とっぷすりー

第二回かのんＳＳこんぺ、短編部門トップ３発表

祐一「Ｌａｄｉｅｓ＆ｊｅｎｔｌｅｍｅｎ！　ｂｏｙｓ＆ｇｉｒｌｓ！　いよいよかのんＳＳこんぺ短編部門サブタイトルは”黄身、輝いた夏”もクライマックスに近づいてきたな！　つかみのセリフを言えて俺は主人公的に満足だぜちぇけらー」
名雪「うらやましいんだおー、ちぇけらー」
北川「はやくしろよーっ、俺はこのためにかーちゃん質に入れてきたんだぜーっ」
香里「おかしなテンションはやめなさい……だいたいそんなサブタイトルないわよ……」
三人「ぶー、ぶー」
香里「……ああ、頭痛くなってきた」
美汐「しっかりしてくださいね、美坂先輩。――みなさんごきげんよう、天野です」
真琴「真琴よぅ」
栞「さすがにもう着替えました。栞ですよ～」
秋子「あらあら、こんなに若い子たちが揃うと場違いかしら？　秋子です」
祐一「……ってあれ？　あゆは？」
北川「そういや一回も姿見せてないな」
名雪「あー、あゆちゃんはね」
祐一「うん？」
名雪「俺より強いやつに会いに行くって、武者修行の旅に出たんだよー」
あゆ「――やっとついたーっ、ごめんごめんっ！　遅れちゃったよーっ」
名雪「まっかな嘘っぱちだよー」
祐一「…………」
香里「さて、そろそろ行数稼ぎはやめにして、結果発表に移りましょうか。先輩たちは？」

（ずだだだだだだだだだだっ！）
（ぱぱらぱーっ！）

祐一「わわっ、なんだなんだ！？」
北川「ドラムとサックス……？」
佐祐理「あははーっ、歌番組のランキング発表っぽく演出してみようかと思いましてーっ」
舞「練習した」
祐一「これは文章だから音は聞こえないんだが……」
佐祐理「雰囲気ですよー、雰囲気」
舞「私は五歳のときからドラマーになるって決心した者だから……」
祐一「また分かりづらいネタを……」
名雪「でもかっこいいよ～。ジョン・ボーナムだよ～」
舞「……ありがとう」
佐祐理「それではっ、第３位の発表ですよーっ（ぱぱーっ）」
舞「ろっけんろーる（だだだっ）」
名雪「かっこいいよ～」
祐一「何か間違ってる……」

第３位　66.03pts. 今度までには

美汐「第３位、エントリーナンバー１００――キリがいいですね――、Ｎａｏｙａさんの作品で、今度までには、です」
祐一「俺と天野の……まぁ、あれだ、ラブストーリーだな」
真琴「真琴も出てるわよぅ」
香里「天野さんと真琴ちゃんのちょっとした馴れ合いから、天野さんの内面に触れていった話ね。そこから相沢君に対する気持ちを考えていく、みたいなところかしら」
栞「リズミカルな文章につっこみどころの見当たらない話運びを評価された、隙のない話ですね」
香里「そうね、それと……」
美汐「ええ、今回のこんぺ作品の上位、そのほとんどをしめていた”美汐ｏｒ香里シリアスＳＳ”の中でトップを獲得した作品です」
香里「ほんとにこのジャンルは激戦区だったからね……」
秋子「――時は２００Ｘ年～、風雲急を告げるかのんＳＳ界を二分する二大勢力、みし萌え派とかおりすとの対立は嵐を呼び吹き上がるカオスの中になんたらかんたら～」
栞「おめーは俺を怒らせた、なんですよ」
真琴「なによぅっ、真琴はせーきまつはおうなのよーっ！」
秋子「戦わなければ生き残れない～」
香里「――ああもうそこっ！　秋子さん変な具合にあおらないで真琴ちゃんと栞もオラオラとかわが生涯に一片の悔い無しとか言わないっ倉田先輩劇画調の影つけない川澄先輩ゴゴゴとか効果音出さないでっ！」
五人「ちぇー」
香里「……頭痛がおさまらないわ。天野さんタッチ」
美汐「はい、ええと、今回は本当に私と美坂先輩の話が多かったんですよ」
祐一「なんでだろう……素材として扱いやすかったのかな？」
美汐「そこは聞いてみないことには分かりませんね。でも、それによってある程度”この二つのジャンルは食傷気味”というイメージが完成したであろうことは確かかと」
祐一「あらかじめハンデを背負っていたってことだな」
美汐「ええ、そのハンデを跳ね除けて３位にランクインするということは、それだけの実力があるということでしょう」
祐一「文句なしの良作、だな」
美汐「ですね。下記が、順位変動と得票傾向です」

