のどかな春の日の朝。
私は子供達のために朝ごはんを作ります。
幸せな時間…少なくとも先週までの入院生活からは考えられないほどの…
私が交通事故にあったせいで、名雪と祐一さんには大変な思いをさせてしまいましたからね。
そうですね、気持ちよく学校へ行けるよう、美味しい朝ご飯を作りましょうね。
と、ここで私は時計を見ます。
いつもならそろそろ祐一さんが起きてくるぐらいですね。
あ、階段を降りてくる音がしました。
「おはようございます。………あら？名雪？」
降りてきたのは最愛の娘、名雪でした。
普通の日常、輝きの灯火
「おはよう、お母さん♪」
私は上機嫌に最愛…から二番目の母に挨拶をする。
「ふふ…今日は早いのね？」
お母さんも私の上機嫌につられたかのように、楽しそうだ。
「うん、今日は特別な目覚まし使ったから…あ！」
わぁ…この事は私と祐一だけの秘密だったよ…
「あらあら…じゃあ、祐一さんは？」
お母さんは嬉しそうに、私の最愛の人の名前を…
「って、あれ？まだ起きてないの？」
私のほうが早いって少し珍しいよね…
「今日は祐一さんがお寝坊さんね…ふふ…名雪、起こしてきてくれないかしら？」
その答えはもう決まってるよー
「もちろんだよ。」
えへへ、これで祐一の寝顔見れるね。
私は自分でもわかるぐらい、さっきよりも上機嫌に階段を上がっていった。
「祐一〜朝〜朝だよ〜」
なんだか間抜けな…それでいて愛嬌のある声が聞こえる。
「朝ご飯食べて学校に行くよ〜」
そう言って俺を揺らす。
寝かせてくれ…俺はまだ眠いんだ…
「む〜…起きないよ…あ、そうだ！」
パタパタと部屋を出る音がして、俺の揺れも止まる。
ふう…これでまた…ゆっくり…寝れ…
『名雪、俺には奇跡は起こせないけど…』
ん？…これは…まさか…？
『でも、そばにいることだけは…』
うおぉ…！この恥ずかしい台詞はアレじゃねぇか！
夢にしたって嫌だ…早く起きねぇと！
…なんか思考が重いな…俺ってこんなに寝起き悪かったか？
「うぅん…やめろぉ…」
なんか情けないぞ、俺！
「起きてよ〜祐一〜」
これは…俺のアレの声だ…
「起きてるぞ〜」
反射的に言葉が出る、まだ意識もはっきりしていないのに。
「わぁ…祐一、私みたいだよ。」
自覚はあるんだな…
「うにゃ…今起きる…起きるから…」
うにゃってなんだ、うにゃって…
まぁ、やっとのこと俺は起きる上がる。
「祐一…大丈夫？」
名雪が心配そうな顔で見ていた。
俺はその問いには答えないで、とりあえず。
「名雪…その目覚ましを止めてくれ…」
目覚ましの仲の俺は、まだ恥ずかしい台詞を語っていた。
「おはようございます…」
あらあら、祐一さんが名雪に引きずられるように来ました。
ふふ…以外に祐一さんは尻に引かれるほうなのかしら。
「おはようございます、どうかしたんですか？」
とはいえ、流石に起きるのが遅いと気になるものです。
「いえ…ちょっと昨日寝るのが遅くなって…」
ちょっと困ったように頬をかきながらの祐一さん。
「じゃあ、祐一は今日から私と同じ時間に寝ようね♪」
そこに名雪が助け舟を出します。
「あらあら、それはいいわ…ね、祐一さん？」
ぽかんとしてた祐一さんですが、私の確認に驚いたようですね。
「へ？え？名雪って７〜９時寝じゃないですか！…流石に寝れませんよ！」
確かに…それもそうですね。
「う〜…祐一酷い…」
「しょうがないだろ、事実なんだから。」
「うぅ〜…」
あらあら…しょうがないですね。
「ところで時間は大丈夫ですか？」
私もちょっと忘れかけてました。
二人は少し驚いて、すぐに顔を合わせ、頷きあいます。
アイコンタクトですか？私も入れてもらいたいです…
「秋子さん、すみません、今日は朝飯は食べれないみたいです。」
「了承」
「じゃあ、お母さん、行ってくるね！」
「はい、行ってらっしゃい。」
子供達はバタバタと賑やかに出て行きました。
ふふ…元気があっていいですね。
春の日ののどかな朝…私は日常の持つ輝きを抱きしめて…
（この灯火は…守らないといけませんね…）
いつまでも…子供達が巣立つ日まで…
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