言うまでも無いが、俺は相沢祐一。この話は最近の学校生活の、何かと暇な時の出来事だ。
いつものような学校生活が送れると思っていたけど。それは大きな間違いだった。
北川がある相談事を俺にしてくる、とても重大な事のようだ。
俺は親友として上手く相談にのれるだろうか？
おれるだろうか…
────────学校───────
キーンコーンカーンコーン
「デンデンデングリ反してバイバイバイ♪ よし名雪、帰るぞ」
俺は授業の終わりのチャイムと共に教室の後ろで日本○話の歌を歌いながら一回転した。
当然の事ながらクラスの何人かがこちらを見ていたけど、そんなの気にしていたらこの学校生活はやって行けない。
「何してるの祐一？ 何かの儀式？」
「これが儀式に見えたお前は馬鹿だろう」
「祐一ひどいよ……、ハゲ」
「ハゲとらんわ！」
名雪に対する怒りを抑えながら教室を出ようとした。その時……
「なぁ相沢、少し相談があるんだけど」
「ダメです！」
「そっか、残念だな」
そういうと北川はションボリしながら教室を出て行った。
「（げっ、しまった！ 何の話か気になるじゃないか！）おぉ〜い北川、北川さん、北川ちゃん、キタグゥワ〜！」
「一回呼べば分かるって、それに最後の呼び方は何だよ？」
「ふっふっふ、そう呼んだら必ず立ち止まると確信してたからな」
「さすが相沢だな、オレのことを良く知っている人物No1に任命してやろう！」
「おぉ〜何か特典でもついてくるか？」
「いや何も無い。月に一回会員維持費で金を取るからな」
「こっちだって、会員になってやった税で金をもらうからな」
「じゃあお互いに差し引き0ってことで」
「意義なし」
俺達は無駄な話をしながら教室の中に戻っていった。
「名雪、北川と人間の愛について語るから先に帰っててくれ」
「人間の愛について語るより自分の人生について考えたらいいと思うよ」
「名雪ダメよ、この２人の人生なんて腐れてると思うから考えたって無駄なだけよ」
俺達の会話に席で本を呼んでいる香里が入ってきた。言うまでも無いがかなりキツイお姉さんだ。
「香里の人生だって先が見えてるだろ？」
「どうして？」
「オレはこれからのお前の行き方を予測できるぞ！」
北川のくだらない話が始まりそうだったので俺は……
「名雪、くだらない話が始まりそうだから覚悟しとけよ」
「ＭＤでも聞いてるよ〜」
そう言うと名雪はカバンの中からＭＤを取り出して音楽を聞き出した。
音楽のリズムに会わせて上手く足でリズムを取っている。そのつま先が上がったり下がったりしている動作が気になったので、
「どりゃ！」
と名雪のつま先をキックでグニ！と捕獲した。名雪は俺のほうを少し睨んでボソボソと呟いた。
「時よ止まれ……」
「へ？」
名雪が謎の呪文を唱えたかと思うと名雪は俺の目の前から消えていた。
するとなぜか頭が何かで殴られたかの様に痛くなった。
「うぉぉ〜いて〜」
俺は頭を押さえながらウーンウーン痛がっていた。すると香里たちの方から……
「どういう事よそれ！」
「うぅわぁお！？」←？
俺は香里の怒鳴り声に驚いて変な言葉を発してしまった。
「おぉ！？ オレはただ香里はこうなるだろうと予測しただけじゃないか」
「それにしたって酷すぎるわ！」
そう言うと香里は凄い勢いで教室を出て行った。その後外で『キィィィェェー！』という謎の叫び声が聞こえていた。
「何かバクダンでも言ったの？」
「いや……オレはただ……」
北川が言った香里の人生経路！
高校卒業→進学→美人なので大学でナンパされまくる→毎回断った→しつこい人間もいる→二度と立てないようにした→先生などの目に止まる→そして中退→グレル→暴れる→悪になる→外国でマフィアの幹部になる→香里の名前を捨てる→ミセス・マキシミディアンの名を手に入れる→グッドエンディング（←？）
