「〜守るべきなにかを〜」
暖房も効いてやしない・・・ここはコクピットの中。以前の俺には・・そう、あの名雪や香里、北川達と楽しくはしゃいでいたあの高校生の頃では予想も出来なかっただろう。今自分がこのような状況下でこんな所にいるなんて・・・。
「北川、気分はどうだ？
自分以外誰も居ない密室の中で問い掛けた俺の言葉の返事が１００キロ先にいる人物から無線で届く。
「上々だね。・・・しかし、この寒さだけはなんとかしてほしいんだけどなぁ。
そうだった、寒かったんだ。しかし寒いというのは嫌な所ばかりではない、まず集中力が高まる。それと自我の確立だ、今自分がどういう状況にいるか何をすべきか？これらを瞬時に判断しなければならない状況での寒さは逆にありがたいものだった。それになにより・・・・・・寒い所で吸うタバコは旨い。
――――――――― シーン１ ――――――――――――変わらぬ日常であり。
「うぉい！起きろ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜！！！！！
高校を卒業し専門学生になっても俺の朝の日課は変わらない。
「うにゅう、今日はお休みだ・・・・・お。
嘘を付け、今日は「私が考えた新メニューが追加されるんだよ！」ってあんなに張り切ってたくせに・・・
「むにゃ・・・イチゴサタデーだおー。
なんてかっちょ悪いネーミングだろう、この世にネーミングのパクリほど羞恥心全開なものは無い。日曜を土曜に変えただけじゃないか！・・・よし、俺がいっちょスンバラシイ名前を考えてやろう。そうだな・・・“春風のごとく、蛇イチゴ”なんてどうだ？・・・いいねぇ。まるで詩を詠っているようなネーミングで且つそれを一口でも口にすればシビれてしまいそうな名前に勢いがある。うん、今日店に行ってマジックで書き換えてやろう！
そんなおバカなことに思考をフル回転させていると名雪は目を覚ましてしまった。
「えっ！もうこんな時間！？また店長と栞ちゃんにおこられるよ！
そう、名雪と栞の甘党コンビは高校を卒業してすぐ百花屋にバイトで入り、一ヶ月で正社員になったという出世街道まっしぐら（？）ぶりをみせていた。
そんなこんなでリビングに向かう名雪と祐一。
「お母さん、朝ごはん〜時間ないよー。
「あらあら、もっと早く起きればそんなに慌てなくてもいいのに。
秋子さんの言う事はもっともだ、しかし名雪の言う事はもっともっともだった。
「それができれば苦労はしないよー。
俺は朝飯の準備が出来るまで一服をする。食後の一服は旨いけど、食う前の一服は気持ちが良い。
「祐一〜。煙草は体にわるいんだよー。肺が真っ黒になっちゃうんだよー。寿命が縮まっちゃうんだよー。
「今日より昨日！一昨日より明後日だ！！
「意味がわからないよー。
このことに関してはまことことしやかにさらっと流した方がいい。それが喫煙者のルールだ。喫煙者と非喫煙者の討論ほど無意味なものは無い。なぜかというと喫煙者でさえ、体に良くないとわかっていながら開き直っているからだ。しかし、“百害あって一利なし”とよく言われるが煙草を吸っていい気分になるんだから一利ぐらいはあってもいいんじゃないかと思うんだが・・・
「煙草を吸うと元気な赤ちゃんができないんだよー。やだよー。
「そのことが何か名雪に関係あるのか？
「えっ、その・・・あの・・・うー。祐一いじわるだよー。
名雪が真っ赤になって返答に困っている、それもそうだろう。否定しようが肯定しようがこっぱずかしいことこの上ないのだから。
「祐一さん。あんまり名雪をいじめちゃダメよ。
朝食を済ませると俺と名雪は玄関で別れる。俺は専門学校に、名雪は仕事に向かう。
「じゃあ祐一！私は急ぐから！！
あっという間に名雪は俺の視界から消えた。
「６秒フラットだな・・・ふぅ、俺もぼちぼち行くかな。
――――――――― シーン２ ――――――――――――実に不可解であり。
