ぷるるる……ぷるるる……
何度かの呼び出し音。
昨日と同じハズなのに、それがとっても長く感じて、早く、早くと気持ちだけが急かされる。
トン、トン、トンって指先でテーブルをたたいたり、髪の毛を指に巻きつけたり――ほとんど無意識にそういうことをやって、あぁ、わたし動揺しちゃってるなぁ、なんてことを思う。
でも、そう。落ち着いてなんていられるわけ、ないもん。だって――
がちゃ、と相手が受話器を取る音。小さなノイズ。
「あ、香里っ！？」
すぅっと相手が息を吸い込むのを聞きながら、わたしは我慢できなくなってその名前を呼んでいた。
あなたのために出来ること
『……で、いったい何事なのよ？ あたしが電話に出たからいいようなものの……珍しく取り乱してるわね』
電話の向こうで香里が苦笑交じりにそんなことを言ってくる。
うぅ、ほんのちょっと自覚があるだけに恥ずかしいよ〜。
洗い物をしていたお母さんが台所から出てきてクスクスと笑う。
あう……って、そうだよ！
「そんな場合じゃないんだよっ！！」
『……はぁ？ ちょっと落ち着きなさいよ。名雪』
「落ち着いてなんていられないんだよ！ 祐一が帰ってくるの！！」
そう、祐一が帰ってくる。
思い出すのは祐一と一緒に歩いた商店街。走り回った雪の大地。笑いあった思い出。えっと、それから……
『ちょ……名雪、落ち着きなさいってば。誰よ？ その“祐一”って』
はぁ、と香里が呆れきったようにため息を吐き出す。
「あ――そっか、そうだよね。香里、祐一のこと知らないもんね」
そんなことさえ忘れていたんだっていうことに、わたし自身苦笑してしまう。
でも、だって、本当にうれしかったことだから。
「あのね、祐一っていうのはわたしのいとこでね。昔は冬になるといつもこの街に来てくれてた子なんだ」
７年前、この街に遊びに来て、それっきり電話も手紙も……会いに来てくれることもなかった男の子。
祐一が帰ってくるってお母さんから聞いたのは今日、部活から帰ってきてから。
お母さんったら意地悪で、もっと前から分かってたのにわたしを驚かせようって内緒にしてたらしい。
わたし、ホントにびっくりしちゃって、何にも言えなくなってパクパク口を開いたり閉じたり。
なんでも１月６日――３日後に祐一はこの街に来てくれるらしい。
あんなことがあって、もうこの街には来てくれないんじゃないかってそう思ったりもしてたんだけど、祐一のご両親が外国に行かなくちゃならなくなって、その関係で祐一はここの高校――私が通っている高校に通うことになったってお母さんは言っていた。
この街で、この家で……そして同じ学校で、また祐一と一緒にいられる。そう思うといてもたってもいられなくなっていた。
きっと、あの時のことは忘れてしまっているだろうけど――
『ふぅん、それであたしに電話してきた、ってわけね』
ぼぉっと祐一のことを思い出していたわたしは、香里の声ではっと我にかえった。
香里がクスクス、というよりニヤニヤっていう感じで笑ってるのが、受話器の向こうから聞こえてくる。
「えと……香里？」
おそるおそる言葉をかける――と、香里はゴホン、とセキ払い。
『名雪。あんたその、“祐一”くんだっけ？ その人のこと、好きなんでしょう？』
「ふぇ？ え、あ――――」
一瞬、香里が何を言ったのか分からなくて……それから、ぼっ、って。もしかしたらそんな音がしたんじゃないかっていうくらい、一気に顔が赤くなるのが自分で分かる。多分、耳の先っぽまで、真っ赤。
「な……あ、え、あ、あの、えと……か、香里？」
何を言ったらいいのか、何を言おうと思ってるのか全然わかんなくなって、頭の中は真っ白でただ何か言わなくちゃって思って。