以上。
「まぁ誰でも怒るわな」
「ふむ、冷静に考えたらそうなるな」
考えた本人でも『誰でも怒る』と納得してしまったようだった。
「ところで話を最初に戻すぞ」
「おぉ〜そうだな」
「デンデンデングリ反してバイバイバイ♪」
「いや、戻りすぎだろ」
「まぁ冗談だな、で真面目な話相談って何？」
「実はな……オレ……美坂に告白しようと思ってるのだ！」
「ぃやった〜、頑張れよ」
「普通もっと驚かないか？ 友達がいきなり告白宣言をしてきのだぞ？」
「お前の告白のネタ（SS DNML）はいっぱい使われてるからな。毎回似たような反応はつまらないとおもってな」
「そうなのか？毎回結果が気になるな。今度何回成功したか言ってくれ」←（そういう問題じゃね〜だろ
「成功は5回だな」
「いや、今度っていっただろ。それにその少なさはなんだ？」
「めちゃ適当に言った」
「だろうな」
「…………」
「…………」
お互いに話す会話が途切れてしまったので元の話に戻そうと考えた。
「「ところで……」」
「お？」
「むっ？」
都合良く話すタイミングが一致してしまった。
「俺から言うぞ。」
「おう」
「告白の件だが。北川が香里に告白するのは分かった。それ以外に俺に何の相談だ？」
「おぉ〜そうだった」←（忘れてた奴）「相沢、お前には告白の仕方はどのようにしたらいいか聞きたかったのだ」
「そんなこと、俺じゃなくても斉藤でも良かったのでは？」
「斉藤は……一応相談はしたけど……」
そう言うと北川は少し怒った表情で横を向いていた。
「何かあったのか？」
「聞きたい？」
「聞いて欲しいのだろ？」
「うん」
「おにいちゃんに話してごらんなさい」
「あぁ、あれは2日前の事だった……」
「少しはつっこめよ……」
北川は夕日を見ながら話を始めた。今までに無いくらい真剣な横顔をしていた。
あの日は相沢の前に先に斉藤に話をしようと思っていたんだ。学校が終わる前に俺は斉藤に……
「なぁ斉藤、少し相談があるんだけど……」
「お？ 珍しいね北川君の相談なんて。でも、5時から見たいドラマがあるから手短にね」
斉藤は最近になって凄くお気に入りのドラマがあるらしい、なんでも全国視聴率40％を越える超感動の話題作らしい。
「おっおう。オレな……美坂に告白しようとおもってるんだよ！」
「ほぉ〜、ついに告白する気になったか〜。がんばってね」
「おぉ。応援ありがとぉ！ そこで……」
「あっ、そんな事より北川君。もうすぐドラマが始まっちゃうよ？ 北川君も見なよ」
「えっ、やっ、いや」
「じゃね、北川君。……あっ、それと告白宣言するためにボクを引き止めないでね。じゃ」
そう言って斉藤は夕日の廊下を駆け抜けて行った。オレは斉藤が校門を出るのを教室の窓から見送った。
そして窓を開けたら心地よい風が入ってきた。そして……気づいた時には自分は心の底から叫んでいた……。
「告白宣言するだけにお前に話しかける訳ないだろうが！ 人の話は最後までちゃんときけやこらーー！ それと……『そんな事より』て言ったけど……オレの告白の話は……そんなことなのかーーーー！ くそぉぉぉぉ！」
そして俺は見回りの先生に一発叩かれて学校を出て行った。
その日はなぜか家まで全力で走って帰っていた……。
「だからお前に相談したと言う事なのだ」
「なるほど……途中で詩みたいな事言ってたけどな」
「その方がムードがでるだろ？」
「詩の内容によるな。じゃぁ、話をもどそう」 ←（2回目）
「無駄な話が無い様になるべくアドリブはなしにしような」