「やってらんねぇな、相沢。
「やってらんねぇよ、北川。
いつの時代も抜き打ちテストというものは突然やってくる。・・・まぁ、抜き打ちというぐらいだから当然か。
「おいおい、お前ら早合点をするな。別に学習のテストをするわけじゃないぞ。・・・まぁなんだ、一種のアンケートのようなものと思ってくれてもいい。なんか就職に関する能力を測定する適正検査らしいぞ。かくゆう俺も今日知った。
専門学校の担任の教師が誤解を解くと教室の皆は安心したかのようにほっとため息をついた。
「何だチキショー、ビビったじゃねえか。
こういった時に発するクソッやチキチョーなどの罵声はまったくといっていいほど嫌気がこもっていない。人間の心理というものは面白いものだ、自分が何か得したというわけでもないのにこういう時ははなぜか嬉しい気分になる。
「今日はゆっくり寝てられるな、相沢。
北川の期待はいきなり裏切られた。担任が配った用紙には今日の適性検査のスケジュールが書かれていた。
「マジかよ・・・午後からは体力検査。
その上、担任から駄目押しの一言が出る。
「ちなみになぁ、進路が就職希望の奴！手を抜くなよ、この結果を就職推薦の参考にするからな。
俺と北川は就職組、撃沈。
「本気でいくしかないな。ライバル北川。
「もちろんだ、みんな蹴落としてやる。もちろんお前もな、好敵手相沢。
今日のすべてのスケジュールが終えた時、俺達には蓄積された気だるさだけが残っていた。
「ふぅ・・・やっと終わったな、北川。
「・・・そうだな。
俺は北川のあいづちに不快さを感じる。
「どうかしたのか？
「・・・なんか今日の適性検査、おかしくないか？
それについては俺も感じなかったわけでもない。
「・・・まぁいきなりだったけど、現状の就職率を考えればこういうことを大々的に行うのも納得できるんじゃないか？
「そういうことじゃなくて・・・まずは適性検査の名前記入欄のトコの下に学校名を書く所があったよな、その横に中学、高校、専門学校、大学のどれかにマルをしたよな。
「それが何か？
「就職の適性検査に俺達専門学生や高校生、大学生はわかるとして、なぜ中学生がこんなもん受けさせられるんだ？
「実際、高校には行かず中学卒業後就職する奴がいるからじゃないか？
「そういうことなのか・・・？それなら納得できなくもないけど。・・・まぁ、それはいいとしてもっとおかしいのは適性検査の内容だ。
そう、適性検査の内容。北川に言われるまでも無く俺は気づいていた、というか真剣に受けていた奴はたいてい気づいているとは思う。就職率を上げる為の適性検査なら色々な内容になっているはずだ。しかし、今回受けたものはなにか一つの職種に関する為だけのものじゃないだろうか。しかも絶対普通の仕事のものではない。このテストで問われている能力、おそらくは判断力、反応力、思考力、モラル、そして・・・恐怖感への耐性。
北川は続けて話す。
「まさかとは思うがこの適性検査・・・・・
「北川！それを言うな！それに気づいているのはお前と俺だけだろうし、もし誰かに問いただしたとしても変人扱いされるだけだ！
俺は北川という人物を軽視していた、まさかこれほどまで発想力があるなんて。
もし俺達の考えが正しかったなら・・・確かにこの国には力はある、だけどそれを扱う人がいない。俺と北川の考えの一致、それは近い将来に“起こりうる事態”を確信させた。
――――――――― シーン３ ――――――――――――予感は実感であり。
あれから一週間、なにも起こらず日々は過ぎてくれた。できればこのまま何も無く、できればあれは思い過ごしであって欲しい。しかし、予感は実感に変わっていた。
「・・・相沢、俺達つけられてねえか？
その言葉を聞いた俺は慌てて周りを見回そうとした。
「動くな。こっちが気づいている事を知られては何かとマズイ。・・・俺に考えがある。
