little fragment



帰り道、立ち止まったあの子。無言でギュッと手を握る。
…駄菓子屋さん。

「おばちゃん、これちょーだい」
「またかい。駄菓子なんて食べてないで栄養のあるもんちゃんと食べるんだよー」

駄菓子屋のおばあさんが言うことじゃあないと思った。

「でも、やっぱり美味しい」
「そうかい」

帰らなくちゃ。けれど、足は動かなくて。

「じゃあねー」
「気をつけてお帰りー」

一歩。
踏み出す。

「あの…」
「はいよ？おや、いつもの…」

帰らなくちゃ。寄り道は、いけないことだから。
でも…

「えっと…」
「何がいいのかな？」

強く握られる手。
ギュッと、もう片方の手を握り締める。

「…何でも、ないです。……行こ」
「…」

今日も、駄目だった。
今日も…

ポン。
肩を叩かれる。

「ほら。舐めるかい？」
「…」

飴玉、二つ。
ちらっと、私を見るあの子。
…うん。
頷いてみせる。

恐る恐る、けれどとっても嬉しそうに飴を口に入れる。


買い食いは今日も出来なかったけれど。でも…
その飴は、とってもとっても、甘かった。


私は何をするべきだったのか。本当にしたかったコトは何だったのか。
それすら分からなかった日のこと。

それでも、それは思い出の欠片。二人のいろいろな思いが詰まった大切な、大切な…

投票結果

春日　姫宮 (採点:2)
　並みいる良作を押しのけて、僕の中ではこの作品がＴＯＰでした。
　題名も、着眼点も良かったです。凄く印象に残りました。
　本当は１点を１０個つけるつもりだったのですが、この作品に敬意を表して唯一の２点を差し上げます。


山の上
かのんのコンペですよ。


Manuke
切ないね……。


はむ
誰の大切な思い出なんですか。


屈折する星屑
なかなか悪くないかも……切ないなぁ。


木村圭
しなければならないことも分からず苦しんでいたその時の、駄菓子屋のおばあさんの心づかいは強く心に響いたことでしょう。買い食いがしたいのに手を握ることしかできない一弥がどうしようもなくいじらしくて。


Foolis
なかなかほのぼのとした雰囲気がでていていいのですが、やや意味が分からないのが残念。
評価Ｂ


Revin
あれ？
キャラが誰か解らなかったです……。


電光刑事バン
　おそらくは佐祐理シナリオ中のエピソードなのかもしれませんが、基本的にキャラを特定していないために、カノンＳＳとは認めません。
　ゆえに評価不能となります。


ふうがみこと
うう、作者さんが本当にしたかったことが何なのか、よくわかりませんでした……


荒野草途伸
ん、でもこんな救いになるような思い出があるなら、自殺なんかしたりしないような・・・まあいいか。
８くさとし。


歩人
子供時代の思い出は大切ですね。


言之米
だれ？


Ｇａｒａ
　良いんですけどねー……これだと「１回だけ悪い子になろう」のシーンが……


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