「でも、俺に相談したって大した事教えれないぞ」
「あくまでで参考だよ、それに水瀬さんとつきあってるだろ？ そういう事になら詳しいと思ったのだが」
一様俺と名雪は付き合っている。しかし普段と余り変わりがなかったのだ。
「俺の時は……なんかこぉ〜……」
少し考えてみる。
「なんか〜良く言えないけど……自然になったのかな？ そういう関係に……」
「なんだそりゃ？」
「気づいたら付き合ってたって感じ……まぁ言うならそういうムードが大切なのだよ！」←（思いつかなかったので適当に言った奴）
「ムードか……」
「北川と香里の場合は、他の人たちから見てたら付き合ってるように見えるけどな？ そのうち自然な形でなると思うぞ？」
「そうかな〜相手が香里だからな〜。このままで行くと気持ちを伝えられないまま卒業なんて有り得るしな〜」
香里相手にはラブレターなんて物は通じない事はわかってる……そう考えた俺は一つ作戦を思いついた。
「じゃあこう言うのはどうだ？」
「お？」
「明日〜明後日にかけて香里に対する北川の評価を『最近すごくやさしいわね〜』って思うようまでに上げるんだ」
「それじゃあオレは普段やさしくないのか？」
「つまらない事は考えるな！ いいから聞けって。評価が上がったかな？ って時に北川が告白。相手は最近やさしいと思ってしまった相手だから、断るのもなんだな〜と思いＯＫしてくれる。まちがいないし！ グ〜」
すばらしい（？）考えを意見した俺は自分でも満足したらしく、今言った発言を生徒手帳に書いていた。
「自分で言ったのにメモするなよ。それにそこまで上手く行くかな？」
「まぁ取りあえずやってみろよ、当たって砕けろって言葉もあるしな」
「わかった。やっぱお前に相談してよかったよ。なんか勇気が湧いた気がするよ」
「親友の相談だからな。乗らないわけにはいかないだろう」
「感謝するぜ、じゃ〜そろそろ帰ろうか」
「あぁ」
俺達は帰ろうとした、けど俺は少し心配なことがあった。
「なぁ北川」
「ほいほい？」
「告白の言葉はどう言う風にするんだ？」
「あ〜考えても無かった。簡単に『好きです！ オレと付き合ってください！』って言うのは？」
北川の告白のセリフは定番過ぎてなんだか気が進まなかった。
「ん〜なんか今一だな。もう少し喋り方を優しくしてみたらどう？」
「そうかな〜？ 『美坂さん、以前から貴方には気がありました。ぼくと交際してくれないでしょうか？』って言う感じか？」
「それだと何かキャラを間違ってるように思える」
「む〜中々難しいな〜。相沢は〜……あ〜そうか、自然になったって言ってたな」
「じゃ〜完全に力を抜いて、喋り方をやわらかくしてみたら？」
俺は北川の喋りかたは何か固いと思ってやわらかくするように指定した。
「どんな感じだ？ こうか……『やぁ美坂しゃんコンチワ、北川ちゃんだよ〜ん。ボクと付き合ってくだちゃ〜い』」
「ただのアホ丸出しだな…」
「お前がやらせたんだろ！」
「仕方ない、その場で思いつく言葉でいいかな？」
「だな、でもまぁ・・少しは考えてみるよ」
「おぉ、じゃあな北川」
「あばよ、相沢」
そうして俺達は学校を出て家路へと向った、今日は一段と冷え込むらしく凄く寒かった。
──────────水瀬家──────────
家に帰る途中、前の角から一匹の犬が顔を覗かせていた。
俺は一人で帰っていたので少し寂しいと思いその犬に向って『やぁ！トムじゃないか元気にしてた？』と話を掛けるとその犬の後ろから飼い主と思われる人が出てきたので『やべぇ』と思った俺は『トム待ってよ〜』と言いながらその犬と飼い主の前を走り去った。
トムはきっと機嫌が悪かったんだなぁ〜。