さすがは北川、頼りになる。高校の時はただのバカだと思っていたが人は変わるものだ。なにしろ今は唯一の“起こりうる事態”に気づいてくれている仲間である。彼にまかせておけば大丈夫だ！
「じゃんけん・・・・・ポイ！
じゃんけん？じゃんけんなのか？・・・・・とりあえずグーを出すしかないだろう。
「あっち向いて・・・・・・・・・・ホイ！
ホイ？・・・・・・・・とりあえず彼の指差す方を向くしかないだろう。
・・・・・
目があってしまったじゃないか！黒服だ、黒服！黒服のアツイ視線を感じてしまったぞ！・・・・・・・・北川を信用した俺がバカだった。
「華麗且つ完璧な作戦だった・・・
「アホか！めっさバレバレやないかぁ！
「えっ？
「ほらぁ！黒服軍団が緊急会議をしているぞ！・・・・・電柱の影でな。
「チッ、ばれるとは・・・奴らもそれなりの人材を集めているというわけか。
「・・・・・・バカにはバカで十分だ。
尾行するのに黒服を着る奴等もバカだし、隣にいるこの馬鹿もバカだし。
「とりあえず・・・・・・・・・・ダッシュだ！
北川のバカのおかげで黒服の追走を受ける羽目になったが、奴等もまたバカなことにこの熱い真夏日和真っ盛りのなか黒服を着ているおかげでわりと楽に振り切ることができた。兎にも角にもなんとか我が家に着いた。
「ただいま。
・・・・・あれ？おかしい、いつもの秋子さんのおかえりなさいが聞こえない。
「・・・・・・祐一さん。お話があります。
秋子さんの顔がやつれている、すなわちこれは何かがとても危険な状態を意味する。
（まさかあのことが秋子さんの耳に入ったのか？
それは考えるだけ無駄だ、情報が無かったとしても秋子さんが秋子さんである以上これほどの事態に気づかないはずは無い。となると俺達の疑惑は本当に当たっていたのか・・・
・・・・・それなら、もうそろそろ周りにも変化があるはずだ。そう思って俺はテレビをつけた。
「―――軍駐在部隊全てが撤去を始めました！入れ替わり我が国の自衛隊が随所の基地に配備される模様です。以上中継を終わります、また新たな情報が入りしだいお伝えしたいとおもいます！
なるほど、守られるべき存在の我が国が守るべき存在の某大国から援護が受けられなくなったというわけか。考えられる理由は３つ、我が国がすでに助けられない状況にあるか、某大国が全軍をもって戦わなければならない状況にあるか、我が国と某大国が戦い合う状況にあるか・・・まぁ、政府にしたらこのパニックを隠す為に国家予算大幅削減の為だとか、完全なる軍事放棄の為だとか、なんとでも言い訳が立つだろう。
「・・・祐一さ
「俺、ちょっとパチンコにでも行ってきますわ。秋子さん。
「祐一さん！ここに居てください！
「お願いします！・・・・・・家から出ては行けません。
祐一は頑なに首を振る。
「・・おね・がいします、いかないで・・行かないで・・・下さい。
秋子さんは泣き崩れるかのように頼む。
「この家に居れば、私がなんとしてでもあなたを守りますから・・・。
「あなたを・・・祐一さんを・・・
「俺は、誰かがやらなければいけないなら俺は逃げません。今まで逃げてばかりだった。・・・だから、だからもう、みんなを・・・名雪を守る為俺は逃げません！
「っ・・・祐一さん。ううっ・・・祐一さん。
その時、名雪は帰ってきた。
「ただいまー・・・祐一、お母さんどうしたの！？
「・・・・・名雪、俺、ちょっと親のところに行くことになった。
「えっ！？祐一どういうこと？なんでいきなり・・・・・
「・・・急に決まったんだ・・すまない。
「祐一・・・帰ってくるよね？
「ああ、絶対に帰ってくる！・・・・・・名雪の為に。
「・・・・・・・・・・・・祐一。
「・・・祐一、わたし待ってるから。
そして俺は家を出た。今、確実にわかっていること・・・それは俺があのテストで合格点を取ってしまったであろうということ。
