第3回かのんSSこんぺ・中編部門結果発表

第10位

投票数 86 : 単純平均点 6.63

10点

9点

8点

7点

6点

5点

4点

3点

2点

1点

No.051 受精卵　　written by 夏葵

「これは……のっけから凄いのがきたわね」

「あの、俺、死んでるんだけど」

「香里と祐一がつきあってて、それでも、色々あって祐一がわたしと結婚して……ほんとに、すごい話」

「やっぱり好き嫌いははっきり分かれるんだろうな。全体的に高得点をかっさらっているけど、１点の数も少し目立つ」

「いやあの、俺、死んで……」

「でも、それでこの順位に入るなんて凄いよね」

「凄い暗い話なのに、しっかり組み立てられた構成と完成度の高さで読者を牽引したみたいね。こう言っちゃなんだけど、あたしも読んでてぞくぞくきたもの」

「俺も結構、キワドイものがあったよ。いやしかし、香里っておっかないな。今後から距離の取り方を考え直すか」

「……何か言ったかしら、相沢君」

「別に、何も、うん」

「うーん、細かいところまで喋りたいけど、どこから手をつけていいか分からないよ……タイトルからある程度は想像できるけど、中身はそれどころじゃないよね」

「だからこそ、最後の最後で滑り込んだんだろうなあ。これだけシビアな入賞って初めてかもな」

「はい俺、死んでまーす。死んでますとも。子孫繁栄バンザイ」

「あと、あれだ。ラストが何とも言えないよな。こんなんありかって思った読者がいっぱいそうだ」

「もし実際あたしがああなったら、ちょっと、あの後どうなるか分からないかも」

「インパクトが凄いよね。余韻もしっかり残しているし」

「あら名雪、そんな難しい言葉知ってたのね」

「うー、ひどいよ……わたしだって一般教養くらいあるよ」

「実は俺、殺されたんだ！　全然関係ない第三者に！　あの後水瀬と相沢を巻き込んで、俺を殺した犯人を追いかけての怒涛のアクションムービーが来春公開予定！」

「はい北川、嘘言うな」

「そろそろ流石に可哀想になってきたから、次行きましょ」

「うん」

「俺の息子である確率が幾ばくかあるような気がする赤ん坊よ！　強く生きろよおおおお！！」

第9位

投票数 82 : 単純平均点 6.78

10点

9点

8点

7点

6点

5点

4点

3点

2点

1点

No.094 Prelude Kanon　　written by エルラ

「わーい、ボクの話……なのかなあ？」

「十分、あゆさんの話だと思いますよ。あ、下駄の鼻緒ほどは関係があるということで、私こと天野のみっしーも参戦します」

「うんっ、よろしくねみっしー」

「……引くなり驚くなりの反応してくださらないと困るのですが」

「そんなことより、作品の話しようよっ。これって、いい話だよね。ボク、泣きそうになっちゃった」

「……そうですね。ええ、私もいい話だと思いますよ、もちろんのこと。それはもう」

「……みっしー、もしかしてボクのこと嫌い？」

「基本的には」

「……うぐぅ」

「なんて、冗談を言い合ってる場合じゃありません。作品の話をしましょう。エンヤコラー」

「え、えんやこら？　あっ、作品の話しようって、さっきボクもそういったのにっ」

「細かいことは気にせずに。さああゆさん、語ってください」

「えっ？　うん、えーと、こ、この話っていい話だよねっ！」

「そうですね」

「うん……えーと」

「……」

「……うーんと、いい話」

「はい」

「……うん」

「……」

「……うぐぅ」

「他にはないのですか？」

「み、みっしーは？」

「私は、直接の関係はありませんから。あゆさんに全面委託します」

「うぐ、それって卑怯だと思う……」

「いえ、卑怯じゃないです。実際、この物語に出ているのはあゆさんだけなのですし。相沢さんも出ていると言えなくもないですけど、やっぱり相応しいのはあゆさんです」

「う、うん、そこまで言われるとやぶさかではないがな！　……とか。えへへ、似合うかな？」

「……さっきの私のギャグ以上に滑ってると思います」

「うぐぅ……あ、そうだ、この物語の女の子！　ボクすっごく好きになっちゃった！　なんだっけ？　やまおんなちゃん！　はじめはヤマンバを想像しちゃったりしたよ。名前どおりたくましいけど、それでも女の子してて、なんだか切ないよね！」

「それはやまめって読むんです。といいますか、地味にそんな物凄い勘違いしてたんですか、あゆさん。……さすがに可哀想になってきました、少し」

「うぐ……と、とにかく、いい話だから読んでない人は読んでねっ！　ということで」

「何をさっさと流そうとしてますか」

「いいから、次行こう、つぎ～！」

「紹介になってないじゃないですか……」

第8位

投票数 70 : 単純平均点 6.74

10点

9点

8点

7点

6点

5点

4点

3点

2点

1点

No.044 三月の空　　written by Longhorn

「あら、私のお話ですか」

「ですね。あと俺と、名雪と……まあ、あゆも」

「ボク死んじゃってるね……」

「まあそう気を落とすな、あゆ。同じ死に方にしても、さっきの北川よりはずいぶんと綺麗だから」

「相沢……傷に酸をぶっかけないでくれ。何より作者さんに失礼だから」

「いや、客観的事実を言ったまでだ。一方は病院での衰弱死……かたやもう一方は原因不明の事故死。うーん、あんまり変わらんな」

「祐一、不謹慎な話したらだめだよ。それより、主役はお母さんなんだから、お母さんの話しようよ」

「どうですか、秋子さん」

「そうですね……自分のことながら、切なくていい話だったと思いますよ。でも、それ以上に優しいお話で……とても丁寧な、真摯な印象を受けたのも、作者さんの心が込められているから、だと思います」

「あゆちゃんのお父さんも、頑張ったよね」

「うん。ボクのためにずっと毎日、病院に来てくれたんだよね。いいお父さんで良かったよっ」

「これが毎日アルコール漬けの女漁り、ギャンブル尽くしの駄目親父だったら？」

「……ちょっと嫌かも」

「祐一、そんな雰囲気壊すようなこと言わないで」

「みんなで守ろう、原付のルール」

「だから、そうやって変なことばかり言わないでよ～」

「原付に限らず、交通ルールは守らないと駄目ですよ。……あ、でも、そうなったら私が月宮さんと出会えなかったということだから……ちょっと複雑ですね」

「ってお母さん、なんで頬染めてるの～」

「うむ、お後がよろしいようで」

「うぐぅ、あんまり良くない……」

PrevPage　 NextPage