凍りついた季節
２月…
あなたは、旅立った。
こうなることは分かっていた。
分かっていたのに…
何もできなかった。
何もしようとしなかった。
私が悪かったの…
ごめんね…
栞……
朝。
いつもの学校。
いつもの教室。
ぽっかりと忘れ去られたような空間。
主人がいない机に、ふと、寂しさを憶える。
「ねぇ、祐一。今日も香里、お休みだね」
「あぁ、そうだな。でも、どうせ風邪だろ？ そんな心配するほどじゃないって」
香里が学校に来なくなってから随分と経った。
三年生は、卒業を目前に、少し長めの春休みに入っている。
この街の冬はますます厳しさを増して、春の訪れを拒んでいる。
「そうなんだけど…でも、やっぱり心配だよ」
「そんなに心配なら、見舞いにでも行くか？」
「…うん、そうだね。そうだ、北川君も誘ってあげようよ」
「そうだな、あいつも少しは元気になるだろうからな」
最初は元気だった北川も今ではすっかり落ちこんでいる。
それは香里が休みだして時間が経つのと共に酷くなっていく。
「おい、北川」
後ろに座っていた北川に声をかける。
「……ん？」
その声は精気が無く、顔はどことなく痩せこけている。
「今日の放課後、香里の家に見舞いに行くんだが、お前も行くか？」
どこか痛々しい北川を見ながら話しを進める。
「……！！ 今、なんて言った！？」
北川の顔色が変わった。
声も精気に満ちている。
「だから、今日、香里の家に行くんだって」
「行く、俺も行くぞ！！ よ、よし、今すぐ行くぞ、相沢！！」
「だから放課後だって…」
この、嬉しそうな北川を見るのは本当に久しぶりな気がした。
放課後。
空は今にも泣き出しそうで……
「なんだか、今にも降り出しそうだな」
「うん、だから早く行こうよ」
「そうだぞ相沢、早く行くぞ」
そう言って、北川だけが、やけに張りきり、歩き出す。
俺と名雪もそれに続く。
しばらく歩いて……
「ところで北川、お前、香里の家、知ってるのか？」
素朴な疑問。
だが、その質問で北川の歩みが止まった。
「……知らない」
「お前……どうやって家まで行くつもりだったんだ？」
「………」
どうやら何も考えずに歩いていたらしい。
香里が絡むといつもこうだ…
まぁ、北川らしいと言えば、らしいが。
「私、知ってるよ」
「お、偉いぞ名雪。さすがに親友だけのことはあるな」
と、いうことで名雪の後に付いて歩く。
「ここだよ」
しばらく歩くと、名雪は、一軒の家の前で止まった。
表札には美坂の文字。
どうやら間違いなさそうだ。
名雪が、インターホンを押す。
沈黙。
「香里、いないのかな？」
「もしかしたら、寝てるのかもな」
しばらくしてドアが開いた。
「あら、名雪じゃない。どうしたの？」
中からは香里が。
しばらく見ないうちに、少し痩たように見える。
「えと…香里、最近学校来てないから心配になって……」
「まぁ、見舞いだ」
名雪がもたもたしているので俺が代わりに言ってやる。
「あら、相沢君も来てたの？」
「ついでに北川も来てるぞ」
「よ、よぉ…」
少し、戸惑ったような北川の反応。
「皆、久しぶりね。とにかく中に入って」
言われるままに家の中へ入る。
家の中は暗く。
まったくと言っていいほど生活感が感じられない。
香里の後に付いて二階に上がった。
短い廊下。
そこでひとつのドアを通り過ぎる。
廊下の突き当たり。
そこには同じようなドアがひとつ。
そこで香里は止まった。
「ここが私の部屋よ」
「ここが香里の部屋なんだ」
名雪が小さく呟いた。
「なんだ、お前、香里の家に来たことあるんだろ？」
「でも、中に入れてもらったことはないよ」
カチッ。
小さな音がした。
「さ、入って」
一歩足を踏み入れる。
目を疑った。
破れたカーテン。
無残に投げ出された本。
部屋の所々に赤茶色のシミが。
白い筈の壁でさえ赤茶色の絵の具を撒き散らしたようになっている。
そして、充満する甘ったるい匂い。
「……なんなんだ、これ？」
やっと絞り出した声は、やけにかすれていた。
名雪も北川も口を開けたままで立尽くしている。
「そういえば、紹介まだだったわね」
そう言って、香里は部屋の隅に置かれている大きな熊のぬいぐるみの側に座った。
その場所は、無数のアイスのカップと、溶けたアイスの液が、水溜りのようになっている。