――――――――― シーン３ ―――――――――――始まりは全てを知ることであり。
いきなりだ。いきなりだった。まさか玄関を出てすぐにとは思わなかった、ある程度近いうちにとは予想していたが。
「相沢祐一だな？我々に同行してもらおう。
素直に同行しようと思っていたが、黒服マッチョに囲まれた時はなぜか反骨精神が芽生えた。
「おりは水瀬慎平だっぺ！田植えをやらせば誰も右にでねぇ、爆植えしんぺえとはおりの事！祐一はおりのいとこ！おりと祐一は似とるが違げぇ、ケツにホクロ毛さあんのが祐一、おりにはそんなものねぇ！
ちょっと面白いので続けてみる。俺はおもむろにパンツをさげ黒服軍団にケツを向ける。
「ほんら、おりのケツにはホクロ毛さねぇ！ほりほり、よく見れ！ケツを見れ！
黒服軍団はまた電柱の影に隠れ緊急ミーティングを始める。
「おい、情報が違うじゃないか！相沢祐一ではないのか？
「ううむ、確かに彼の尻にはホクロ毛が無い。上の情報が間違っていたんだろう。
「しかし、この写真とそっくりではないか？従兄弟といってもこれほど似ているか？
「ううむ・・・
「ううむ・・・
「ううむ・・・
バカな奴らを見てたら余計にバカらしくなった。もういいや。
「冗談だよ、俺は相沢祐一だ。どこにでも連れて行け。
フルスモークの真っ黒な高級車に乗せられ数時間、着いた時にはもう建物の中だった。そして連れて行かれたのは一つの個室。インテリアのかけらも無い、しょぼい電球にしょぼい机・・・言うなれば、取調室？彼らはそこで待てと言った、だから待った。待ったのはいいけどその後がビックリだ。
「久しぶりね、相沢君。
――美坂香里。高校卒業後某防衛大学に進学。そして今は就学中のはずだけど・・・
「ぽかんと口を開けて、フリーズしないで。相沢祐一君。
いかん、このままでは向こうのペースに持っていかれる。俺は自分が優位な会話が好きなんだ。とりあえず・・・落ち着け、タバコだタバコを吸って落ち着くんだ。・・・無いぞ！数あるポケットをまさぐるもいかんせんタバコが見つからん。
「あなたが探しているのはこれ？だめよ、ここは禁煙。
畜生、俺の持ち物は全部取られてやがる。・・・って、禁煙？ここにでかでかと灰皿があるではないか！俺はニヤリ笑い灰皿を指差す。
「私が嫌いなの。だから禁煙。
なぬ？なんて自己中なんだ！しかもなにやら紙に書き始めたぞ・・・壁に貼った。なになに、ぬぬ？“火気厳禁”・・・やるな、さすが美坂香里。普通、禁煙なんて書かれても気にせず吸っちゃうが火気厳禁と書いてあればまず吸う奴はいないだろう。
しょうがない、ここは俺の負けだ。
「もういいかしら、相沢君。
「・・・はい。
彼女、美坂香里との会話は数時間におよんだ。彼女は大学就学中、彼女自身の知識や人格においてはその冷静さなどを買われ軍務部保安課の工作員として引き抜かれたらしい。そしてその会話の内容とはこうだ。
「相沢君は薄々気づいているみたいだけど、この国はとても危険な状態にあるわ。
「危険な状態とは？
「ズバリ言って、戦争がはじまる・・・・・ということ。
「・・・・・そうか。それで何故俺が連れてこられた？
「詳しく言うとあなたと北川君ね。
「・・・北川もか。
「まぁ、隠してもしょうがないし、なによりあなた達は気づいているみたいだから言うけど今回の選抜はあの適性検査に合格した人を対象にしているの。そしてその合格者はあなた達ふたりだけ。悲しい事に自衛隊の連中も全滅、合格点にはほど遠かったわ。
「・・・・・・それはわかった。余計な事はもう聞かないからあとは任務の事だけを教えてくれ。
「そう、まあまだ色々と説明しなくちゃいけない事があるけどあなたにはわかっていることだと思うから、いいわ。任務を説明するわ。
「我が国の誇る新型ステルス機試作モデルWR７２０“デスティニー”および同系型WR７２２“フォーチュン”を操縦し敵国のミサイル巡航艦２隻を撃沈させること。