それは――まぁ、つまり、図星っていうことなんだけど。
そんなうろたえちゃってるわたしに、香里はまたクスクスって笑ってるらしい。
う〜……なんだか、簡単に今の香里の顔が想像できちゃうような気がするよ〜。
『名雪ってさ、分かりやすいわよね。ホント、そんなに楽しそうにその人のこと話すんだもの。聞いててなんだかむずがゆくなってきちゃったわよ』
楽しそう、だったのかな？
お別れは――７年前のお別れは、多分、最悪。
それでも……うん、それでも。鏡を覗き込んだわたしは、やっぱり笑顔で。
『それで？ まさかわざわざノロケるためにウチに電話してきたんじゃないでしょうね？』
クスクス笑う香里は冗談交じりでそんなことを言ってくる。
「の、ノロケてなんてないよぅ……わたし、祐一にはふられちゃったし」
最後の方は、自分だけに聞こえるくらいの声で。だから、香里には聞こえなかったんだろう。
香里は『ふぅん。あれでノロケてない、ねぇ』って言いながらあきれたような笑いを送ってくる。
うぅ、そんな恥ずかしいこととか話してたつもりないんだけどなぁ。
「そ、それに、ほら！ わ、わたしそういえば香里に相談があったんだよっ！」
『そういえば……って、なんか今無理やり考えてない？』
「そ、そそ、そんなことないよぅ！」
香里の冷静なツッコミに、わたしは思わずわてわてと受話器を持ってない方の手を振っちゃう。
そんなわたしの言葉に香里はやっぱりクスクス、クスクス。
ううぅ……香里ってば意地悪だよぅ。
『……ふぅ。ほんっと、名雪って正直なのよねぇ……で、何？ あたしが力になれることならいいんだけど』
笑い疲れたのか、香里は小さく息をついて、わたしにそう聞いてきてくれる。
ふざけてても、最後は真面目にわたしの話を聞いてくれる。そんな親友に向かってわたしも小さく息を吐き出してから問いかけた。
「ねぇ、香里。祐一のために何かプレゼントしたいんだけど、何がいいかなぁ？」
なぜだか、香里はわたしの言葉に、またクスクスって言うよりはニヤニヤって感じの笑みを浮かべたらしかった。
「はぁ……どうしよ……」
真っ赤な夕日。目の前を流れる人。わたしはベンチに座ってぼぉっとそんな商店街を見てた。
わたしは部活帰りの制服姿のままでずっとプレゼントを探していた。
昨日、香里と話をしているうちに本当に祐一のために何かプレゼントをしたくなったから。
それはもしかしたら、７年前のやり直しをしたいってわたしが思っているからかもしれない。
見上げた空はキレイな赤で、だけど思い出すのは灰色の空。
――見上げた空には、灰色の雲。
ちらり、ちらり舞い降りる。白い、白い純白の雪。
行き交う人々。
それはわたしの知らない人で。
それはわたしを知らない人で。
それでもそこから動けないまま、わたしは何時か来てくれるかもしれない人を待ち続けて。
だから、わたしは１人――
はぁ、と息を吐き出す。いつものことだけど、思い出すとそれはやっぱり悲しいこと。
だから、かもしれない。
そんな悲しい想いを引きずったまま、祐一と一緒にいるのはツライと思うから。
見上げた空は真っ赤で、なぜだか涙があふれそうになった。
『プレゼント、ねぇ……その“祐一”くんが好きなものなんてどうかしら？』
受話器の向こうの香里は真剣に考えてくれてるみたいでむ〜ってうなりながらそんなことを言ってきた。
「祐一の好きなもの……って、なんだろう？」
『いや、あたしに聞かれても困るんだけど……つまり、分からないってことね』
はぁ、と香里はあきれたようにため息をつくけど、だけどそれは仕方ないって思うんだよ。
祐一と会ったのは７年前、お話したのもそれが最後。