「この子は美坂 栞、私の妹よ。ほら、栞、挨拶は？」
もちろん、ぬいぐるみが喋る筈が無い。
北川も何が起こっているのか分からないといった表情をしている。
そんなことは気にせず香里は続ける。
「ちゃんと挨拶しなきゃダメじゃない。……もう、この子ったら。この子、無口だから許してあげてね」
「お……おい、美坂…美坂！！」
北川が初めて口を開いた。
「……い、嫌…嫌ぁぁぁぁぁ！！」
名雪が微かに悲鳴をあげた。
だが、香里は喋るのを止めない。
「この子、アイスが大好きなの。だからってアイスしか食べないのよ。おかしいでしょ？」
そう言ってぬいぐるみに向かって微笑む香里。
そんな香里の姿を見て名雪は泣いている。
北川も今にも泣き出しそうな表情だ。
香里の体が突然傾いた。
そう思った瞬間、香里は倒れた。
「……おい、おい美坂！！」
何が起こったのかも分からず立ち竦む俺。
そんな俺の横を抜け、北川が香里の側に行く。
「相沢、救急車だ！！ 早く！！」
そう言われるまで俺は、立ち竦み、何も出来なかった。
名雪は廊下で泣き続けていた。
外は雪がしんしんと降り、静かな夜だった。
暗い部屋。
時計の音がやけに大きく聞こえる。
壁一枚隔てて聞こえてきていた、名雪の嗚咽も、今は、聞こえない。
時計の電池を抜いた。
あれほど大きく耳障りだった音が止んだ。
何も考えたくなかった。
考えることは沢山あるような気がした。
でも、俺が考えても仕方が無いとも思った。
あれから俺達は、救急車を呼び香里を病院まで送った。
北川は、香里に付き添い、病院へ行った。
俺は、名雪を連れて家に帰った。
俺に分かっていること。
それは友達が心を病んでいたということ。
俺や北川にも相談せず、親友の名雪にさえ語らなかった。
心の傷。
そして、心が悲鳴をあげ……壊れた。
それが悲しかった。
もう、それ以上何も考えたくない。
考えたくなかったんだ……
朝。
すっきりしない目覚め。
重い頭を持ち上げる。
寒い。
カーテンを開ける。
「…雪……か」
水瀬家の食卓。
「おはようございます。祐一さん」
いつもの秋子さんの声。
それすらも今は、聞きたくなかった。
「……おはようございます」
何も食べる気にはなれなかった。
ただ、学校には、行こうと思った。
ここにいると、余計なことを考えそうだから……
だから、コーヒーを一杯、胃に流しこむと席を立った。
「行って来ます…」
「待ってください」
玄関で靴を履いていると秋子さんに呼びとめられた。
「……なんでしょうか？」
「何があったか知りませんが、祐一さんだけは強くあってください……名雪のためにも」
その言葉がやけに軽薄で、無責任な言葉に聞こえた。
そのまま俺は、家を出る。
その朝、名雪の顔を見ることはなかった。
学校。
北川は学校には来ていなかった。
いつもと同じように時が動き、人が動く。
退屈な授業。
何を言っても、今は頭に入ってこない。
やがて、四時間目の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。
それと同時に鳴り響く腹の虫。
こんな時でさえも、腹は減るのかと冷笑しながらも自分の体が、恨めしい。
仕方が無く学食へ向う。
今では、四人で学食に行っていた日々が懐かしい。
学食へ向う途中に昇降口がある。
そこに、ひとりの女学生が立っていた。
見なれたはずのその顔に、驚きを隠せない。
「名雪…」
「祐一、ちょっといいかな？」
屋上へ続く階段の小さな踊り場。
そこに俺達は、いた。
「祐一、お腹空いてるでしょ？ これ、お弁当」
弁当を受け取る。
中には、秋子さんが作ったと思われるおかずが数種類。
「…名雪、話しってなんだ？」
「…うん、お弁当食べてからにしようよ」
自分に言い聞かせるように小さく頷き名雪が言った。
とりあえず弁当を食べる。
一口、一口、口に運ぶごとに食べなれた秋子さんの味が口に広がる。
名雪が食べ終わるまでの時間がやけに長く感じられた。
やがて弁当も食べ終わり名雪が口を開いた。
「ごちそうさま」
丁寧に弁当を片付けながら名雪が呟いた。
「話しって？」
少しの間をあとに名雪が決心したように話し出す。
「うん、私ね、香里のこと大好きだよ。今までだっていっぱい助けてもらったし、優しくしてもらった」