詳しい説明をするとこうらしい、我が国の諜報部がある国から無布告開戦、いわゆる無宣告攻撃を受けると察知したらしい。それに対して我が国は表面上の交戦を避ける為他国の未確認兵器、さっき彼女が言った新型兵器を使用しうやむやにしてしまえということらしい。そのパイロットが俺と北川。
俺もそれなりの覚悟はしていたが、実際彼女の口から任務の説明を受けると体中に震えが来た。俺が戦闘機に乗る？そして戦えと？
しかし話の展開は思わぬ方向へ変化する。
――――――――― シーン４ ―――――――――――それは俺達の決断であり。
「これで話は終わり。あなた達はまた普通の生活に戻れるわ。
彼女の口から最後に出た言葉が俺には理解できなかった。
「どういうことだ？普通の生活に戻れるだと？
「そうよ。あなた達は不合格。
「なんだと？テストに合格したからここへ連れてこられたんだろ？
「ええ、でも最終的には私が合否を出す事になっているの。この面接でね。
「じゃあ、誰が乗るんだ？合格したのは俺達だけだったはずだ。
「そんなこと私が知ったことじゃないわ。私はあなた達をこんな事に巻き込みたくない。はっきり言えば、こんな馬鹿げたことで命を落として欲しくないのよ。
「馬鹿げたこと？
「そうよ！この国は交戦をおおっぴらにしたくないが為に、あなた達を利用しようとしているのよ。生存確率なんてたかがしれてるわ。戦闘機二機と巡航艦２隻が対等に戦えるはずがないじゃない！連中は敵に見つかる前にミサイルを撃てればそれでいい、後はあなた達が死のうがどうしようがどうでもいいと思っているのよ。
「・・・・・・・・それは違うな、生存確率のことはわからないが連中の作戦が間違っているとは思えない。よく考えてみろよ。もしあからさまな反撃に出たとしたらこのことが引き金になって、この国が軍事国家として再始動なんてことになるかもしれないだろ？
「・・・・・・・俺はやるぜ、名雪やみんなが平和に暮らせるのなら・・・進んで犠牲になりたいと思っている。
「・・・・・相沢君。だめよ、あなたが自分の意志でそう決めたとしても私は・・・私はそれを認めないわ。あなた達を失いたくはないもの。例えそれがわたしのわがままだったとしても、例え私の判断がこの国を破滅させることになったとしても私は後悔しない。私はこの国を失うのよりあなた達を失う事の方が耐えられそうも無いから・・・。
俺は首を振る。
「香里、俺は決めたんだ。お前が苦しむな、俺は名雪の為にやる。これは俺のわがままだ。
「違うな、俺達のわがまま、だろ？
「・・・・・・北川。
急にこの部屋に北川とある男が入ってきた。
「香里、俺は誰かの為になんて偽善ぶった事は言わない・・・でもなこの国を守ることがお前を守る事につながるのなら嫌が否でもやるさ。それも俺のわがままだ。
「・・・北川君、だめよ！私はそんなこと許さないわ！
北川と共にこの部屋に入ってきた男が口を開く。
「美坂君、きみには申し訳ないが、私は彼らの意志を尊重したいと思う。私もこの作戦には反対だった。しかしそこの彼の言う通りこの国が軍事国家になるという事だけはなんとしても避けなければならない。
「司令長官！あなたは彼らが犠牲となることを望むのですか！？この国の安全と引き換えに彼らを犠牲にするのですか？
「この国を守る為だ！！
彼の口調は頑固たるものだった。彼の心の中の苦しみ悲しみ全てを封じ込めて吐き出された言葉だった。
「ダメよ、絶対にダメ！わたし・・・わたし・・・
彼女が泣き出しても、俺達の決断は変わらない。
「香里、すまない。
北川が彼女、美坂香里に対して最後に交わした言葉だった。
そして現在に至る。
――――――――― ｌａｓｔシーン ―――――――――――これが物語の追憶である。
「こうも寒いとタバコが旨いや。
「相沢、あんまり吸ってると肺ガンになるぞ。
「ここまで来たら肺ガンもクソも無いと思うが・・・
