SSこんぺ No.015 : 遅刻

遅刻

「おはようございます、秋子さん」
「おはようございます、祐一さん」
いつも通り俺は席に着き、目の前に運ばれてきたパンを食べていた
「名雪まだ寝てます？」
「一応声はかけたんですが」
「そうですか、あの子も困ったものですね」
「そうですね」
それで結局俺は
「走っていた」
「なに言ってるの祐一？」
「いや、なぜに俺は走っているのだろうと思って」
「それは遅刻しそうだからだよ」
「俺は普通におきたぞ」
「う～」
「何で走ってるんだろうな？」
「祐一がもっと早く起こしてくれればいいんだよ」
「そうだ！」
俺は唐突にいいことを思いついた
「明日から一週間俺は名雪を起こすのをやめる、すれば俺は走らずにすむじゃないか」
「それじゃあ、私が遅刻しちゃうよ」
「俺のせいじゃないな」
「う～、極悪人だよ～」

結局そのあといろいろ言われたが明日から一週間俺は名雪を起こさないことになった
ただし条件として一日遅刻しなかったらそのたびにイチゴサンデーというものがついているが
この分は俺の稼ぎどころだったりする
「なぁ、香里」
「どうしたの？」
「明日から名雪を起こさないことにしたんだ」
「そう、ついに相沢君もいやになったわけね」
「そこでだ。賭けをしないか？」
「賭け？」
「名雪が明日から１週間の内何日間遅刻するかでだ」
「いいわよ、じゃあ私は全部遅刻にかけるわ」
「ぐっ、それじゃあ俺と一緒だから賭けにならないじゃないか」
「あら、じゃあ相沢君が変えれば？」
「いや、そういう香里こそ」
「う～、二人とも酷いこといってない？」
いつの間にかいたのか名雪が突っ込みを入れてくる
「そんなことないぞ、なぁ香里」
「えぇ」
「う～」
結局北川も同じ結果になったので省略する

夕食後

「そうだ名雪」
「なに？祐一」
「俺はお前が遅刻しなかったらイチゴサンデーだが、もし全部遅刻した場合はどうするんだ？」
「何もないよ」
「それじゃあ、不公平だ。よしもし名雪が全部遅刻だったら・・・」
「全部遅刻だったら？」
俺は考えた、何かいい案を・・・
そうだな、このさい今まで考えていた事を実行に移すとしよう
「どうしたの？祐一」
「よし、俺は出て行こう」
「えっ！」
さすがの名雪もこれには驚いたらしい
「でも祐一出てってどうするの？」
「一人暮らしでもするか、秋子さんにいつまでもお世話になるわけにもいかないしな」
「う～、別にお母さん気にしてないと思うんだけど」
「でもいつまでも世話になるわけにも行かないしな、お金も名雪のイチゴサンデー分が消えればなんとかなるだろうし」
「う～、酷いよ」
「なぜに酷いかはわからんが名雪が遅刻しなければいいだけの事だからな」
「絶対遅刻しないからね」
「おう、がんばってくれ」

しかし俺は絶対名雪は起きられないと思っていたのでそのまま秋子さんのところへいった
「秋子さんちょっとお話が・・・」
「なんですか？」
「実は・・・」
俺はこれまでの経緯と一人暮らしをするかもしれないことを告げると
「でも急にどうしたんですか？一人暮らしをするなんて」
「いや、まぁ・・・いつまでもここにお世話になるわけにも行きませんから」
「そうですか。祐一さんがそこまでいうのならかまいませんけど、きっとその話はなくなりますよ」
「どうしてですか？」
「名雪がちゃんと起きるからですよ」
「まさか」
「あの子はこういうことにはしっかりしてますから」
「はぁ」

そのあと少し話をしたあと俺は自分の部屋に戻った
「明日が一日目かどうなるかな」

そして次の日の朝
俺は普通に降りていったらそこに名雪がいた
「おはよう、祐一」
「・・・あれ、俺まだ寝てるのかな？名雪の姿が見える」
「う～、私ちゃんと起きてるよ～」
「おはようございます、祐一さん。あら？どうかしたんですか？」
「おはようございます、秋子さん。いや名雪が起きてるなと思ってびっくりしてただけです」
「そうですよね、私もびっくりしましたから」
「う～、なんかふたりとも酷い事言ってない？」
「そんなことないわよ、ほら朝ご飯早く食べないと早く起きても遅刻する事になるわよ」
「わわっ、それは大変だよ」
そんなこんなで朝ご飯を食べ久しぶりにのんびりと学校に歩いて行った
「おはよう香里」
「あら？今日は余裕をもって来たつもりだったんだけど遅刻かしら？」
「う～、香里酷いよ」
「冗談よ、それにしてもめずらしいわね。名雪がこんな時間にここを歩いているなんて」
「そうだな、俺ですら歩いて学校に行くのは久しぶりだ」

結局初日は無事に起きたわけだがまぁもう続かないだろうと思っていた

しかしそれが２日、３日、４日と続き結局１週間遅刻することはなかった

「香里、賭けはお前の負けだ。ということでイチゴサンデー１週間分な」
「何いってるの？相沢君も遅刻するにかけてるんだからパァよ」
「くっ、しまった。こんなことなら遅刻しないにかけておくんだった」

そのあと結局俺はイチゴサンデーを１週間分＝７つ奢らされた
そのあと名雪になぜ遅刻しなかったかと聞いたらこう言った
「祐一がいなくなっちゃうのはいやだから」
「だからこれからもよろしくね、祐一」

そして次の日
「なぁ、名雪」
「なに、祐一？」
「いやなんで走ってるんだろうなと思って」
「それは遅刻しそうだからだよ」
「昨日まではちゃんと起きてたじゃないか！」
「だって今日からは遅刻しても祐一はいなくならないから」
「う～む、すると朝起きてこないのはわざとなのか？」
「そんなことないよ」
「だったらさっさと起きて来い！」
「祐一がもっと早く起こしてくれればいいんだよ」
「なんで俺がおこさなくちゃいけないんだよ！」
「ふぁいとっ、だよ。祐一」

結局また名雪を起こす羽目になってしまったのはいうまでもなかったりする

Fin

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