種のつながり
黄金色の麦畑に僕らはいる。
そんな神秘的な風景の中。
僕は明日いなくなってしまう。
もし言えば、目の前の彼女は悲しむだろう。
だが、言わなくても悲しむだろう。
臆病な僕は後者を選んでしまう。
その選択は間違いだったかもしれない。
そして、長い長い四季を隔て、
二人は背中を合わせてその時と同じ場所にいる。
「なぁ、あの時言ったほうが良かったのか？」
「わからない。だけど」
「？」
「今一緒にいる。」
分かれ道を歩いていく二人。
昔と違ってこの場所には麦畑は無くなっていた。
麦の種が風に乗るように彼女の声が聞こえてくる。
「さようなら」
俺は笑っていた。
ふたたび出会う時が来るまで楽しく過ごせるようにと、
彼女も笑っていた。
昔を忘れないようにと、
二人の視線の先には偶然残った二つの麦がなびいていた。
その後、二つの麦が枯れても、
風に乗った種がまた新しい黄金色の麦畑を作っていったそうだ。
投票結果
- はむ (採点:1)
- キレイな描写がいいですねー。うん、気に入りました。
- ふうがみこと
- なぜだろう。このSSを読んで真っ先に思い浮かんだのが「わらしべ長者」でした。
- 山の上
- きれいにまとまってますね。
- Manuke
- それ、畑と違うような……。
- 屈折する星屑
- 作っていったそうだ……って、なんかヘンじゃないです？ 私はそう感じますが。
あと、句読点の使い分けは、狙っているのでしょうが、ちと微妙な気がしたり。
- Foolis
- 雰囲気はいい感じでした。
評価Ｂ
- りょーと
- うーん。
うーん。
- 言之米
- サヨナラは必要だよね。始まりと終わりが無きゃ人は迷ってしまうから。
- ホモリングビッグスキンヘッドクモリングメガネ＆短パン (採点:1)
- 「」（鍵括弧）の文末に句点（。）が入っていますね。
川端康成の「雪国」でもそうなっているし、僕は「間違い」だとは思いませんけれど。
超短編でそんな野暮な事を言っても、仕方のない気がしますし。
だからどうした、といわれると困りますが、そういうことです。
- 電光刑事バン
- 主張したい内容はわかりますが、そもそも麦の種は風に乗って飛んだりしません。
風に乗るタネは基本的にタンポポとかススキ、あるいは針葉樹の種です。
勉強不足ですね。
- 荒野草途伸
- ５くさとし。
- 歩人
- 今が良いならそれが幸せ。いい感じ。
- みすずさん (採点:1)
- かの地はもう無いけれど、思い出は種が憶えている。
その種は、新たな思い出を実らせたのでしょうね。
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