「そりゃ、そうだ。
無線の感度は良好、北川の気分は上々。俺達は全ての訓練をとうに終えて、今は作戦の真っ只中・・・・・・・・そして。
「敵さんが見えたぞ。
俺達は案外普通にいられる。
「ああ。
守るべき、愛する人たちの未来の為に・・・
「じゃあな、相沢。
俺達の命があの娘たちの将来への命でありますように・・・・
「じゃあな、北川。
そしてもう一つだけわがままを言えるのなら・・・・・・
相沢・北川「――――――――――――また来世で！
投票結果
Kanade (採点:2)
尺が短いというのもあって、説明不足の感が強い。長い尺があれば、もっと詰められたと思うと、なおさらにもったいないと思えます。
akira (採点:4)
最初はギャグっぽく攻め、中盤あたりから雰囲気が変わりシリアス路線へ、読んでてかなり面白かったです
ａｓｈ (採点:1)
かっこいいとは思うんですが、強引な設定による興ざめの方が強いです。
Ｇすぽると (採点:2)
話が突飛なのはいいけど説得力が弱い。なんであっさり死を選べるか今一つ納得いかない。
雨音 (採点:4)
他のＳＳとはだいぶ違う雰囲気で・・・。ところで、台詞の後にカギ閉じを使わないのは何故でしょう？
通行人Ｂ (採点:1)
どこをどう評価したらいいかわからなかった
zero (採点:1)
何を表現したいのか解らない
荒野草途伸 (採点:1)
何が言いたいんだか
kuryu (採点:2)
飛行機の中でタバコは吸えないような・・
り〜だ〜 (採点:2)
なんか内容がぶっとんでる。
グＥ (採点:1)
世界観についていけませんでした・・・。
かずき (採点:3)
かっこいい、映画みたい。
tabibito (採点:4)
重いストーリーですが、こういうのも好きです
Tanzo (採点:1)
Kanonの世界を越えすぎているような気がしました。
Ｇａｒａ (採点:1)
セリフの鍵括弧を閉じないのには何か意図があるのか疑問。おかげで、セリフが続いているのか、地の文章になっているのかいちいち判断しなくてはならない。読み辛くする以外の役に立っているとは思えない。内容面では、「祐一と北川だけが」試験の本意に気が付き、合格点を取る、という特異性を持っている理由の説明が皆無。少なくともＫａｎｏｎの設定ではそんな特性は無いので、このＳＳでの特別な設定である筈。ならば、説明が無いのは片手落ち。また、「自分の大切な人を守るためなら自己犠牲は厭わない。まして、『敵』を殺す事は検討すらしない」というバリバリの軍国思想を、「正しい事」として語られるのは、不愉快でしかない。「自分達が死ぬ事」に酔っていて、「敵を殺そうとしている事」を全く考えていない、なんていう矮小な人物像の祐一と北川なんか、見せて欲しくなかった。
ugen (採点:2)
香里を無理に出さないほうが良かった。状況に無理がありすぎる気がするのでその辺りに工夫が必要。
musu (採点:1)
鍵括弧閉じてないと分からんシーン３がふたつある
橘征五郎 (採点:1)
論外。ストーリーは強引で唐突なご都合主義。キャラクターが把握できていない。文章力が悲惨なレベル。Kanonのキャラである意味がない。訴えたい主張に魅力がない。根本的なセンスがない。
はぐ (採点:1)
採点不能「読むのやめました」
naoki (採点:2)
文章作法については、まあいいとして、陳腐ですね。
taka (採点:2)
戦争物ですか・・・。こういったノリは嫌いではないですが、戦闘シーンもほしかったな・・・。
全採点
5点 : 5
4点 : 18
3点 : 34
2点 : 45
1点 : 52
このSSは、作者の方に二次著作権が存在します。
転載、無断引用を固く禁止します。
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