今、祐一が何を思って、何が好きなのか、なんてわたしには想像もできないんだから。
『こういう時は手作りの何かって言うのが王道なんだろうけど、もう時間もないしねぇ』
「んー。そうだね」
そうぼやく香里に、わたしはただ苦笑混じりの言葉を返す。
もっと前から祐一が来るって知ってても、手作りのものをあげようとは思えなかったと思う。
『あ。じゃあ、名雪の好きなものをプレゼントするっていうのはどうかしら？』
「わたしの……好きなもの？」
「……もう一回、歩いてみようかな」
よいしょっ、と勢いをつけて立ち上がる。
祐一がこの街に来る日まであと２日しかない。のんびりしてたら時間がたつのはあっという間で、祐一にプレゼントなんてできないんだから。
でも――と、辺りを見回す。
本当、何をプレゼントしたらいいんだろう？
香里はわたしの好きなものをプレゼントしたら、きっと祐一は喜んでくれるって言ってたけど……
昨日もずっと考えて、今日も部活が終わってから商店街のお店を見て回ってたけど、どうしてもこれっていうものが見つからない。
お母さんのイチゴジャム、百花屋のイチゴサンデー。
うーん、でも祐一は甘いものはあんまり好きじゃなかったと思うし。
それに食べ物なら２人で一緒に食べに行くことだってできるし、それなら一緒に食べに行きたいもん。
可愛いねこさん……なんて、もっとダメだよね。やっぱり。
もらっても祐一、困っちゃうだろうし。それよりわたしがねこさんアレルギーなんだから。
歩きながら他にも色々考えて、だけどやっぱりいいのが思い浮ばない。
「う〜……困ったよ……」
流れていく人波の中で１人、ぽつんと立ち尽くして山の稜線に消えていく夕日を見つめた。
「どうすればいいんだろ……」
わたしの小さな――自分にしか届かない呟きとため息。
「なーゆきっ！」
ポン、と叩かれる肩と、聞きなれた声。
わたしが後ろを振り向くより先に、香里がわたしの顔を覗き込んできていた。
「わ。香里？ どうしたの、こんなところで？」
「どうしたの……って商店街にあたしがいたっておかしくないでしょうが。買い物よ、買い物」
あきれたように呟く香里に、あぁ、そうか、と納得する。
「ほんっと、何かぼぉっとしてるわねぇ」
「うー……そんなこと、ないよ？」
我ながら説得力ないなぁ、って思うけど、やっぱり思わずぷぅっとほっぺたを膨らませちゃう。
香里は苦笑して、ぽんぽんって頭をなでる。う〜、子ども扱いされてるよー。
むぅ、とほっぺたを膨らませたままにらむと香里はごめんごめん、ってようやく頭から手を離した。
「名雪こそこんなトコで……あぁ、電話で言ってた“祐一”くんへのプレゼント？」
香里には祐一のことを話したんだから想像がつくのは当たり前――なんだけど、わたしは顔が一気に熱くなるのを感じてしまった。
それを見て、香里がクスクスと楽しそうに笑う。
うぅ、香里ってやっぱり意地悪だよぅ。
「で？ 何ぼぉっとしてたの？」
わたしの視線に気づいたのか、香里はゴホンと１つセキばらい。
しばらくそんな香里をにらみつけて――わたしは、はぁって息をついた。
「……あのね。祐一へのプレゼント、どうすればいいか分からないんだよ」
ぐるり、と商店街のお店を見回してみてもやっぱり何も変わらない。
「あら、まだ決めてなかったの？」
「ん……あの、ね。実際に何かプレゼントしようって思っても何がいいかって全然分かんなくて。祐一に何かしてあげたいって、そう思うんだけど、ね」
ふぅ、と息を吐き出す。
どうしよう、何をプレゼントしようって、さっきからそればっか。
そのたびに浮かぶのはあの時の祐一の顔と、崩れた雪ウサギ――
泣き続ける祐一と、何もできないわたし。