一言、一言、選ぶように言葉を紡ぐ名雪。
俺は、以前もこの光景を見たことがあるような気がした。
それはずっと昔で……
「でもね、昨日の香里を見て思ったの……私、香里を助けてあげること出来なかった…って」
そこまで話して名雪の目から雫がこぼれ落ちた。
「……だからね、今度は私が香里を助けたいの…」
既に泣きはらした目をさらに赤くしながらも話しを続ける。
「強いな……名雪は」
「そんなことないよ……私、祐一がいなかったら挫けちゃってた……」
「俺は、何もしてないよ。それがお前の、名雪の強さなんだ」
「でも、祐一に支えてほしいよ……これからも支えてくれるかな？ 私のこと守ってくれるかな？」
その答えを俺は言えなかった。
いや、知らなかったんだ……
そっと名雪が体を預けてくる。
そして、静かに涙を流した。
病院。
白い壁。
白い床。
白いシーツに布団。
全てが白で統一された部屋。
「すー、すー」
静かな寝息。
そこで美坂は眠っている。
手には点滴を刺すための何本もの管。
そして、無数の切り口が腕には刻まれている。
これで美坂は…
そう思うと不甲斐ない自分が嫌になる。
今は、精神安定剤と睡眠薬で落ちついてはいるが、一度、眠りから覚めれば酷いものだった。
既にいない妹の名前を何度も叫び続ける。
そうなるたびに薬を投与する。
その繰り返しだ。
香里の看病をして、まだ一睡もしていない北川の頬は痩せ、窪んでいる。
ガチャ……
今にも意識が飛びそうになるのをやっとの思いで留めていた時だった。
ドアの開く音。
緊張感で満たされていた部屋から少し、
それと同時に相沢と水瀬の顔が見えた。
「相沢に、水瀬か……」
北川は、やつれた頬を持ち上げ微かに笑ってみせた。
「北川君、大丈夫？」
心配そうな名雪の表情も、暗い。
「もしかして寝てないのか？」
「大丈夫だ。それより美坂の両親を見なかったか？」
黙って首を振る祐一。
「そうか……」
「どうかしたのか？」
「…連絡がとれないんだ」
それがどういうことか悟るのに、多くの時間はいらなかったようだ。
多分もう、美坂が両親と会うことはない。
こみ上げてくる怒りを必死に抑える。
「……あとは俺達に任せて寝てこいよ」
「ああ、それじゃあちょっと休ませてもらうとするよ」
北川は、よろける体を無理矢理持ち上げ病室をあとにする。
家に着くと、すぐにベッドに体を横たえた。
冷たい感触。
だが、そんなものは気にならなかった。
すぐに眠りに落ちていく。
夢。
夢を見ている。
それは桜の季節。
窓辺で、ひとり、外の風景に思いを馳せる人。
その人の背中は寂しげで……そして、美しい横顔。
桜の花が散り始めた季節。
その人は、散り始めた桜に思いを馳せていた。
その横顔はかな悲しげだった。
「何、見てるんだ？」
初めて話しかけた。
「…桜を見てただけよ」
美しい声。
そして、悲しい声。
「そっか、綺麗だもんな」
ふたり、窓の外に思いを馳せる。
「あの…美坂さん、ちょっといいかな？」
突然の声。
「…何？」
素っ気無い言葉。
「えっとね、昨日ね、イチゴサンデーの美味しいお店見付けたんだよ」
「……だから？」
素っ気無い返事。
「だからね……えっと……」
「つまり、美坂とその店に行きたいって事だろ？ 水瀬」
仕方なく助け舟をだしてやる。
「わ。北川君、私の名前しってたんだ」
驚いているのは言葉だけで、口調はいたって穏やかだ。
「そりゃ、カワイイ女の子の名前は、憶えておくもんだからな」
そんな軽口を叩く俺に、冷たい視線。
「私はいいわ……あなた達ふたりで行ってくれば？」
「そんなこと言わずに一緒に行こうよ」
水瀬が懸命に説得する。
「そうだぞ、美坂も付き合えよ。それに俺は、美坂と行きたいな」
自然に言葉が出てきた。
「な、何言ってるのよ」
赤くなる美坂。
「ダメか？ 美坂」
「……仕方ないわね」
小さくため息をつく。
「そのかわり……今日は北川君の奢りよ」
「わ。ありがとう、北川君」
嬉しそうな水瀬。
そして、初めて美坂が笑った。
俺も自然に笑みが零れていた。
季節は桜が散り始めた頃。
初夏の匂いが微かに香る季節。
深夜。
もうすぐ、今日が終わり、新しい一日が始まる。
「ふぁ〜」