そして俺はやっとの思いで家に着いた。
「帰ったら名雪にこの事を言ってやるか〜」
『犬の事話すの？』
「そっちじゃない、北川の事だよ！ ビシ！」
俺は誰もいない所に一人で突っ込みを入れた。なぜだか余計に寒くなった気がしたので早く家に入ろうと思った。
そう言ってドアに手を掛けたその時。
「ただいま〜………あれ？」
ドアにはカギが掛かっていた。
「うぉ〜い、ご主人さまのお帰りだぞ〜。開けろ〜い」
訳のわからないことを言ってるとドアの向うから名雪の声がした？
「祐一？」
「70％の確立で祐一だ、残りの30％の確立でそれ以外の生物だな（自分でも何言ってるんだ……？）」
「つまり祐一でしょ？ 私に言う事あるんじゃない？」
「寒くて死にそうです。中に入れてください」
「学校での出来事で何かあるんじゃない？」
「（げっ足踏んだ事か、わすれてぇたぁ〜！）あ〜え〜っと、何の事かな？」
「祐一はそんなに早死にしたいの？」
「冗談冗談！ 足踏んだ事は謝るからさ〜、入れてくれ〜」
「簡単には入れてあげないお〜。心の中から謝ってくれないとね」
「ごめんなさい名雪様！ イチゴサンデー奢ってやるから！」
俺は今月厳しいにも関わらず、最後の作戦にでた。するとドアの向うから小さな声で……
「…………何個？」
今の経済力から考えて一個が限界だった。２個以上だと今月の生活はかなりハードになってしまう。
「いっ…」
「却下」
「はんや！」←（はや！って言いたかった）
「じゃ〜二個……ってか、今月金無いので二個で勘弁してください……」
ガチャ！
「お帰り祐一」
「はえぇなおい！」
ようやく俺は家に入る事が出来た。後で部屋で今後の生活について財布と相談しよう……そんな事を考えていた。
「あっ、ご飯とお風呂、どっちを先に済ます？」
「今日は……お前にしよう！」←（何をいうかこの親父は）
「あっそういえばまだご飯が炊けてなかったんだった、祐一は先にお風呂済ませてて」
「無視かよ」
とりあえずお風呂に向った俺は、服を脱いで、ズボンとパンツを動じ脱ぎという必殺技を使って風呂場に入っていった。
「フンフンフン♪〜」
俺は風呂の中で良くありそうな鼻歌を歌った。題名は分からない、元々題名なんて存在しないのだろう。
「よし！いいお湯だった」俺は着替えてリビングへと向かった。
リビングには晩御飯が並べられており何時でも食べれるような状態になっていた。
「おっ上手そうだな」
「まぁね、お母さんのように上手くはいかないけどね」
言い忘れていたが秋子さんは今日仕事で帰りが遅くなってしまうらしい。今日の夕食は名雪がつくったものだ。それでも十分おいしそうに見えた。
「よし、食うか」
「「いただきます」」
こうして夕食が始まった。
俺が食事に一生懸命になってると隣にいる名雪が声を掛けて来た。
「ところで祐一？ 今日は北川君と何の相談してたの？」
不意な質問に少し驚いてしまった。しかし、隠す事でも無いようなので話しておく事にした。
「ん？あぁ〜。何か北川が香里に告白するからその相談だよ。どう言う風にしたらいいかな〜って」
「わっそうなんだ。私もいつ２人が付き合うのかと考えた事はあるよ〜」
「ん〜俺は両思いなんじゃないかと言う考えをしている。どうかな〜？」
「私も同じ、あの２人は両思いなんじゃ無いかな？ 結構長い付き合いだしね」
「まぁ明日からある計画を実行するからな」
「どんな計画なの？」
「うむ、実は……（計画説明省略）……という計画だ」
「ん〜、香里はそんな事しなくていいと思うけど……それに逆効果になる可能性だって考えられるよ？」
「逆効果？たとえばどんな？」
