あのぬくもりをもう一度


最初は信じられなかった。

きっと戻ってくると待ち続けて、一日、二日……
一日が一ヶ月、一ヶ月が季節の移り変わりとなり、さらに次の季節……
丘に再び同じ季節が戻ってきた頃には、自分が一人取り残されたのだと分かっていた。
それでも、いつかは戻ってくると信じて待ち続けた。
あのぬくもりをもう一度。
それだけがたった一つの希望だったから。

二年目の年も瞬く間に終わり、さらに次の年、四年、五年、六年……
あいつがにくい。
どうして、自分がこんなに苦しまなければいけないのか。
あいつのせいだ。
月日の積み重なりはいつしか、会いたいという思慕の思いを、戻ってこないあいつに対する恨みへと変えていた。

そして、七年目の年が明け……
あいつだ!!
風の中にあいつの気配を感じた。
やっと戻ってきた。
あいつに会う。
会わなければいけない。
その衝動だけに突き動かされ、自分でもどこに行くのか分からないまま駆け出していた。

いた!!
間違いない、あいつだ。
「やっと見つけた……」
その言葉にあいつはびっくりしたような表情で振り返った。
振り返ったあいつに、待ち焦がれていたあいつにぶつけた恨みの言葉。
「ばか、七年も待たせやがって……」
涙で目を潤ませて、あいつは応えた。
「ただいま、祐一」

投票結果

Manuke (採点:1)
ミスリードが面白いです〜。


屈折する星屑
なるほど。７年待たせた祐一を７年待たせて帰ってくる…もっと長く書いて上手く使えれば、いい話になったかもしれないなぁ。


ありあも
・・・あ、逆か。


山の上
超短編に出すべきではないでしょう。


はむ
二重のしこみが効いているのはいいんですが、これはちょっと……。あんなに怒ってたのに、あっさり「ただいま」ですか……。


電光刑事バン
　基本的に真琴ネタなのかもしれませんが、本当に七年前なのかの確認を取りましたか？
　少なくとも七年前、あゆと名雪のエピソード中に子狐の要素はありません。つまり、時間を特定するのではなく、ここはぼかした表現にするのが適切です。
　ゆえに減点となります。


Foolis
真琴と対になっているのはいい感じだと思った。
評価Ｂ＋


荒野草途伸
４くさとし。


ふうがみこと
ラスト3行の逆転は好きなんですが……
祐一を待たせていたヒロインは誰なんでしょう。私の想像力では特定できませんでした。もし誰でもいいというのなら、ちょっとあんまり。誰だか特定できた方が、このお話は深みが増したような気がします。


歩人
カクーン。「あなただけは許さないんだから！」って訳でないのね。


投票者四回目
涙で目を潤ませて、が、潤は目を潤ませて、に見えて、精神的ダメージを食らいました。


名無しさんだよもん
最後の違わくない？それとも捻り過ぎ？


Ｇａｒａ
　意表は突かれましたけど……真琴が戻ってくるのに７年は無理あるような……


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