名雪が、今日何度目かの欠伸をする。
「眠いのか、名雪？ 先に帰ってもいいんだぞ」
「うにゅ？ 大丈夫だよ」
目をごしごしと擦る名雪。
沈黙。
「静かな夜だね」
呟くように名雪が言った。
「急にどうしたんだ？」
「どうもしないよ。ただ…祐一と一緒にいれるのが嬉しいんだよ」
その瞳は俺のほうを向いている。
俺は、心の奥底。
最も大事な部分を見られているような気がして……
「やめろよ……こんな時に……」
「ごめん……祐一」
悲しげな名雪。
その表情が痛かった。
重い沈黙。
日付の変わった病室。
ふたり、一言も喋らなかった。
言葉を交わせば、お互いを傷つけてしまいそうで……
「……私、飲み物…買ってくるね」
最初に言葉を発したのは名雪。
「コーヒーでいいよね？」
「……あぁ」
素っ気無い返事。
それが、今俺にできる最高の返事。
「わかったよ」
微かに呟くとドアが開く音がした。
冷たい空気と入れ替わるように、張り詰めた空気が抜けていく。
そして、ドアの閉まる音。
相変わらず、付きまとう沈黙。
その時、微かに香里の体が動いた。
「……う、う〜ん」
微かに目が開いた。
「ここは……？」
「病院だよ」
「……あら、相沢君。私、なんでここに？」
少し、頭が混乱してるらしい。
「そういえば栞は？ 栞はどこなの？」
「香里……」
「相沢君、栞は！？ 私の妹はどこにいるの！？」
必死に、いない妹を探す香里。
そんな姿を見るのは……悲しかった。
辛かった。
だから……
「……香里、よく聞いてくれ。栞は、妹はもういないんだ……」
真実を伝えた。
「……何…言ってるのよ……相沢君だって見たでしょ？ 私の妹を……」
香里は泣いていた。
ただ子供の様に……
「……嫌、栞に会わせてよ……お願いだから……」
俺は首を振る。
「もう、いないんだ……死んだんだよ……」
「…そんなの嘘よ……嫌……嫌ぁぁぁぁぁぁ、っん……」
咄嗟に唇を重ねていた。
柔らかくて、暖かい。
ガチャ。
ドアの開く音。
カタンッ……
「な、名雪……」
目には微かな涙。
「……祐一、何……やってるの？ ……そっか、私、邪魔だったね」
そう呟くと走り去って行った。
パシィン。
鈍い痛み。
「……出ていってよ……今すぐ出ていってよ！！」
香里は泣いていた。
名雪も泣いていた。
廊下に転がっている、二つの缶コーヒーだけが暖かかった。
家に帰ると、冷たいベッドだけが迎えてくれた。
闇。
全てを埋め尽くす。
心まで呑み込まれそうな闇。
そっと唇に指を触れてみる。
柔らかい感触。
温もり。
その全てがまだ、確かに残っている。
何度も、自分に問い掛けた。
帰ってくるのは、不確かな感情の波。
それが、なんなのか？
何度もそれを問い。
答えが、出ない。
俺は、あいつを……香里をどう思っているんだ？
俺は…俺の気持ちは……
答えのでない問題に何度も苦悩して……
最後は闇。
不確かな感情。
不確かな心。
今、その全てが、闇に消えていく。
ずっと考えていた。
いつからだろう？
あいつのことが気になっていったのは。
いつからか始まった片思い。
「ふぅ……」
小さなため息。
二日ぶりに訪れた学校。
相沢も水瀬もいない学校。
そして、美坂のいない場所。
そこは、なんの意味も無い場所に思えた。
昼間の病院。
静かな部屋。
そこに居るのは私と眠っている香里だけ。
その頬には涙の痕。
「香里、聞いてるかな？」
返事は無い。
「私ね、昨日ずっと考えたんだよ。香里なら祐一とお似合いかもって……」
一筋の涙が頬を伝い、床に落ちる。
「でも、やっぱり私、祐一が好きだよ。……こんなのって、辛いよね……だから、今日で終わりにするよ。私、祐一に……」
そこまで言って、言葉を止めた。
「それじゃ、私、もう行くね」
そう言い残し、名雪は病室をあとにする。
夕暮れの赤が教室を包みこんでいた。
クラスの奴らはもう帰ってしまっている。
「……話しって、なんだ？」
先に口を開いたのは祐一。
「答え……聞かせてくれるかな？」
微かに聞こえる程度の小さな声。
夕日で顔を見ることはできない。
「……俺は……もう、お前を守れない」
赤く染まる教室。
「そっか……祐一は香里が好きなんだね？ 私じゃなくて香里が……好きなんだ」
震える声。
