雪霜
―――雪。
雪が降っていた。
空を見上げている事しか出来ない私。
少し視線をずらせばあの人が今にも泣きそうなな表情を浮かべて私を見ている。
泣かないで。
死を、絶望を待つだけの私を愛してくれた事。
それだけで幸せだった。
それだけで満たされた。
だから私は笑っていられた。
あなたと出会えた事。
私にとってこれ以上ない事だから。
もうすぐ尽きようとしている私の命。
苦しくて、辛い。
そんな今でも心だけは幸せ。
だから泣かないで。
私はあなたに笑いかけるから。
あなたも笑って。
私はあなたの笑顔が大好きだから。
雪が降っている。
時計の針が十二時を回る。
これで私の物語もお終い。
長いようで短い夢みたいだった気がした。
でも愛する人も出来たし、ドラマみたいで少し格好よかったなって思う。
“誕生日、おめでとう。栞―――”
薄れ行く意識の中。
あの人のこの言葉だけが妙に耳に残った。
だから、せめて―――
星空の下でその台詞を聞きたかったな。
投票結果
- 山の上
- 悲しい話は苦手なんです。
- Revin
- 普通、と思いました。
- Manuke
- 雰囲気はいいんだけど、末尾が今ひとつ〜。
- はむ
- 文頭の空白に意味はあるのでしょうか。
- 屈折する星屑
- このテの作品の中ではかなり良いほうかと。ちゃんと「なにかがある」と感じられた。
- 電光刑事バン
- これは百花屋イベントを経験しなかった栞ですか？
つまりこれでお終い。
- Foolis (採点:1)
- 最後の一言がなんていうか切なくていい感じでした♪
それまでも雰囲気が巧く出ていますし。
評価Ａ−
- 木村圭
- 雪が好きでも、ドラマチックな雰囲気には似合わない。満天の星空の下がいい。
そんな、最後のちょっとしたわがままが印象に残りました。
- 荒野草途伸
- ５くさとし。
- ふうがみこと
- その「星空」が心に掛かる演出を、伏線を、して貰いたかった気がします。
- 歩人
- せめて、最後は幸せな夢を。栞に黙祷。
- 名無し＠デフォ
- 雰囲気良い
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