ドスン。



 ガタガタ。



 ズルズル。



「って、あっ……」



 ドスンドタバタバサバサッ――。  












Dear my ...














「何やってるんだ?」
「御免なさい、ちょっと……失敗」
 らしくもない、と祐一が苦笑する。
「終わりそうか?」
「そうね、もう少しかしら」
 そう答えて、再び押入れへ潜り込む。



 そして――。



「これは……」
 梱包された広く薄い包み。
「そっか、ここに仕舞っておいたんだったわね」



 それは、そこに、あった。











『上手に描いてね、お姉ちゃん』
 ベッドの上で栞が笑う。
『あたしの腕を疑うの?』
 すると途端に慌てて否定する様子が可愛い。
『でもまたこうして、お姉ちゃんに描いてもらえるなんて……』










 取り戻せた姉妹の絆、束の間の幸せ。

 そしてそれを最後に、あたしは絵筆を置いた――。











「香里、どうした?」
 肩を揺すられて、気を取り直す。
 想い出に埋没していたようだ。
「懐かしい物を見つけてしまったわ……」



 梱包を解く。

 あの日の栞の笑顔が、眩しかった。



「これも持って行くか?」
 肩越しに覗き込みながら、祐一が問う。



「……いいわ」
「そっか」
「ええ」





 あの子を亡くした辛さも薄らいだ。

 忘れる訳ではないが、時は確かに進んでいる。

 だから想い出はもう、ここへ置いていこうと思う。











 ……親愛なる栞へ。

 あたし、結婚します――。








投票結果

まてつや
いいんじゃないでしょうか。
なんとなく。


山の上 (採点:1)
なるほど綺麗な話ですね。
改行は気になりましたが、いっそ全部中央でもよかったのかも。
そこらへんで1点に。
いい仕事です。


Manuke
ちょっと切ない……。


はむ
空白の使い方がうまいです。


屈折する星屑
ああ。香里が美術部って、いいかもしれないな、とか思いました。
作品自体は、いいお話ではありますが、ちょっと弱いかな。
でも、タイトル前は結構うまいと思いました。ほとんど擬音だけなのに、なんかいいなぁ。


Foolis
短いながらも巧くまとまっているがもうすこし何かほしかったような気も。
いや、1KBなので難しいのはわかりますが。
評価B+


電光刑事バン
 祐一×香里ネタですが、それこそ大作のオチだけと言う構成は減点対象です。
 また、無意味に空白を多くして内容の水増しをしているように見えるのも原点です。


ふうがみこと
いかん……「ヌード画!?」と期待した私がいた……
偽善的に見えちゃったのは私の心が穢れている所為でしょう。


木村圭 (採点:2)
時が、二人を癒した。想い出は、置かれていくものになった。

大好きです。少し空白が多いような気もしますが、文句を言う所はありません。
こんなのが書けたらな、という気にさせてもらいました。


荒野草途伸
今ひとつまとまりがないような。
4くさとし。


Revin
ぬぬー。
コメントが難しいですが……あまり好きではなかったです。


歩人
ああ、何かいい感じ。雰囲気良。


言之米
思いを胸に抱き・・・行け!



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