・・・。
TOM (採点:3)
名雪のやさしさを再認識させられました。こうしてみると祐一って鬼。
フール (採点:5)
内容などはとても良かったのですけれど、10年前の名雪が難しい漢字を使っているのはどうかと・・・
kuryu (採点:3)
心に染みる日記です。
かずき (採点:3)
名雪がかわいいし、怖い。
舞耶 (採点:3)
相変わらず小悪魔っすねｗ
橘征五郎 (採点:1)
まずは基本的な文章作法の勉強を。いったいいつ日記が手紙に変わったんだろうか。設定がいい加減。そもそもこれでは日記でも手紙でもなく、単なる名雪視点ですます調のSSでしかない。小さな名雪がこの文章を書いている様子をちらとでも想像してみたのだろうか甚だ疑問。例えば、祐一に雪うさぎを壊されたその晩に、こんな冷静に起こった出来事を日記に残すことが出来るだろうか？ リアリティというものが皆無。他にも「あさ」「あたま」などが平仮名なのに何故か「聴診器」が漢字であったり、思考が10歳名雪らしくなかったり。
トリプル (採点:5)
プロローグへと続く、ちょっとだけのいぢわる。良かったです。
荒野草途伸 (採点:5)
やっぱり、名雪の２時間待たせは確信犯だよな！
雨音 (採点:2)
日記形式で書くんなら文章も日記らしくしないと違和感出ますよ。日記に『……』を書く人は居ないでしょう？（苦笑
浮動明王 (採点:4)
名雪には外観と裏腹の鬱屈した思いがあるように私は感じてました 10年後の自分宛てに手紙を残すなんていかにもやりそうですね
taka (採点:4)
過去の話ですか。私的には結構ぐっどです。
Time (採点:5)
No.1から読んでいて、初めて涙目…。名雪の気持ちを知った祐一の感情が、直に伝わってくる作品だったとおもいます
はぐ (採点:1)
採点不能「最悪です」 感じた事：日記形式、と見た瞬間期待したんですが見事に外れました。まず、あの年代の子供の書く文章を見たほうがいいですね。
神代 悠 (採点:4)
名雪…ほんといい娘ですねぇ…
naoki (採点:3)
一月五日とかは、感情ばかりが先走って、日記なんて冷静にかけない気もしますけど。
全採点
5点 : 16
4点 : 36
3点 : 55
2点 : 22
1点 : 14
このSSは、作者の方に二次著作権が存在します。
転載、無断引用を固く禁止します。
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