「私の勝手な想像だけど。明日から北川君はその作戦を実行するわけでしょ？ つまり香里にまとわり着くような形になってしまうと思うの」
「む？」
名雪の意見に対して少し真剣になってしまう俺、話を最後まで聞こうと思った。
「そうなってしまったら香里は絶対『邪魔』とか思ってしまうと思うの」
「たしかに……自分の立場になって考えたら『邪魔』と思ってしまうかもしれない……」
「だから、直接素直に言ったほうが言いと思うよ？ 回りくどいことしないで」
「だな、ありがとぉ名雪、北川に報告しておくか」
この後おれは北川の家に電話をかけ、作戦の中止を伝えた。
北川は少し落ち込んでしまったけれど、俺や名雪が応援の言葉をかけてあげるとやる気をだしたらしく『明日、言ってみる！』といって電話を切った。
「まぁ大丈夫だろう」
「そうだね、明日は私は先に家に帰るから、結果教えてね」
「おう」
話を済ませてご飯を食べおいた俺達は昨日秋子さんが買ってきたビンの牛乳を飲む事にした。
名雪と一緒に飲む必要はないのだが、まぁ一緒に飲んでやるかと思った。
「しかし、ビンの牛乳なんて久しぶりだな〜」
最近はパックに入ってる牛乳が多いのでビンで飲むのはかなり久しぶりだった。
「そうだね、最近余り見かけないもんね」
「おっ？」
俺はビンの牛乳を見てある事を考えた。昔、外国のアニメのＣＭで『マイティーハーキュリー』と言った後に口を開いた状態の笑顔ので一気に牛乳をノドに流し込むというのがあった。
これを上手くすると牛乳が1〜2秒代の記録で飲む事が出来る。
「よし名雪、やってみろ」
「やだに決まってるよ〜」
「じゃ〜俺がやるか………」
「わっわっ、やめた方がいいよ〜成功しないって」
「やってみないと分からないだろ？」
「む〜どうなっても知らないからね」
「良し行くぞ！ 名雪！俺の勇ましい姿をしっかり見ていろよ」
「余り見たくないよ〜」
「うっし……」ドックン、ドックン
初めてのチャレンジに俺自身も少し緊張してしまってるようだ。……そして。
膝を少し曲げて左手を腰に、右手には牛乳。最後に斜めを向いた笑顔で準備完了！
「ひふおー！」（いくぞー！）
口を開いた状態なので上手く喋れないのであった。
「がんばってね……」
「マイティーハーキュリー！」
笑顔の口の中に牛乳が流し込まれた。
「げぼっ！」
「きゃぁ！」
笑顔の状態でそのまま牛乳が空中に返却されてしまった。
「ごほっ！ げほっ！ げ〜ぐるじ〜！」
見事に失敗してしまった。
この瞬間に名雪に『アホ決定』と思われたにちがいない。
この後名雪に散々文句をいわれながら２発ひっぱたかれて俺は寝室へと上がっていった。
気分は最悪だった。
「やっぱやめっときゃよかったかな……」
後者になりながらも明日のことを考えていた。
「まぁ………北川なら大丈夫だ。……がんばれよ」
次の日
ついに次の日の放課後が来た。たった３行で放課後まで来てしまうなんてその辺がSSの凄い所だろ思った。
名雪は昨日言っ通り先に帰っていた。そして北川はうまく香里を教室に残していた。今教室には北川と香里の２人っきりだ。俺は廊下で待っている事にした。
待っているついでにドアからコッソリ覗いていたりした。
「話って何？」
「あぁ……実はな」
「お金なら貸さないわよ？」
「あいにくお金には困っていない。もっと重大な事なんだ」
「今度のテストのためにノート見せて欲しいとか？」
「美坂……一生で一度でいいからオレの話を真面目にきいてくれよ…」
「冗談よ、で、その重大な事って何？」
「あぁ、真剣に聞いて欲しいんだ。俺達は結構長い付き合いだろ？だから……」
「だから？」
「香里！ オレと付き合ってくれ！」
香里は少し驚いたような顔をした。しかしすぐに普段の顔に戻ってこう言った。