「……ごめん、でも、もし、香里がいなかったら俺は……名雪を好きになってたと思う」
その言葉がふたりの時間を埋めた。
「遅いよ……遅すぎたんだよ…全部」
ずっと続いてきた思い。
今、名雪の恋に、二度目の終わりが訪れる。
「祐一は……幸せになってね」
それが名雪の優しさ。
全てだった。
雪の降る中庭。
「相沢、話しってなんだ？」
いつもの調子で北川が話しかける。
「……俺は、香里が好きだ」
祐一の突然の言葉。
「……本気か？」
「あぁ……」
「……そうか…」
祐一は校舎に入っていった。
北川はひとり、空を見上げていた。
数年後。
満開の桜。
漂う春の香り。
「もう、随分と経ったわね」
一つの墓の前で手を合わせ呟いた。
「ねぇ、栞、元気にしてる？」
溶け始めた雪。
「私、あなたの分まで幸せになるから。だから……見守っていて」
爽やかな風が通り過ぎた。
「そろそろ行こうか」
ある、春の日。
「そうね、そろそろ行きましょう」
凍った季節は終わり、新しい季節が訪れようとしていた。
ふたり、永遠に幸せに……
限りある永遠は終わりを告げた。
投票結果
Ｇすぽると (採点:2)
前半、香里が良い感じで壊れていたからどうなるか期待していたんですが、なんか偉くあっさりした引き方だったんで拍子抜けしました。もう少し名雪や北川の内面の葛藤を描いた方が良かったんじゃないかと思いました。
akira (採点:4)
栞BADエンド後のシリアス（どちらかと言えばダークに分類されるのかな？）ですね。妹を失った香里の中の糸、祐一、香里、名雪、北川の4人組の輪の崩壊、読んでいて結構辛かったです。
荒野草途伸 (採点:3)
うーん・・・・香里って、こんな取り乱すかなあ？
Ｂ・Ｃ (採点:4)
「誰かの思考」という書き方がちょっと多いかなとも思うが、描写が見事です。
かれーまん (採点:3)
最後の文が解釈できなかったので・・・。
Doll (採点:1)
Kanon原作のテイストを強く残したこのような「軽い」文では、サイコホラーのようなジャンルを描くのは不向きだと思います。これを書くのなら、もっとふさわしい自分なりの文体をもって挑戦するべきでは。
kuryu (採点:2)
感情の掘り下げが足りない気がします。
sein (採点:5)
すごくよかったです。
はまのじ (採点:2)
ラスト辺りの書き込みが足りない気がする。全体の流れはわりと好きな感じだけに惜しい。
Ｇａｒａ (採点:2)
香里を選んでいる理由が希薄。唐突に途中で決まった印象。
グＥ (採点:3)
香里の悩みとかを描いたシーンはよかったのですが、最後の展開が唐突過ぎたのが残念でした。
コンタミン (採点:4)
あまりにも唐突な展開と後味の悪さが……。不幸系の話としてみれば○。
かずき (採点:1)
ダークなのは良いんだが、なぜ祐一なんだ？
Ｔａka (採点:4)
前半の雰囲気を後半まで続けてほしかった。前半だけなら文句なしに５。
ugen (採点:2)
話の焦点がボケていてどんな話にしたいのかが見えない
橘征五郎 (採点:1)
ストーリーは悪くはないのだが、キャラクター、プロット、テキストが酷い。特にあのラストは読者を馬鹿にしているのだろうか？ ご都合主義の塊。
雨音 (採点:1)
後半は展開が早すぎて意味不明気味（？）でした。
naoki (採点:1)
ダークは好きです。……が、考証不足にもほどがあります。
Time (採点:4)
数年が気になる…。
はぐ (採点:1)
採点不能「最悪です」 感じた事：いきなり叫ばせるから台無し。狂人描くなら、もっとそこを引き伸ばさないと伝わらない。ただ、こいつは狂ったんだぞーって書いてるだけのことで中途半端。最初の３人はしっかり書かれてるなぁと思ったけど。こういうのは「人間」の観察眼とシーンの見せ方でなんぼです。
taka (採点:2)
・・・・・暗くてちょっと引いたところもありましたが、話的にはよかったと思います。
全採点
5点 : 3
4点 : 16
3点 : 50
2点 : 50
1点 : 24
このSSは、作者の方に二次著作権が存在します。
転載、無断引用を固く禁止します。
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