あんなことはもうないって思っても、わたしはやっぱり心のどこかでこわがってる。
「…………ふーん」
「ふぇ？ な、何？」
ぼぉっとしてたわたしに香里は呆れきったようにため息を吐き出して、苦笑する。
なんだかそんな香里に気圧されて、わたしは一歩後退っちゃう。
「ん。いや、その“祐一”くん？ 名雪にここまで想ってもらってるなんて、ちょっと妬いちゃうな、って思って」
苦笑を浮かべたままそう言って、それから香里はすっごく優しい笑顔を見せてくれた。
「あのさ、ムリにプレゼントっていう形で探さなくてもいいんじゃない？ なんて言うのかな？ その、何かしてあげたいって気持ちがあるなら、何でもいいと思うわよ。例えば――名雪がその人にしてあげたいこと、とかね」
わたしが祐一にしてあげたいこと……？
小さく首を傾げるわたしに、それじゃあがんばってね、と言い残して、香里は商店街の向こうへと歩いていった。
その背中を見送りながら、わたしは考えていた。
わたしが、祐一のためにしてあげたいこと、出来ることを――
サク、サク……サク…………サク………………
待ち合わせの場所が近づくにつれて、わたしはだんだんと足を踏み出せなくなっていく。
気づかないうちに下げていた視線の先には、踏まれ、汚れてしまった雪の大地。
そんな雪を見ると、白かった雪ウサギが壊れて、汚くなっていくのを思い出してしまって……
さっきから、その、繰り返し。
進んでは止まって、止まっては進んで。
わたしは、かじかんだ手でプレゼントを握り締める。
祐一に会える勇気が持てるように、祐一にこれを渡す勇気が持てるように。
ふぅ、と息をついて顔を上げる。わたしのそばを通り過ぎていくたくさんの人々。
いつの間に降り出していたんだろう？雪がほんの一瞬、視界を白く染め上げる。
吐き出す息は白く、吹く風は冷たい。
冬が来た。
あなたが訪れることのないまま、７度目の冬が来た。
だけど。
………………サク…………サク……サク、サク。
わたしは歩き始めた。だって、いつまでもこうしてるわけには、いかないもん。
祐一は待っててくれてるんだから、この雪の中で。
ゆっくりと流れていく景色。流れていく人並み。そして、見えてくる駅。
そういえば駅に来るのも久しぶりだった。ここに来ないわけには行かないけど、できるだけ近寄らないようにしてたから……
歩きながら、久々に見る駅を眺めて――
「…………っ！」
ピタリ、と足を止めて、思わず電柱に隠れてしまう。
ちらり、と電柱の影から駅前のベンチを見てみる。
俯いていて、顔ははっきりと分からなかったけど、一目見て分かった。
「――祐一」
無意識のうちに吐き出した息が白く、白く天に昇る。
かぁっと頬が熱くなる。
７年ぶりに見る祐一はやっぱり祐一で。
ぎゅっ、と大切なプレゼントを抱きしめる。
大切な、大切なプレゼント。
その手が、震える。怖くて、震える。
７年前のあの日、あの場所で、壊れてしまったプレゼント。それに重なって見えてしまって。
「……がんばれ、名雪」
小さく、わたし自身に向けて呟いて……息を吐き出す。
ぎゅっ、ともう一回抱きしめてから、だけど、わたしはカバンにそれを入れてしまった。
ずるいって自分で思うけど、でも、これ以上祐一を待たせたくないから。
舞い落ちる雪が、ゆっくりゆっくり積もっていく。
代わりに、すぐそばの自動販売機でコーヒーを買った。
そのコーヒーは暖かくて、熱すぎるくらい暖かくて、なんでだかわたしは泣きそうになっちゃって……
ぶんぶんって頭を振ったら、ぱらぱらと頭に積もった雪が零れ落ちていく。
よし、行こう。祐一、寒い思いしてるだろうから。
