お前がそこにいた証


俺の初恋？
ああ、憶えてるよ。
まあ、ガキの頃だったから、恋っていってもカワイイもんだけどな。
相手の名前は、さわたりまこと。俺よりずっと年上のお姉さんで凄く綺麗な人だった。
今思い出してみると、美人というより可愛い感じの人だったけど。うん、あこがれたなぁ。
生意気にも当時の俺は『まことさんと結婚したいなぁ』なんて思ってたっけ。
まことさんは綺麗なだけじゃなくてとっても話しやすい人で、大人なのに俺たちを子ども扱いしないで本気で楽しそうに遊んでくれたんだ。
あ、気付いたか？
『俺たち』なんだよ。まことさんにとって俺は大勢いる子供たちの中の一人でしかなかったんだ。
あれ、言わなかったっけ？　まことさんは先生だったんだ。
あ、いや、違うな。俺たちが『先生』って呼ぶと『違うわよぅ』って顔を赤くして否定してたっけ。そんな顔も素敵だったけど。
でも、まことさんとの別れはあまりに突然だった。
ある日保育園の先生に『まことさんは病気でお休みです』って告げられて、それっきりまことさんが戻ってくることはなかったんだ。
まあ、そんな感じで何のドラマもなく俺の初恋は終わった訳さ。
今、どうしてるんだろうな。会ってみたいよ。

投票結果

Manuke
あー、ちょっといいかも。


はむ (採点:1)
なかなかうまいですね、二重のしこみが効いています。最初は祐一と思わせて、保育園児たちでしたか。


屈折する星屑
タイトルの意味が……解りにくいですかね。
キツネに「まことさん」の話をした時、真琴は確かにそこにいたんだ、てことでしょうか。
見ようによっては、「まことさん」の生まれ変わりが真琴であるようにも見えますね。
まあ、話してる相手が真琴であるとも言い切れませんが。というか、真琴と話しているのだとしたら、「まことさん」の名前について真琴になんの説明もしないのはおかしいですし。……ふむ？


Foolis
いい雰囲気でいいですね。
まことさんは先生だったのですか。なるほど、と思いました。
かくいう私も学校の先生を好きになったことがあるので感情移入して読めました。
評価Ｂ＋


電光刑事バン
　小説版の真琴シナリオのワンシーンのようですが、ゲーム本編の描写で無いのが減点対象です。


木村圭
まこと先生。大人だったかどうかは分からないけど、きっと園児たちには慕われていたんでしょうね。
全てを知っているからこそ悲しくなる、何も知らないから気楽に話せる、そんな話。


ねこにん (採点:3)
ま、まさか超短編で泣かされるなんて…。
最高だよ…。
ありがとう。この作品を残してくれた貴方に最高の感謝を送ります。


荒野草途伸
保育園って事は、これは祐一とは別の人の話ですかな？
５くさとし。


ふうがみこと
まことさん、死んじゃったのかな？　なんて考えてしまいました。
これだけではちょっと弱いと思います。


Vogelfrei
　冒頭では祐一の独白かと思ったんですが、うまくかわされました。
　祐一たちのほかにも『まこと』を思い出として持っている者がいる。
　いいお話だと思います。
　持ち点が無くなってしまったので点を差し上げられないですが、申し訳ないです。


悉皆空也 (採点:1)
お見事！


ゆーえむ (採点:3)
あ、これは上手いなぁ。
一瞬祐一かと思ったら、真琴が勤めていた保育園の園児ですね。
凄い凄い、この尺でちゃんとＫａｎｏｎしてます。


はじめ (採点:1)
まさか超短編でミスリードを狙った作品があるとは。
あっさり引っかかってしまいました。あぁ悔しい(笑）。
しかもそれがこの作品を二次創作たらしめていますね。お見事でした。


山の上
コメントしようがない。
超短編向きではないかと。


歩人
某北国在住のY.A.さんからのコメント的作品。なかなか。


ミダ
初恋話ですね～。な～る～。


名無しさんだよもん (採点:1)
。・゜・(ノД`)゜・。マコト...


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