拘束少女


　あの子とともにすやすや眠る祐一。
　その穏やかな寝顔を見て、わたしの中からためらいが消えた。

　――許せない。わたしがこんなに苦しんでいるというのに、平気で眠るなんて。

　我ながら理不尽な怒りだとは思う。でも、限界だった。我慢できなかった。
　わたしは物置から持ち出したロープを手に、ゆっくりと祐一に近づいた。

「う、うーん…な、名雪？　何やってんだ、おい」
「…………」
「こ、こら、離せ！　やめろって！」
「祐一が…祐一が、悪いんだよ…」

　布越しのくぐもった声。
　寝起きで力の出ない祐一を押さえつけ、完全に拘束し終えたわたしは、マスクを外し――

「ねこ〜、ねこさんだよ〜…くしゅっ！」
「うわっ、唾！　唾かかった、顔にっ！」

　思う存分にあの子、「ぴろ」に頬ずりをした。

「可愛いよ〜…くしゅん！　ふさふさしてるよ〜…くしゅん！　あったかいよ〜…くしゅん！」
「唾、唾たれてる、唾！」

　祐一がなにか叫んでいるけど、全然気にならない。わたしは、今までの遅れを取り戻すかのように「ぴろ」を抱きしめた。

「猫さんを抱けて…くしゅん！　わたし…くしゅん！　幸せだよ〜…くしゅん！」
「つばーっ！」

投票結果

はむ
タイトルと内容が一致してませんね。一致してると言い張るのなら何も言いませんが。


ふぁんほーいどんく (採点:1)
ええ話や（どこがっ！）


屈折する星屑
あはは。なかなか面白かったです。


Manuke
恐っ！


山の上
唾連発はちょっと参りました。


Foolis
なかなかいい感じのネタだと思うけど、もう一歩何かが欲しい。
評価Ｂ


電光刑事バン
　猫のためらねぼすけも治るといいたいのだろうか。肝心のぴろの描写が無いのが減点対象です。


ふうがみこと
……天国ですな。私が祐一ならば。


木村圭
祐一、ご愁傷様。
わざわざ祐一を拘束しなくてもぴろを拘束したほうが楽な気がしますが、猫を拘束するなんて考えは名雪には無いかもしれません。
せめてマスク外さないでくれ、名雪。


荒野草途伸
６くさとし。


Revin
なるほど。ダークかと思ったらこういうことですか。
面白い。


ROY
終盤の祐一の台詞がいまいち。
個人的には唾、涎、鼻水とでも変化させた方がよいかと。


歩人
猫にベアハッグ＆くしゃみ攻撃。やるね（謎。


言之米
なゆきちフィーバー


投票者四回目
これは素晴らしいシチュですね。


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