「北川君……冗談はホドホドにしてよね……」
「「え？」」
突然の発言に俺達は思わず声を上げてしまった。
「オレは……冗談何かで言ったりはしない！ 本気なんだ」
「私……帰るわ……」
そういうと香里はこっちに向ってきた。
「（やべ！覗いてた事がばれてしまう！）」
何処かに隠れようと思って教室を離れようとしたそのとき……
「待ってくれ！」
北川の声が聞こえた。
「冗談なんかで受け取らないでくれ！」
「私には冗談にしか聞こえないけど………」
「なんでだよ！」
そういうと北川は香里の腕を強く握っていた。
「離してよ」
「絶対に離さない。冗談じゃない事を分かってくれ！」
「離してって言ってるでしょ！」 バキャ！
香里は北川の腹に蹴りを一発入れていた。一発ＯＫだった、第2ラウンドは無いようだ。
香里の周りにはすさまじいオーラが漂っていた
「どうして……俺は…心の底から美坂の事が好きだったのに・・あぶぶくぶくばぶ」
「………」
謎の効果音を出しながら北川は泡を噴きながら気絶してしまった。香里は北川の最後（？）を見届けていた。
そして香里はゆっくりと俺のほうに顔を向けてきた。
「相沢君」
「なっ…なんでございましょう？（しまったバレテいたか！ 次は俺の番なのか！？ うぉぉ、神様〜お慈悲を〜）」
覚悟を決めて顔の前でスペシウム光線を撃つ様な格好をして目をつむってる俺に香里は一言こう言った。
「帰りましょう。女の子が一人で帰るのは心配だと思うから、付き合ってね？」
「（あんたさっきまで体にオーラ出してたじゃん）」なんて口に出せないから一番の笑顔で。「よろこんで♪」
「うん、ありがとう」
こうして俺たちは日が暮れる前に一緒に下校をした。香里も一様女の子なので家まで送ることにした。誰も居ない帰り道、夕暮れの静かさ……さらに今は隣にさっきまでオーラを纏わしていた学年一位のおねいさん。
俺は心の中でこう思った。
「（こえぇぇ〜！ここは何か話をするべきか？しかし返って機嫌を悪くするような事になってしまっては…あ〜どうする相沢祐一！）」
そんな馬鹿な事を一人で考えていると突然香里が話を掛けてきた。
「ねぇ、相沢君」
「うわぁお！」←？
「何言ってるのよ」
少し呆れた表情で香里は俺に聞いてきた。
「北川君が気絶する前に言った言葉覚えてる？」
何とも意外な質問だった。
「え？あぁ、たしか……あぶぶくぶくばぶ」
「そっちじゃ無いわよ……」
「じゃあ……香里の事が好きだ。って言ったやつ？」
「えぇ、あの言葉は本気でいったのかしら？」
「俺が言うのも何だけど。俺に告白を手伝ってくれってきた時はすごく真剣だったんだ。あの言葉も本気だと思よ。」
夕暮れの光がまだ照らしている道に少しの風邪が流れた。香里はその風邪で少し乱れてしまった髪を右手で正ながら一言こう言った。
「そっか……」
「………」
その時の香里の横顔は少し微笑んでいた様にも見えた。嬉しくも悲しいような顔をした香里に俺は尋ねた。
「香里は…」
「ん？」
「香里は、本当は北川の気持ちに気づいていたんじゃないのか？」
「……さぁ、どうかしらね？」
イタヅラっぽく微笑みながら答えた。それ以上は聞いてはいけないような気がしたのでそれ以上は何も聞かなかった。
「相沢君、ここでいいわ」
「家まで送るよ、もぉ暗いし」
「いいのよ、考え事もしたいしね、それじゃあ」
「あっ香里」
呼び声に答える事も無く香里は走っていってしまった。まぁ香里なら大丈夫か、と思いながら俺は家路へと向った。
帰宅
香里と別れた後俺はまっすぐ家へと向った。帰る途中のゴミバケツの上に一匹の猫がいた。俺はトムの時みたいに辺りに人が居ないか確認した。