投票数 141 : 単純平均点 6.91

10点

9点

8点

7点

6点

5点

4点

3点

2点

1点

祐一「うーん、最後の最後でワンランクダウンしたんだな……でも、１位だった時期もある」
美汐「点数から鑑みても相当な高評価を受けてますね」
祐一「あるべくしてここに収まったって感じだな」
美汐「ええ、Ｎａｏｙａさん、おめでとうございます」

あゆ「次は第２位の発表だねっ。ていうか今回ボクのセリフなさすぎだよっ！」
名雪「ちょっと出遅れたからねー。じゃあ、しばらくしゃべっていいよ」
あゆ「うんっ、じゃあ２位だね。第２位は――」
祐一「ああ、あゆ、待て」
あゆ「うぐ？」
祐一「第２位は、男性キャラオンリーで解説することになった」
あゆ「えーっ、どうしてだよっ！」
北川「いや、話の内容が内容なんでな……ほら、久瀬に斉藤、あと石橋先生」
久瀬「おい、僕らもなのか？」
祐一「まぁ、前回は出てなかったしな」
あゆ「うぐぅーっ！　納得いかないよーっ！」
祐一「では、第２位は……」

第２位　64.44pts.　ＴｈｅＯｌｄＣｌｏｃｋ ――誰が為に時を刻む――

祐一「第２位、エントリーナンバー１１７、作者名非公開、Ｔｈｅ　Ｏｌｄ　Ｃｌｏｃｋ――誰が為に時を刻む――　略称古時計だな」
北川「今回ミスターＸが大フィーバーだな」
斉藤「そうみたいだね」
祐一「……ところでこの話、俺じじいなんだよね」
北川「じじいちと呼んでやろう」
祐一「やめろ北馬鹿……あ～、こういう話出ると老後がすっごい気になってくるなぁ」
石橋「高齢化が進んでるからなぁ……私らの世代でもまともに年金が出るかわからんぞ」
斉藤「不吉なこと言うの止めてくださいよ先生……」
久瀬「景気悪いからなぁ……僕の生活も十年後にはどうなっていることやら……」
五人「はぁ……」
祐一「暗い話題は置いといて……解説行くか」
北川「そうだな」
久瀬「ふむ、舞台設定はかのんの数十年後。とある悩める少女が出会った不思議な老人の話、というところか」
祐一「ここが解説にヒロイン呼ばなかった理由なんだけど、この話、とことん遊びまくった印象を受けるな。かのんヒロインが一行も登場しない」
北川「かのんのＳＳとしては本当に珍しい。まぁ、誰も触れてなさそうな領域を探したらこういうところに行き着くんだろうけど」
斉藤「評価を見ると、読者はその独創性とリリカルな文体に魅力を感じたらしいよ」
石橋「ただし、かのんから離れすぎたという見方で減点されている。確かにこの老人が相沢でなかったとしても、内容に大した影響を及ぼさないな」
北川「けど、俺はこれも十分かのんＳＳだと思うぜ」
久瀬「その根拠は？」
北川「うーん、雰囲気かな。かのんにおけるテーマが何かっていうのは分からないけど、この話はそのテーマというか、根幹のあたりにリンクした話だと思う」
祐一「思い出があれば、人は優しくなれる。そんな気分にさせる要素があるよな」
斉藤「でも、やっぱり本編は、まずヒロインが比重の大部分を占めてるからね。相沢を軸にはしてるけど、そこから発展する女性キャラの魅力が大きいよ」
石橋「そこをスポイルしてしまうと、やはり減点対象になってしまうんだな」
北川「それに、ヒロインがいないと……」
斉藤「そうだね……」
石橋「まぁ……」
久瀬「確かに……」
祐一「おう……」
五人「萌えないしな」
香里「何言ってんのよあんたたちは……」
北川「ほらっ、同じツッコミでもむさい男と美少女じゃ全然違うっ！」
久瀬「さっきまでの男オンリーの会話になんと味気の無いことか……」
祐一「今さらだけどちょっと後悔だーっ！」
香里「うるさいわよ……ほら、順位変動と得票傾向」

