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「青い海！　白い砂浜！　祐一さんっ、凄いです！」
　慌てて砂浜に飛び出した私は、
「熱っ！」
　日に焼けた砂浜で目玉焼きが作れるということを知らなかった。
　祐一さんが笑い転げながら、ビーチサンダルを投げて寄越す。
　遠慮ない笑い声にやや憮然としながら、それでも今日の私には余裕があった。
　重大発表があるのだ。これを聞けば祐一さんもただでは居られまい。
　ビーチサンダルを履いて、私は生まれて始めての砂浜で仁王立ちになった。
　真っ青な海原に向って、ぐっ、と胸を張る。
　太陽が私にスポットライトを浴びせた。
　絶体絶命の大ピンチから奇跡の生還を果たし、600万ドル掛けて改造された私の身体は、やっぱり優秀だった。
　海に行く直前、お姉ちゃんに計ってもらったら、なんと！
「祐一さん、重大発表です！」
　私は得意げに祐一さんを振り返り――
　

　――目が点になった。
　祐一さんは私を見ていなかった。
　首をめ一杯捻って、90度真横を凝視している。
　これ以上ないほどに真剣なその視線の先には――
　グラビアモデルと比べてもなんら遜色が無いほどの、グラマラスな。小麦色の肌の――


「祐一さん――！！」
「待て栞っ、話せばわか――ぶっ！」
　私が投げたMAX150kmのビーチボールが、祐一さんの顔面に炸裂する。砂の上に尻もちを着いた祐一さんは、
「熱ぃっ！」
　アメリカンコメディのように飛び上がった。
　今度は私の遠慮ない笑い声が――
　潮風に乗って、夏のビーチに響き渡った。




FIN.



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