どうやらら人は居ないみたいだった。俺は猫に向って『やぁ！ サムじゃないか！』猫『クァ〜』猫は反応してくれずあくびをしていた。
俺は少しショックだった、しかし次の作戦に出た。『名雪、力を借りるぞ』そう言いながらまた猫に近づいた。 そして…
『ねこ〜 ねこ〜 ねぇこぉ〜♪』『ビューーー』…猫は凄いスピードで逃げていった。『そこまで逃げなくてもいいじゃないか…』
きっとサムと会うことは二度とないだろう…そう思いながら家についた。
「ただいま〜っと」
「お帰りなさい祐一さん」
「今日も結構冷えましたよ〜、あっ晩御飯できてますか？ おなか空いちゃって」
「クスッ。はい、ちゃんと出来てますよ」
俺はリビングへと向かい食卓にある鍋を見た。
「おぉぉぉぉぉ〜今日はスキヤキですか。いいですね〜」
「あっ祐一お帰り。どうだった？」
「ん？ん〜手ごたえがあったと言うか…後は香里次第だな」
「香里は素直じゃないからね」
「何の話ですか？」
お皿などを並べてる秋子さんが俺たちに興味深そうに尋ねてきた。
「えぇ、実は……かくかくしかじかっと言う訳なんですよ」
「へ〜そんな事があったんですか。祐一さんも大変ですね」
「まぁあの２人なら上手くやっていけると思うのですがね」
「昔から喧嘩してもすぐ仲良くなってたからね、心配は無いと思うよ、きっと」
名雪のその一言を聞いて少しホッとしたような気がした。
「あっ祐一さん、冷蔵庫からすき焼き用のタレを持ってきてくれませんか？」
「あっはい、いいですよ」
「すいません。じゃあ名雪は少し余ってるタレで先に食べちゃいなさい」
「分かったよ〜」
俺が冷蔵庫でタレを探してると名雪の「いただきます」という声が聞こえた。
「俺も早く食べたいなぁ。タレタレタレ、おっ、あったあった」
タレを見つけて一目散に食卓へ向った。
「秋子さん。これです…よ……ね？…って！ 名雪！ どうした？！」
帰って見ると名雪が椅子の横にくの字に曲がって倒れていた。
「スキヤキを食べたら……頭の中が…、あぁ〜誰か…ブラック○ャック先生を…」
「スキヤキって…あっ！」
スキヤキの鍋を少しかき混ぜてみたら中から黄色の物体がプカプカと浮いてきた…なぜ溶けていない…
「バカ！ 見て一発で0.3秒でジャムって分かるじゃないか！ なぜ口にしたんだ！」
「あっあは……は、油断…しちゃったよ……わっ私がもし…あの時計の針…12時まで生きて居られたら……ジャンボミックスパフェＤＸを…奢ってね…。死んじゃったら…祐一も一緒に…来てね…」
「まっ待て名雪！ しっかりするんだ。何気にキャラが間違ってたけぞ！ それと今月厳しいからイチゴサンデーで我慢しなさい！ 死ぬなぁぁ！」
パンパンパンパンパン！
俺は名雪の意識が失わないように何度もほっぺを叩いた……そしたら小声で
「イテエヨ、ヤメロヤ」
「ごめんなさい」
すっかり2人の世界に入っている俺たちに秋子さんが
「さて、次は祐一さんの番ですよ？」
次はってなんだ！ 俺たちは犠牲者なのか！？
「あっ秋子さん、名雪がこんなんになっちゃたの見たんで食欲が…」
「大丈夫ですよ、おいしいですよ」
「いや、気絶してるじゃん！」
そう言いながら名雪を指差す。
「さぁ、覚悟を決めて食べてください」
「秋子さん自分の料理なのに覚悟を決めろなんて言わないでください！」
「さささ、どうぞ」
秋子さんはスキヤキをバランス良く丼についでくれている…うぅぅジャムは入れないで〜と思いながら具が注がれる丼を見つめていた。そのまま！ そのまま俺に渡してください！
「秋子さん、そこまででいいですよ！ （入れるな入れるな入れるな入れるな入れるな！）」
