まだまだ変わらない
小さなアパート。
無機質な鉄の扉。
よく見ると端のペンキが少し剥げて来ているが
悪くない。
重いドアを開け、迎えてくれるのは
自分の片腕を伸ばしたほどの長さしかない小さな玄関。
靴なんかはきっと数えるほどしか置かないだろう。
別に………三人分置ければいい。
廊下と呼べるか呼べない微妙な距離を進むと
奥の部屋には、まだ包装されたままのダンボールがいくつか積まれていた。
これは夕食の後にでも片付けようか。
こんな単純な荷物整理も大切な思い出になるだろう。
そんな時間が楽しい
そんな自分が嬉しい
私には今はそれ以上望む事はない。
ちらりと時計を見ると約束の時間に近い位置に針が止まっていた。
一緒に行こうとも思ったけど、新入居者が来る時間とかぶってしまい
親友の『お留守番』の一言で私は残ることにした。
腕によりをかけてと言っていたけど何を作るつもりなんだろう。
いつもおいしい料理なだけに今日は特に楽しみだ。
インターホンの音が来訪者を知らせる。
時間通りだ。
少し緊張してドアの前に立つ。
ドアが開いたらまず何て言おう―――
そんな私をよそにドアがゆっくりと開く。
――――ただいま、舞
――――おかえり……
お互い変な挨拶だったけど、私たちにはこっちの方がお似合いだ。
投票結果
- 山の上
- 普通。
コメントのしようがない。
- Revin
- 普通、と思いました。
- ふうがみこと
- 表現はもうちょっと工夫できたような気がします。
１Kbだから説明っぽい所は極力省いて、その分描写に使って良かったんじゃないかなぁ。
- Manuke
- もうちょっと状況説明して分かりやすくするべきかも〜。
- ぽこぽんた (採点:2)
- 大きな幸せと、小さなせつなさ。こんなに響くとは思いませんでした。
１点減点されている理由は、地の文があまりらしくなかったから。
- Foolis
- ほのぼのとした雰囲気がいい感じでした。評価Ｂ
- はむ
- お似合いですねそうですね。悪くはありませんでした。
- 屈折する星屑
- 普通……とくに目立つ部分はなかったかな。
- 電光刑事バン
- 舞の一人称というのは面倒なジャンルですが、上手く表現できていたと思います。
しかし、祐一と三人で暮らすというのは、あくまでも祐一が卒業してからの話です。つまり、祐一が入居するときはすでに二人で暮らしてるということです。
まあ、アンソロドラマＣＤでは三人で暮らしていましたから、特に問題は無いんでしょうけど。
- 言之米
- 同棲は浪漫です
- 木村圭
- まだまだ変わらない。まだまだ終わらない。
そんな三人の生活。
面倒な作業さえもかけがえの無い思い出になる。
そんな、三人の生活。
- 荒野草途伸
- ４くさとし。
- 歩人
- 小さな出来事。それも幸せ。
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