ゆーいちの布団
がちゃ。
「ゆーいち、起きてる?」
あれ、布団がめくれてる。もう起きちゃったのかな。
「えいっ！」
ぽんって感じでゆーいちのベットに飛び乗ってみる。
ベットが軋む声を上げて、静かになった。
……あたたかい。まだゆーいちのぬくもりが残ってる。
もっとぬくもりを確かめたくて寝そべってみた。
「ん〜」
そばにあった枕を抱きしめて顔をこすり付けてみたらゆーいちの匂いがした。
ゆーいちの匂いを感じると不思議と心が安らぐの……。
「あぅ、ちょっと寒いかも」
暖かくなってきたとはいっても、まだまだパジャマでいるには寒い夜だった。
がばっ、て感じで布団を頭から被せてみたら、ゆーいちの温もりと残り香がすごいの。
なんだかちょっと嬉しくなって「んぅ〜」とかいって自分でもよくわからないうめき声を上げながらベットの上をゴロゴロしていたら、
むぎゅっ
ていう感じで真琴の上に誰かが乗っかってきて、苦しくなってジタバタ暴れたの。
もぅ、こんなことする人は一人しか居ない。
それで、やっとの思いで布団から顔を出したら、苦笑いというか、真琴をからかうような笑みを浮かべた奴が真琴の顔のそばに両肘をついて、真琴の顔をのぞき込んでた。
ほら、やっぱりゆーいちだった。
「ぷはっ」
「こーら、ひとのベットの上でなにやってんだ」
「あぅー」
ゆーいちは布団越しに覆い被さるような形で真琴の上に乗ってるみたい。真琴は小さいからそれだけで身動きが出来なくなる。……というより、身動きしたくない、かな。
「おはよ、ゆーいち」
「まだ夜だ。しかも深夜だ」
わざとらしく目じりにシワを寄せてゆーいちがいう。
「そんな細かいこと気にするなんて男らしくない」
「ほぉ〜、その台詞はもう少し女らしくならないと説得力がないな」
憎まれ口を叩くその顔に、真琴は何気なく左手を伸ばしてその顔に触れて、ただ一言、
「キス、したい」
て、いった。
「唐突だな」
「うん、なんかそんな気分」
「そうか」
真琴は目を閉じて静かに待った。そして、あったかくて柔らかい感触を口元に感じて、 真琴は両腕をゆーいちの首に捲きつけて、ぎゅって抱きしめた。
しばらくして祐一がぽんぽんて、真琴の頭をたたく。それは、離れよう、ていう合図。
手を解いてゆーいちを開放したら、スっと重さが消えてた。
そして、つかの間冷気を感じてゆーいちがお布団の中に入ってきた。
「もう夜も遅いからさっさと寝るぞ」
そういってゆーいちは背中を向けて眠りだした。
でも、このままでは真琴はつまらない。なので、順序が逆になっちゃったけど、ゆーいちが眠っていた時のいたずらを実行することにする。
こちょこちょ。
真琴は祐一のわき腹をくすぐった。でも祐一は背中を向けたまま身動きもしない。むきになってあっちこちくすぐってみたけど、全然ダメ。
うーん、反応が無いなぁ。しかたがない、取って置きのやつを出そう。
じゃ―ん、猫じゃらし〜。
いつもはぴろを相手にして使っているものだけど、このふさふさした感じがくすぐるのに丁度いい感じなの。
そして、真琴は笑みがこぼれそうになるのを左手で抑えながら、一方の空いた手を使って猫じゃらしを祐一の首筋に触れるか触れないかのところですっとなでた。
「ぐはっ」
「やったっ、動いた動いたぁ」
「ま〜こ〜と〜」
「あはははははっ」
ゆーいちは仕返しだと言わんばかりに真琴をくすぐりだした。反撃したいけど全然余裕無くって、笑い転げてた。
そして、しばらくしてくすぐり疲れたのか、ゆーいちは真琴をくすぐっていた手を休めた。
「あははっ、……はぁはぁ、あー疲れた」
「真琴」
「……ん」
ゆーいちは真琴の首に手を回して、唇を押し当ててきた。
ちゅっ、て水音がして、すこし深いキス。
「唐突だね」
「まあな。……で、今日は一体どうしたんだ？」
「え？」
「こんな深夜に俺の部屋に来るの、久しぶりじゃないか？」
「あ、うん……」
その時、胸の奥の方からきゅーって締め付けられるような痛みが蘇ってきた。でも、今は祐一が抱きしめてくれているから、無くなりはしなかったけど胸の痛みはすぐに和らいだ。
「……め……」
「ん？」
「……夢を見たの」
「うん、それで？」
「それでね、いつかゆーいちと登った丘の上で、真琴、一人ぼっちになってたの」
「ぴろも、ゆーいちも居なくて、ずっとひとり」
「寂しくて死んじゃいそうなのに、でもやっぱり一人で……どうしょうもなくって……」
「ごめんな」
「どうしてゆーいちが謝るの？」
「たぶん、俺のせいだから」
「うん、そんな気がする。でもありがと」
「なんで礼をいうんだ？」
「なんとなく……うん、今はゆーいち、そばにいてくれているから、だと思う」
「そうか」
真琴はゆーいちの胸に顔を埋めて、ぬくもりを確かめる。
あったかい……。
こうやってゆーいちの匂いとぬくもりを感じていれば、真琴はとても満たされた気持ちになって、ずっとこうしていたくなる。
ずっと憧れていて、届きそうで届かなかったものが、今ここにあるような気がして……。
そう思ったら、胸からこみ上げてくるものがあって涙が出てきた。
「真琴」
「……ぅん」
ゆーいちと何度目かのキスをして、ゆーいちの腕の中にある安らぎに包まれながら、真琴はまどろみ始めた意識の中で、
今度はいい夢が見れますように。
と、ささやかだけど、幸せな願いを思い浮かべたのだった……。
投票結果
KOU (採点:5)
真琴萌え〜！っていうか可愛すぎ！
雨音 (採点:1)
真琴、可愛かったです。でも地の文は少し雑に感じました。
Ｇすぽると (採点:3)
隣に愛する人がいる幸せがきっちり出ているので読んでいて気持ちよかったです。
荒野草途伸 (採点:3)
前半は良かったけどなあ・・・
紅 虹葉 (採点:4)
まこぴ〜！か〜わ〜い〜い〜ぞ〜
殺陣倉Xp (採点:4)
こっちまで当てられるほど幸せそうです
グＥ (採点:2)
祐一と真琴のほのぼのとした雰囲気がいい感じでした。
かずき (採点:2)
ちょっとえちだ
yuxsan (採点:4)
暖かいストーリーでした〜
ugen (採点:3)
やまがない
kuryu (採点:3)
真琴らしさがにじみ出てよかったです。
橘征五郎 (採点:3)
ほのぼのとした雰囲気と、真琴の可愛さはよく描けている。真琴一人称であるのに、最後の最後だけが三人称になってしまっている。
taka (採点:4)
ありがちですが、真琴が最高に可愛かったです。
naoki (採点:3)
真琴が幼児化している……。悪くはないですけどねぇ。
全採点
5点 : 3
4点 : 25
3点 : 71
2点 : 33
1点 : 13
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