投票数 145 : 単純平均点 6.96

10点

9点

8点

7点

6点

5点

4点

3点

2点

1点

祐一「これも一回は１位になったことがあるんだな。そこから落ちて、だんだん追い上げていったみたいだ」
北川「最終的に、一番最後のとこで三位の話を追い抜いたな」
久瀬「とにかく十点が多く、その代わり大量に四点以下を取ってる。それで１位に追いつけなかったようだな」
斉藤「バスケでいうとこ、典型的なスリーポイントシューターって感じだね」
祐一「そうだな。ちょっとバクチみたいな内容だったし」
香里「まぁ、このこんぺ中最強のジョーカーよ」
北川「そうだな。ダークホースさんとでも便宜上呼んでおくか」
祐一「それでは、ダークホースさん、おめでとうございますっ！」

祐一「さて、いよいよだな……」
あゆ「どきどきだよ……」
名雪「どきわく胸キュンだよ……」
香里「名雪、それはちょっと寒いわよ……」
名雪「うー、香里、水差さないでっ！」
天野「まぁまぁ。とにかく、いよいよかのんＳＳこんぺ断片部門、第１位の発表です」
真琴「こんぺ作品って１４１個もあったのよねっ、その中で一番……」
栞「すごいですよね」
舞「……（ずだだっ）」
佐祐理「（ぱぱぱーっ）」
北川「倉田先輩、楽器を通してもその笑い方なんすね……」
祐一「さてっ、かのんＳＳこんぺ全１４１作品中栄えある第１位を獲得したのはこの作品っ！　舞に佐祐理さん、この際だからＢＧＭつけてっ！」

（ずだだだだだだだだだだだ……だだっ！）

第１位 68.94pts　鈴が唄う日

秋子「あら……？　私が主役？」
名雪「そそそ、そうだよお母さんっ、あわわわわどうしようどうしよう」
秋子「あらあら、落ち着きなさいね、名雪。ほら、深呼吸して」
名雪「う、うんっ。すー、はー」
秋子「麦茶飲む？」
名雪「うん、もうらよ」
秋子「ほんと、今日は暖かいわね……冷たい麦茶がおいしいわ」
名雪「そうだね」
秋子「皆さんもどうですか？　おいしいですよ？」
香里「――いいかげんにしなさーいっ！」
名雪「わっ、どうしたの香里？　そんな大声だして……」
秋子「びっくりするわよねぇ」
名雪「そうだよねー」
香里「ああもうそうじゃなくてっ！　どうしてこうマイペースなのかしらこの親子は……」
秋子「ああ、はいはい、１位作品の解説ですね」
香里「…………」
秋子「ええと、エントリーナンバー８０、風見由大さんの、鈴が唄う日ですね。私とあの人の結婚から受け継がれていく鈴のエピソードです」
名雪「わたしが物心つく前って、こんな話があったんだね……感じ入っちゃった」
祐一「俺も……ちょっともらい泣きしたよ」
秋子「あら、ありがとう」
香里「とにかく”いい話”。そう評価されたわね。秋子さんの視点ならではの、描写に温かみを感じるわ。文章力においては２位３位に劣るかもしれないけど、この場合はそれでいいと思う。率直で素朴、というのが一番マッチするもの」
祐一「これを読んでると、ＡＩＲの美凪シナリオの回想シーンを思い出すな。感情表現に同じような感触がある。ｋｅｙ作品への愛が滲んでるようにも思えるよ」
香里「たぶん、話の範囲を秋子さんと名雪と相沢君の三人だけに留めなかったのもよかったわね。真琴ちゃんと関わらせることで、うまく”家族”ってイメージを演出していると思うの」
秋子「にぎやかで、平和っていいわね……」
名雪「そうだね……順位変動と得票傾向だよ」

投票数 146 : 単純平均点 7.15

10点

9点

8点

7点

6点

5点

4点

3点

2点

1点

香里「もうほとんど独走態勢ね。早い時期からトップに立って、それ以降一度も１位の座を譲ってないわ」
祐一「発想のところどころにオリジナリティがあって、それでいてかのんの範囲内に話を収めていたのがポイント高かったな。３位と２位の追従を許さなかったのは、そのあたりからなんだろ」
香里「十点の数こそ少なかったものの、大量の九点票で安定した人気を獲得してるわね」
祐一「とにかくいい話だった」
名雪「だね」
秋子「それでは――風見さん、おめでとうございます」