「最後にこのジャムをかけて…はいどうぞ祐一さん」
「わ〜い（泣きながらバンザイしている）」
俺は完全に覚悟を決めた。あぁ…孫堅様…この祐一、ついに堅様の元へ参る時が来ました。（会った事も見たこともありません）
「なぁ名雪…奇跡って信じるか？」
俺は横で気絶してる名雪に問いただした。返事が返ってこないとわかっていても少しは返事を期待していた。
「…………」
「返事が無い、ただの屍のようだ」
「さぁ、さめないうちに早くどうぞ」
「わかった、食べますからその包丁をちらつかせないで下さい」
「あら？」 そういうと秋子さんは包丁をテーブルに置いた。
「（あら？じゃね〜だろ！）いただきます……」
俺は今から自分が口に運ぶスキヤキの丼を目にした。肉や野菜の上に乗っかっている黄色い物体はポコポコしていた。
「泡がプクプクしてるよおい……えぇぇぇい！ パク！」『ドーン！ ダダダダ！ 衛生兵！ 衛生兵は居ないかー！』
俺の体の中で第3次大戦が起きてしまった。
その物体は俺の全身にクリティカルヒットした。
俺は倒れながらも履いているスリッパを一つ持ち秋子さんにこう言った。
「こっこの手紙を…そっそれと…俺の子と妻に愛してると伝えてくれ……」
「自分で言いましょうね」
「あ〜…名雪が迎えに来てくれたぁ〜」
「まぁ仲がいいですね」
「きっと俺は…向うの世界でも……イチゴサンデーを奢らされるんだろうなぁ…」
「毎月仕送りしますからね」
そんな言葉が聞こえながら俺は完全に意識を失った……
２日後
「そんな事があったのか、大変だったな」
「秋子さんが言うには1日中気絶してたらしい…」
「お前が学校休むなんて珍しいから家まで行ったんだぞ」
「そうなのか？ 秋子さんはそんな事言ってなかったけど…」
「相沢君の様子はどうですか？ って聞いたら『今はグッスリ眠ってますよ』って言ってたな」
「あえて突っ込まないでおくとするか…」
「聞いててご飯がまずくなりそうな話ね」
「まったくだ、ところで２人とも、あれからどうなった？」
質問をすると２人は少し慌てたようなそぶりをして『何もなかった』といった。
「結局何も変わらなかったってわけだ…」
「まぁそんな訳だ。学食でも行こうじゃないか」
「そうだな、人間飯食ってるときが一番の幸せだからな」
「あぁ、さすが兄弟」
「行こう兄弟！」
「貴方達だけよ、そんな幸せ…」
「分からないぞ、調べてみないと」
教室を出ようとした時、北川が香里に話を掛けた。
「ところで香里はどする？ 学食行くか？」
「私は弁当があるからいいわ、２人で行ってきなさい」
「うぃ〜」
「あっちょっとまって潤」
「何だ？」
「飲み物が寂しいから軽く何か買ってきてくれない？」
「おう！ わかったぜ、いこうぜ兄弟」
「あぁ……ん？ 香里？ 潤？ さっきそう呼んでたような…」
教室を出る前に香里の方に目をやると香里は俺に軽くお辞儀をした。
「あぁ、そういう結果になったか。隠す事なんて無いのにな」
俺は前を行く北川の肩に手を置いて…
「よかったな」
そうすると北川は立ち止まり、
「相沢……お前には心から感謝してる」
そういうと北川の笑顔に一筋の涙が流れた。
「友達……いや、親友として当然だよ。うまくやっていけよ」
「あぁ」
「おっ早く行こう」
「おう！」
そう言いながら二人で食堂に向って走り出した。
その日の風はすごく温かい空気を運んでくれた。
今日も一日いい日になりそうだ。北川達にとってはちょっとした記念日かもしれないな。
良かったな……北川。 ありがとう……相沢
ＥＮＤ
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