７年前、寒い寒いって言ってた祐一を思い出して、わたしはようやく小さく笑顔を浮かべられた。
サク、サク、サク。
雪の大地を踏みしめて。
「……雪、積もってるよ？」
そうして、わたしと祐一は、７年前お別れしたこの場所で、７年ぶりの再会を果たした――
「はぁ……」
けろぴーを抱きしめて、コテンとベッドに横になる。
その枕もと、昨日から何度となく手にとったり戻したりしているモノ――わたしの、プレゼント。祐一のためにしてあげたいこと。
「はぁ……」
横になったまま月明かりの差しこむ部屋を見回して息を吐く。
わたしにしては珍しいことだけど、あまり、眠くなかった。
「どうしよう？」
ぽそり、と口をつくのはそんな言葉。
昨日からこんな調子で、自分自身嫌になっちゃうんだけど。
祐一を迎えに行った時ももちろんそうだし、他にも一緒に祐一の部屋の片付けをしていた時も、一緒にご飯を食べた時も、お風呂どうぞって言った時も何度もチャンスがあったのに、わたしはやっぱり渡せなかった。
……ホント、情けない。
「はぁ……ね、けろぴー。わたし、どうしたらいいのかな？」
今日何度目かもう忘れちゃったけど、またため息をついて、わたしはぎゅっとけろぴーを抱きしめる。
けろぴーはいつもと変わらない笑顔で、答えてなんてくれないって分かっていたけど。
ゆっくり、ゆっくりまぶたが下りてくる…………と。
コン、コンっ。
……あれ？ 誰だろう？
時計を見るとまだそんなに遅い時間じゃないけど、いつものわたしならそろそろ寝てる時間だった。
お母さん？ それとも――
『名雪？』
「……え？」
一瞬、これは夢じゃないかなって、思った。
ドキドキって胸が痛い。
わたしは祐一へのプレゼントをちらっと見てから一回深呼吸して、立ち上がった。
いつもみたいに笑っていられてるか、不安だったけど。
「祐一。夜は、おやすみなさい、だよ」
「ああ、おやすみ」
目覚ましを抱えたままわたしがぺこりと頭を下げると、祐一は白いシンプルな目覚し時計を片手に苦笑交じりに微笑んでくれた。
バタン、とわたしの部屋のドアが閉まる。
バタン、と隣の部屋のドアが閉まる。
わたしは部屋に入ってすぐに、ぺたんって床に座り込んでしまった。
抱えていたいくつもの目覚し時計が、ごとごととフローリングの床に落ちる。
それを目で追うこともしないでわたしは自分のほっぺたに手を当てた。
ほっぺたがかぁっと熱くなる。
「……よかったぁ」
ベッドの上から落ちてたけろぴーを力いっぱい抱きしめて、小さな声で呟く。
どうやってプレゼントを渡そうってずっと悩んでた。
だから、祐一が目覚ましを貸してくれって言ってくれた時、まるで心が読まれちゃったみたいで必死に隠そうとしていたドキドキが思いっきり顔にでちゃいそうになって、このドキドキを隠すので精一杯。とてもじゃないけど眠くなんてなってられなかった。
プレゼントは、時計。白い、声を録音できる目覚し時計。
祐一、ちゃんと受け取ってくれたかな？ ちゃんと使ってくれるかな？
そんなことを考えながら、わたしはゆっくりと立ち上がってけろぴーを抱きしめたままパタリとベッドに倒れこむ。
悔しいけど、わたしじゃ祐一のことを起こしてあげられないから。
だから一生懸命がんばって、何度も何度もやり直して。
この気持ちのほんの少しでも祐一に届くようにってお願いしながら言葉をこめた。
今はただ、祐一と一緒にいられる。そんな幸せな夢に包まれながらあしたを思う。
叶うなら、目覚まし越しにでも祐一に朝一番のおはようを伝えられるように、って。
それが、あなたのために出来ること――
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