祐一「いやー終わった終わった」
あゆ「やっと、って感じだね」
栞「でも、これは短編部門ですよ。中編部門はまだ始まったばかりです」
美汐「短くまとめなくていいぶん、中篇にはもっといい話が出てきそうですが」
香里「そうね。でも、だからといって短編が中編に劣るというわけではないわ。ある意味短くまとめるというのは、小説技法の中で最も難しいものの部類に入るのよ。力技の長編より丁寧で緻密な作業が要求されるわ。読み込み方で、中編部門とは違った楽しみ方を発見できるはずよ」
真琴「楽しい話は楽しいのよぅ」
秋子「結論付けると、そういうことね」
あゆ「うん、それとね……」
名雪「どうしたの？　あゆちゃん」
あゆ「前回も言ったけど、やっぱりＳＳって順位じゃないよね」
香里「そうね。というより、このこんぺの意義が競争だけとは限らないわよ」
美汐「ですね。確かに能力を追求して１位を目指すと言うのもひとつの観点でもあります。けれど、それはあくまでひとつの観点にしか過ぎません。そのあたりの認識はしっかりしておくべきです」
香里「ストイックに求道するのも悪くないわ。けれど、ただ楽しむことを求めるのも十分ありよ。その両方に差があるというのはいけないわね」
栞「どちらもひとつの姿勢として認めてほしいです」
真琴「楽しい、っていうと、真琴は１３２番の愚者たちは夜に歌うってお話がいいと思うわよっ」
秋子「私は……１２８番、AliceさんのFail in an attempted love...がよかったわね。現代社会の、男尊女卑傾向から女権尊重へ移行しだしたことによる弊害の問題をうまく扱っているわ」
名雪「あ、そういうのなら、わたしは９５番のすべてがＦになった日なんかおすすめだよっ」
香里「名雪はけろぴーが出ればそれでいいんでしょうに……」
名雪「違うよっ。内容はシュールかもしれないけど、教師としてのあり方を問うって感じでよかったんだよ」
北川「２位の古時計も、結果は高得点でも実験性が高かったしな」
香里「とまぁ、こういう風に、順位がふるわなくても評価できる箇所があるＳＳというのは一杯あるわ。コメディやギャグも、ポイントゲッターとしては不向きだけれど、読む人を楽しい気分にさせてくれる。これって素晴らしいことじゃない？」
栞「全体的に上位を目指す傾向になってしまうと、登用キャラが偏ったりシリアスの割合が大きくなったりしますからね。お祭り志向の人にとっては、ちょっとつらいです」
あゆ「だから、順位の低いみんなにも落ち込んで欲しくないな」
祐一「うまくまとめたな、あゆ」
あゆ「うぐぅ、当たり前だよっ！　前回は結局しめの言葉を舞さんに取られちゃったんだもん」
祐一「まだ完結じゃないぞ」
あゆ「今回は譲れないよっ、ただでさえ出遅れてあんまりしゃべれなかったんだもん」
祐一「甘いわっ。俺だって主人公としてのプライドがある。最後の言葉だけは渡さんっ！　昨日から徹夜してセリフを考えたんだからな」
名雪「いらない努力だおー」
祐一「勝負だ、あゆ！」
あゆ「望むところだよっ！」
祐一「モノポリーで決着だ！」

香里「……モノポリーなんかやってたらいつ終われるかわからないじゃない」
栞「朝までやりそうです……あの二人」
香里「はぁ……どうしたもんかしら」

佐祐理「はぇーっ、佐祐理は疲れちゃいましたよーっ」
舞「今日は久々に燃えた……」
秋子「あら、お疲れ様。麦茶飲みます？」
佐祐理「どうもーっ」
舞「ありがとう」

香里「あー、ちょうどいいわ。川澄先輩ーっ」
舞「……なに？」
香里「帰るときの挨拶は？」
舞「ばいばい」
香里「それでは、次は中編でお会いしましょう。さ、帰るわよ栞」
栞「不可抗力ですねー」
舞「……？」

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